表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Venus And The SAKURA  作者: モカ☆まった~り
ハイマギーの森編
136/165

0135 東京傷心旅行②

 後輩と別れてから、もう少しだけ飲みたいなと思っていると、一人の男性が声を掛けてきた。

 キャッチは法律で出来ないようになったはずなんだけど・・・。


 男は小声で、いい女がいるよ。抱きたくないかい?中出しOKだよ。と言って来た。なるほど・・・売春ね。


 学生時代は法の規制もゆるく、こういった店にはよく顔を出していたものだが、社会人になってから行っていない。誰に見られているか解らないからだ。


 俺は、絶対に行かない!と決めながらも、いくらなの?と聞いてしまった。

 へへ、兄さんも好きだね。ウチは高いよ。本物の女優だからね。5万でどうよ?

 5万!高いのか安いのか解らん値段設定!女優といってもセクシー女優の事だろうし、もしかすると今の俺の身体を治してくれるかもしれない。


「よし、5万だな!先払いでいいな。これ以上は払わんよ。」

「へへ。まいど。」


 男に連れられてやってきたのは、高級ホテル。ここの1208号室に女優が居るという事だ。

 俺は、フロントに連絡を頼み、迎えに来てもらった。不細工ならチェンジ出来るしね。

 エレベーターの扉から出てきたのは、小柄で色白の美しい女性だった。


 それじゃあ行きましょうと俺の手を引いてエレベーターに乗る。

 その間、彼女は手を握ったまま俺を見つめてくる。なんだか不倫をしている気分になるのは、ここが日本だからか?


 部屋に入るなり、彼女は俺の首に手を回しそっと耳に口を近づけ、ささやいた。


 10万。


「は?俺はさっきの男から5万と聞いているし、先に払ったぞ!なんで10万なんだよ?」

「5万は彼の案内料金よ。私を抱きたいなら10万円払ってね。その代わり、他の女の子では満足できない身体にしてア・ゲ・ル♡」


 騙された・・・。これも社会勉強か。それにこの子で身体が治ったら安いもんだ。

「ほら。10万。これ以上は払わんからな。それで何分コースなんだ?」

「何よ、コースって。」

「ふつう、90分コースとかあるだろう?君とは何分間一緒にいられるんだ。」

 彼女はクスリと笑い、朝まで一緒よ。と口づけをしてきた。


 と、その前に。俺の事情を話すことにした。

 またもや彼女はクスリと笑い、私のテクニックを総動員してでもダメなら、10万は返すと宣言してきた!これは期待が持てそうだ。


・・・。ダメだった。


 彼女は泣きながら10万を返し、最後の手としてバイアグラを出してきた。さすがに効能はあるものの、精神的な興奮にはいたらず、俺が果てることはなく、朝を迎えることになった。


 朝、ホテルを出ると昨日、俺に声を掛けてきた男が立っていた。

 男は、申し訳ないと5万を返してくれて、また利用するのであればと電話番号を教えてくれた。



 ホテルを出た所で腹が減って来たことに気づき、こんなことならホテルのレストランで食べておくんだったと思ったのだけど、どうせなら歌舞伎町よりもおしゃれな青山あたりにでも行ってオープンテラスでモーニングを食べようと思いタクシーを留める。


 お客さん、朝帰りですか?羨ましいですね。と運転手にからかわれ、タクシーは走る。窓の外はまだ早い時間だというのに出勤の為に歩いているサラリーマンの姿が多くどの顔も疲れていることに気が付いた。


 俺もそうだったのだろうか?


 青山にある白い建物のカフェにあるオープンテラスでモーニングを食べることにした。1食2000円。高っ!出てきた料理を見ると納得はしたけどね。

 新鮮で山盛りのサラダに3種類の玉子料理。焼き立ての分厚いトーストにはお好みでカラメルソースを掛ける事が出来る。その他、数種類の料理。

 異世界では、新鮮な野菜を確保するための輸送手段がない。俺達は転移魔法が使えるから良いけど、一般の人達には出来ない芸当。だから玲子は運送業もするって言ってたんだよな。

 それが、日本では新鮮な野菜が食べ放題!なんだったら、日持ちするベーコンも出来立ての物!


 今の日本人が異世界に来たら、食い物事情でみんな死ぬな。絶対。


 俺は、珈琲をゆっくりと飲みながら街の風景を眺めていた。


 昨日、ロッカーに預けておいた本を持って、もう一度本屋に行った。昨日買い忘れた資料を手にするためだ。主に買ったのはスパイスの栽培、ソースの作り方が掲載されている本。結局、昨日と合わせて30冊になってしまった。


 一度、本を置くために自宅に戻る。テーブルには置手紙が置いてあった。何々、サリーナ様が会いたがっているので、今夜は帰ってきてくださいと・・・。


 サリーナに相談するのもありかも知れないな。


 さて、今日は何をしようか?異世界で何か使えるものはないか・・・?

 秋葉原にでも行ってみるか。

 目指すは発電機。ガソリンなどが不要な奴。自分で取り付けることが出来るのなら太陽光発電や風力発電もいいな。やはりランプの明かりだけでは夜は暗い。暗いのは寂しいもんだ。


 秋葉電気街についた。


 おおー!あるねー!発電機が!しかしベルサイユ宮殿全部となるとどれ位必要なんだ?考えているうちに、俺は途方もないことをしようとしているのではないだろうかと思ってしまい、宮殿全ては断念。せめてみんなが集まるホール位は明かりで照らしてあげたいとも考えるのだが・・・。これも途方もないことに気が付いた。


 いっそのこと、発電所を作るか・・・。


 それでまた、本屋に戻り今度は発電に関する内容の資料を買いあさった。出来る事ならこの世界の失敗を繰り返さないように、クリーンエネルギーにしたい。夢は異世界全体を明るくすること。夢は膨らむが大きいくらいがちょうどいいじゃんね!


 本を買ったら自宅に戻り資料に目を通す。まず目指すは水力発電だな!

 そのためにはモーターが必要・・・。なのだが、いきなりは無理だと思うので小さなモーターを使う水力発電キットが売っていたので、またまた秋葉にとんぼ返り。本当に小さな物だったので、5個程買って実験をしようと思う。


 少し遅い目の昼ごはんとなった。のだが。


 ここは「アキバ」。


 行った事がない所に行ってみよう!

 まず、たまたまだよ。たまたま俺の時間とスケジュールがぴったりだったのでAKB劇場に初めて入って見た。「お兄さん、初見っすか?」「お兄さんは誰推しっすか?」と聞かれたのだが、初めてなのでさっぱりわからないんですと言ったところ、「お兄さんも同士になりましょう!我々が教えます!」と法被に鉢巻、光る棒を(後にキンブレという名前を教えてもらった。)を貰いました。


 ホールが真っ暗になり、いよいよ本番!ステージにアイドルが現れると同時に客のボルテージもマックス! え?俺もやるの?これ。

 さすがに、ゆっくりとした曲やMCの時間もありで休憩が取れるわけなのだけれども、それにしても、皆さん凄いですよ。尊敬します。


 ステージが終わり、俺に道具一式をくれたお兄さんがメイドカフェに行きませんかと誘ってくれたので、一緒に行くことにした。


 メイドカフェ・・・・。なんて甘美な響き・・・。行ったことないけど。


 お帰りなさいませ、ご主人様!とメイド達が出迎えてくれる。くれるのだが、ウチの給仕たちも同じことをやってるよ?しかも本当の猫耳娘が。玲子はこんな所にも通っていたのだろうか?今度、聞いてみよう。


 何を注文すればいいのですか?と聞くと、やっぱりオムライスは外せないでしょう。と答えが帰って来たのでそれを注文。さらに、チェキ付きパフェもおすすめですぞと言ってくれたので、それも注文。オムライスを作っている間にチェキを撮りましょうとメイドの子が  言って来たので写真を撮ることに。どんなポーズがいいですか?と聞いてくるので、何が流行っているの?と聞き返したら、指チューですと言われた。


 何?指チューって。

 何でも、メイドの唇に人差し指を当て、その指に唇を当てる事で、仮想のキスが出来るという事だった。

 恥ずかしいので、ハートのポーズにして貰った。


 メイド喫茶を出、同士?とも別れ、夕方になっていたので、自宅に帰ることにした。


 自宅に帰るとまだ誰も帰って居なかったようで部屋の中が暗い。

 リビングの明かりを点けるとソファーでサリーナが寝ていた。


「おっ、桜花よ。帰ったか!久しいな!」

「ああ、本当にな。」

「どうした?元気ないじゃないか?」

「聞いてくれるか?俺の悩み。」

「民の声に耳を傾ける。それが女神の仕事だからな!何でも言っていいぞ!」

「実はな・・・。」



 俺は初めてサリーナの前で涙を流した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ