最高の鍛冶職人
「オウカ様、獣人族に渡すための武器と防具の試作品を持ってきましたぞ。」
と言うのはベルさんである。
「この国一の職人に作らせましたからな!自信がありますぞ!」
と自慢げに話してくる。
「お~い、ジギル!」
「はっ!」
「ちょっと、この防具を殴ってみてよ!」
「畏まりました。」と木に取り付けた鎧に渾身の力を込めて一撃をくらわす。
防具は・・・かなり凹んでしまった。生身では圧迫骨折必至なのは言うまでもない。
「う~ん、ウチでの訓練はこのジギルがやってるから、せめてこの攻撃に耐えられるだけの装備が欲しいかな。」
「王国一の防具が・・・。」
「鍛冶職人で有名なのはドワーフだと思うんだけど、この世界にもいるの?」
「ドワーフですか!確かにいますが、伝説と言われておりまして、探すのが困難なのです。」
「何処に行けば会えるの?」
「魔王国です。」
「は?」
「ドワーフは誰も会ったこともないし、行ったこともありません。」
「なるほど。でも、優れた防具とか欲しいよね。」
「それはそうですが、まさか?」
「ああ、行ってみるよ、ドワーフの国!」
「魔王国に行くと・・・?」王シエロの第一声である。
「いえいえ、魔王国のちかくに優れた鍛冶職人のドワーフ国を探すのが今回の目的です。」
「とは言っても、まともに相手をしてくれるとは思わんのだが」
「今は魔王国との協定があるのでしょう?もし、反発をしてきたら、捻りつぶしてきますよ。」
「そ、それならば良いのだが、くれぐれも注意して行ってくれ、私も書状を出そう。」
「ありがとうございます。」
同行するのは、玲子、ジギル、ローズ、隠密行動に長けた執事3人、獣人族の中でも、戦闘能力に長けた男女混合の20人を引き連れて行くわけなのだが・・・
「リリア、何故お前がいる?」俺に纏わりついてリリアがいる。
「だって、誰が食事を作るんですかぁ~?」
「冒険に行くんだぞ!どこかに遊びに行くんじゃない!」
「そんなこと言ったって、ほら」旅支度も万全である。
俺は、リリアの肩を抱き「今から行くところは、ものすごく危険なところなんだ。リリア、お前を死なせたくないんだよ。」
「旦那様・・・。」これで納得するだろう。そう思っていると
「主様、連れてやってもらえませんか?」ジギルである。
「お前、いい感じに説得してんだから、邪魔すんじゃねーよ!」
「申し訳ございません!ですが、美味い食事をとることで皆の士気も上がるのではないでしょうか?」
「子供を危険にさらすんだぞ!お前はそれでいいのかよ!」
「私、子供じゃないもん。この前だって旦那様と熱い夜を・・・」
「お前、今いう事じゃねーだろ!」
「大丈夫です!リリア含め、料理部隊は我々が守ります!」
知らない間に、料理担当の獣人が5人ほど増えている。
「あー!分かったよ!連れて行くよ!その代わり獣人の傭兵、あと10人追加な!ジギル!お前が責任を持って守れ!」
「畏まりました!」結局、大所帯になってしまった。
これで、魔王軍が敵対行動と判断したら大変だなぁ〜何とかなるといいけど。




