表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Venus And The SAKURA  作者: モカ☆まった~り
ハイマギーの森編
146/165

0145 セイゾクセイ魔法

「ワイら二人共な、女神さまに頼んで眠らせても〜てん。300年前に。」


 吸血鬼の男性、見た目は吸血鬼らしく紳士的な見た目ではあるのだが、童顔なのか幼く見える。まるで高校生が身の丈に合わないスーツを着ている感じ。


「しやな~、ウチ等、もうアカン思て急いで頼んだんやんな。」


 吸血鬼の女性は白い肌と言うよりやや血色が悪い。この方が吸血鬼らしい。俺の主観だけど。それにしてもこの世界の亜人?は美男美女が多いのか?俺に主従している男は男前だし、女性も美しい。人間族の方々はそれなり・・・。何か訳でもあるのだろうか。


「何で、サリーナと関係があるんですか?どちらかと言えば敵対する側じゃないのですか?」


 俺は率直な疑問をぶつけてみた。だってさ、吸血鬼は十字架に弱いんだよ?なのにこの世界で吸血鬼が女神に願いを寄せるっておかしくない?


「ああ、兄ちゃんは知らんねんな?ほな言うたろか。」


 吸血鬼の男性は、本来のこの世界では亜人や人間などの種族間の区別などなく、皆が友好的に生活をしていた。

 だがある日、勇者と呼ばれる物が召喚されたのだが、亜人・魔者は差別するべきだ、人間族こそが一番の種族なのだと言って、魔物狩りが始まり、逃げきれなくなったのだと言った。


「その時の勇者の名前って・・・。」


「リョウタ・タチバナって言ったな。」


 いや、おかしい。リョウタの言っていることと話しが完全に食い違っている。リョウタの中で勇者と言えば魔王族を救った英雄となっている。しかし、この吸血鬼の話しでは、まるで勇者が先導して魔物狩りをしているようではないか?


「本当にリョウタ・タチバナが魔物狩りをしていたのか?」


「ちゃうな。先導していたのは召喚した国の国王や。ホンマ、しょうもない奴やで!」


 男性の吸血鬼はスーツを正しながらぼやいている。女性の吸血鬼は棺に腰掛け、足を組み、窓から差し込む日差しに手を翳していた。


「それで何故、蘇るのに勇者の血が必要になるのですか?」


 蘇るだけだったら、誰の血でも構わないだろう。それこそ、ゴブリンの血であっても構わないはずだ。勇者の血に拘る訳が知りたい。俺は回復魔法ですっかりと傷口が消えた腕を摩った。


「いずれ女神が召喚する勇者の従者になるのが、ワイ等を眠らせてくれる条件やったんやわ。」


 吸血鬼が俺の従者になると?何で?


「こー見えてもな、ワイ等は魔法全般使えんねん。しやから兄ちゃんの役に立つ思うで。」


「俺は、エルフを探してるんだけど?」


「あ~、エルフは、もっと南西に離れた森におるんとちゃうかな?この森とは大分、離れとるで。それにその奥にはやな、例の勇者召喚した、悪い国があるんや。諦めた方がええと思うで?」


 これには困った。エルフを見つけないと聖属性魔法で治療を受けることが出来ないのではないか?またサンに襲われることがあれば、立ち直る自信がない。俺は絶望のため息をついた。


 はぁ〜、どうしよう・・・。聖属性魔法使いのエルフを探しているのに・・・。


「何や兄ちゃん、セイゾクセイ魔法使いを探しとるんか?なんか訳アリやな?言うーてみ?」


「ああ、実はサンと言う男性の従者がいまして・・・。

 ・・・と、いう事なんです。」


「なんや!そないなことやったら、ワイ等で解決やがな!それにしても、まずは悩みの種をとらんとな!そのサンって男はここにおるんかいな?呼んでみ。」


 俺は言われるがままにサンを呼び出した。するとサンは俺からの呼び出しと嬉しそうにやって来たのだが、走る姿が内股である。まるで、恋する乙女の様な気持ち悪い光景だ。


 コイツがサンですと紹介すると男はサンの頭に手を乗せ、呪文を唱える。サンはとっさに逃げようとするのだが、その前に詠唱が終わってサンは横たわってしまった。


「おい!サン!大丈夫か!」


 俺はサンを抱え上げ、気を失ったサンの顔を覗き込む。時間にして15秒位、ゆっくりとサンが目を覚ますのだが・・・。


「止めてください!何の冗談ですか!」


 サンは、俺の腕を払い、逃げ出していった。


「サンに何をしたのですか?」


「チョット嗜好を男から正常に戻しただけや。もう安心してええ!」


 あまりにもの嬉しさに、やったーの声と両手を上げ、これからは襲われる心配がなくなった事と心の傷が深くならない事に悦びを隠せなかった。


「せっかくやから、念のためにセイゾクセイ魔法も掛けとく?こっちにおいで。」


「ああ!」


 本気で喜んでいる俺の股間に手をやり、呪文を唱えている。

 すると、俺の股間がむくむくと大きくなり、ギンギンになってしまった。


「何をしたんだ!」


「何って、セイゾクセイ魔法やんか?」


「聖属性魔法だよな?」


「いや?性属性魔法やけど?あかんかった?」


 え?性属性魔法ってあるの?初めて知った。って、言っている場合じゃない!俺の股間は更に大きく、硬くなって、痛みさえも感じるようになっている。


「解除してくれよ!このままじゃ、破裂してしまうよ!」


 発情した股間を押さえながらも、何とか理性だけはギリギリ保てているが、限界も近い。


「無理。これは一回掛けたら、解除不能の術式やから。これからは女見るたんびに欲情するからな。どうしてもと言うんやったら、一日、最低、一発は抜かんとアカンで。」


「嘘だろ!」


「なんだったら、ウチが抱かれてもええよ。」


 女吸血鬼が胸のボタンを外していく。ちらちらと見える肌から、目を外せない。俺の頭の中は欲情でいっぱいになり、制御不能になりつつあった。


 男性は部屋から全員追い出し、女性達を招き入れる。女性たちがやって来た頃には、女吸血鬼に貪りついていた。





***





 ここは部屋の外、男性団員達が休憩をしている。辺りは夕焼けに染まり、焚火をして桜花が出てくるのを待っている。


「それにしてもオウカ様、なかなか出てこないな。」


「ああ、部屋の奥からずっと、女の喘ぎ声が聞こえてる。」


「もう、6時間だぜ?そんなに持つのか?」


「オウカ様は勇者だからな。いくらでも行けるんじゃないか?」


「今日はテントを張った方かいいんじゃないか?」


「そうだな。それにしてもリリアまで行ってるから、晩メシ、どうするんだよ!」


「昼間のワイバーンの肉が有ったろう?それを焼くか?」


 団員達はそれぞれ、肉を焼きながら雑談に花を咲かせているが、一行に出てこない桜花の事が心配である。


「もう、10時間経ってるよな?」


「ああ、まだ喘ぎ声が聞こえるな。」


「今日は、肉食って、寝るとするか?」


「ああ、そうだな。う〜ん、ワイバーンの肉は、やっぱり生の方が美味いな。ドラゴン族の言う通りだ。」


 それから数時間たっても、喘ぎ声が消えることはなかった・・・。





***





「みんな、おはよう!」


 朝の10時過ぎ、スッキリとした顔の桜花が部屋から出て来た。


「おはようございます!女性陣の姿がありませんが・・・。」


「ああ、みんな疲れて寝ているよ!もう少し、寝かせてやろう!」


 部屋の奥から、吸血鬼の女性が出て来て、大あくびをしているが、桜花の顔を見ると、うっとりとした顔つきになる。


「どうやった?ワイの性属性魔法の効き目は?」


 男性吸血鬼はすごいでしょう!凄いと言え!とばかりに胸を張っている。しかしだな。どうするんだよ。これ。毎日は嫁達の身体は持たないよ。


「今回は最初やから効き目が凄かったけど、慣れてくればいつもの生活に戻れるから安心してええよ。それにしても兄ちゃんは元々絶倫やったんやな。更に10倍の精力つけたから、ものごっついことになってもたわ!」


「ま、普通の生活に戻れるのならいいよ。ところで、聖属性魔法は使えるの?」


「ああ、聖属性魔法もつかえるよ。悪い気の浄化とかに使うだけやけど。」


 色々あったけど、目的は達成したな。エルフに関してはまた別の日に行くことにしよう。長老達にも言っておかないとな。


 部屋の奥から、女性達がぞろぞろと出てくる。その数、30名。女性達は俺の顔を見るや否や、飛びついて来てそれぞれにキスをしてきた。あれ?女吸血鬼の姿がない。俺と男吸血鬼が部屋に入ると、棺の中で気を失ったかのように寝ていた。


「あの感じやったら、満足したみたいやな!ええこっちゃ!」





***





「今から、名前を授ける!」

 男吸血鬼ーブラッド

 女吸血鬼ーカーミラ

 門番吸血鬼ーヴラド

 ゴブリンーガハク



『我ら一同、主様に使えます!』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ