クローバー
「そうと決まれば、名前を付けなきゃね!」と玲子が言う。
そうだった・・・名前を聞いてなかったっけ?
「お名前を伺っても?」
「名前なんてねぇよ。」
「僕が付けてもいいですか?」
男は特に弊害もないからと簡単に承諾してくる。
「一応、言っときますけど、僕が名前を付けると、男性は僕に忠誠を誓います。」
「ああ、いいぜ!」
「では、あなたの名前はシェフです!」
「ありがとうございます。この名に恥じないように努めます。」
「次は弟さん。」
「そうですね~あなたの名前はコックです。」
「ありがとうございます。」
「さて、奥さんの名前ですが・・・シェフさんが付けてもらっていいですか?」
「何でですか?」
「僕が名付けると、僕の奥さんになっちゃうんですよ。いやでしょ、奥さん取られるの。」
「そりゃ、そうだ!実はよ、俺が好きな名前があってな・・・」
「マリー・・・だ。」シェフさん、照れくさそう。名前を付けてもらったマリーさんは嬉しそう。両手で口を塞いでいる。
「さて、残るのが問題なんですよね〜」と妹さんを見た。
「俺が付けちゃ、ダメなのかい?」
「それじゃあ、妹さんと結婚するんですか?近親者ですよ、近親者!」
「と言っても、俺が付けるのはなぁ~」
「何か問題でもあるんですかい?」
「いや〜妹さんからしたら、嫌でしょ?今日初めて見た人といきなり結婚って。」
「それに、僕に名付けられた瞬間から、僕の事が大好きになって、夜這いにも来るぐらいになってしまうんですよ。だから、妹さんの気持ちを考えたらねぇ。」
「・・・です。」
「何といいました?」
「いいです。あなたが私達を気遣ってくれる気持ちに感動しました!だから、私をお嫁さんにしてください!」
「本当にいいんですか?」
「はい。」
「この屋敷には沢山の獣人の男性もいますし、中にはカッコいい人もいるんです。それでも、いいんですか?」
「はい。」
「本当に・・」
「アンタが一番心を決めなさいよ!桜花さん!」
「では・・・君の名前はクローバーだ。僕の国では幸運のお守りにもなる花の名前だよ。」
「ありがとうございます!ご主人様!」といきなり抱きついてきた!
「こらぁ〜、あなたには〜まだ早いわ〜」ローズが引き剥がそうとするが、クローバーは俺に唇を重ねた上、離れないようにがっちりとホールドしてる!
また、やっかいな子が増えたようだ。清純な雰囲気だからいいか。
そして、その夜・・・。
何やら、廊下が騒がしい。クローバーが夜這いを仕掛けてきたのをローズが食い止める!それでも、あきらめないクローバーにローズがキスをした!クローバーとローズのキスは濃厚でローズはクローバーの柔肌に軽く刺激を与える。「アッ」とクローバーから吐息が漏れる・・俺はそっと、ドアを閉めた。




