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Venus And The SAKURA  作者: モカ☆まった~り
リンド法国編
129/165

0128 ギルドの利点

「なんだぁ、ジェイドさん。何も食べないの?」

 バレットがそっけなく話しかける。

「こんな時に食べてられますかー!私は胃がキリキリと痛むんですよー!」

「前から思っていたんだけど・・・。」

 バレットはジェイドをまじまじと見ながら

「ジェイドさんって、そんなキャラでしたっけ⁉」と大爆笑!

「私はきちっと決まっていないと不安なだけなんですよー!」

 バレットよ。ジェイドさんをいじめるのはこれぐらいにしてあげてくれ。


「ああ、余りにも美味しかったもので、すっかり忘れていましたわ!」

「それで、今日は重大な相談があると聞きましたが?」

 二人は、しっかりと食べ終わった後に話題に触れる。


 俺は、二人に改めてジェイドを紹介、事の顛末を話した。


「・・・という訳なんだ。ギルドの人にも手伝ってもらえないかな?」

「評議国家ねぇ~聞いたことがないわねぇ。」サウラさんは慎重に考え

「国民が作る国ってのも、中々、面白そうじゃねぇか?」ブニールさんは乗り気だ。

この正反対の二人が協力してくれれば力強いのだが・・・。


「それで、仮にこの国に協力をして、ギルド的に何か旨味はある訳?」

「ああ、俺がいたヒガシムラヤマ領は商人ギルドをフル活用して、商品の手配や仕入れ、卸業などもして貰っていてな。それぞれに利用する度にギルドにお金を払う仕組みを作ったんだ。」

「え?あのヒガシムラヤマ領って、貴方が作ったの?今はスゴイ売上よあそこって!」

「さらにあるぞ、評議会の議員になると商売の全てを握ることが出来る。例えは旅の行商人でさえ、ギルドを通さなければ商売が出来なくすれば・・・?」

「ギルドが更に儲かるって訳ね!」

 サウラさん、目が金色に光ってますよ。ついでに言えば、ジャリンジャリンって、音まで聞こえてますよ・・・。

「だから、商売人の目で、この国を建て直して貰いたい訳なんです。」

「解ったわ。そういう事なら、協力させてもらうわ。」


「一応、俺も冒険者ギルドの旨味って奴を聞かせちゃぁ、もらえないだろうか?」

「一番デカいのは、何と言ってもこの国にギルドを立ち上げられる。」

「うん、うん。それから?」

「狩ってきた獣なんかは、商人ギルドで買い取って貰える。」

「おお、俺達は目分量でしか価値が解らねぇから、商人ギルドが付いてくれるのは、有りがたい事だぜ!」

「ふ、フン!そんなこと言ったって、高値で買い取って上げないんだからね!」

 サウラさん、ツンデレですか?

「まだあるぞ!この国は商売にしても流通の中心点だ。誰もがここを通るようになる。冒険者も同じで、この地を拠点に使えば・・・。」

「各国への移動が楽になるって訳か!」

「後は、商人ギルドの人と掛け合って貰って、冒険者は格安で宿屋に泊まれるとかの仕組みがあればと・・・。」

「ちょっと、それじゃ商売、上がったりじゃない!」サウラさん、話を聞いてください。

「宿屋って、部屋が空いていること自体で、赤字なんです。それなら、安い料金でも泊まってもらった方が宿屋の主人的にもギルド的にもお得でしょ?」

「それもそうね・・・。」


「それと、この国には鍛冶屋とか、冒険者用の商売がないんですよ。冒険者が集まるとなれば、更に儲かりますよ。」

 サウラさん、目がキラーンって光ってます!

「それに、この国が流通の中心の軌道に乗れば、さらに儲かりますよ!」

 サウラさん、目がキラキラーン!って光ってます。


「そうか、冒険者が上手く行けば、商人ギルドが儲かる、商人ギルドが儲かれば、冒険者ギルドもやりやすくなる、お互いに助かるって訳だな!」ブニールさん、良い勘してる!


「それでギルドより、この国に評議会議員を派遣して貰いたいのですけど。」

「ハイハイ!私が来ます!」サウラさん、貴女は本部ギルドのマスター代行ですよね?

「俺も行くぜ!」ブニールさん、貴方に関しては本部のギルマスですよね?


「何で、二人が来たがるんですか?」俺はフゥ〜っと息を抜いた。

「だって・・・。」サウラさんがポツリと・・・。

「この国に来れば、毎日、美味しいご飯が食べれるじゃない!」それか〜。

「俺も同じことを考えてた!」アンタもか~。


「残念ですけど、この店は閉めますよ。」

 俺の言葉に「え?」ブニールさん。「うそ?」サウラさん。

「どうして、閉めるのよ~。」

「そうだそうだ!」二人の顔が近い、近い!


「俺達はヤヌス王国の人間です。そして今日調理をしてくれているリリアも店をほっておいて、この店を手伝ってくれているんです。いずれは帰らないと。」


「誰かに料理を教えることは出来ないの?」サウラさんは泣きそうな顔をしている。

「出来ない事はないでしょうけど、リリアは特別なんです。料理スキルのレベルが高いんですよ。ですので、教えてもこのレベルの味は出せないと思います。」

「レベルっていくつあるんだ?」

「最近、計った時には70を超えてました。」

『70!』

「そんな奴がいるのか?」

「でも、本当に美味しいから嘘じゃないと思うわ。」


「それじゃあ、料理スキルが高い子を探して来れば教えてもらえるの?」

「ええ。もちろん!」リリアはニッコリと笑った。

「全国を回って探すしかないわね!」

「それなら、ギルドから鑑定スキルを使える奴を派遣するぞ!」

「ええ、早速、やりましょう!」


「それじゃ、今日は美味しかったわ!」

「また今度な!」

 二人が店を出ようとした、その瞬間、

「ちょっと、待ったー!」ジェイドさんが大声を出して二人を呼びとめる。

「それぞれのギルドから、評議会の議員の派遣を忘れないでくださいよ!」


「解ってるわよ!」

「ああ、大丈夫だ!すぐに寄こす!」

 二人は、帰って行った。


「はぁ〜。やっと終わったぁ~。」

 ジェイドさんはカウンターでぐったりとしている。

「大丈夫ですか~お腹は空いてませんか~」

 リリアはジェイドを気遣う。

「もう、胃が痛いのはおさまったよ。でも、サッパリとしたものが食べたいかな。」

「それじゃあ、ちょっと待っててください~。」

 リリアは手を動かし始めた。



「お待ちどうさま~。」

「ありがとう。これは何と言う料理なの?」

「たまごサンドです~。」


「へぇ。どれどれ。パンが柔らかい!それにたまごの味がしっかりしてるね。それにこのソース、とても美味しいね。サッパリしてるのに、お腹が膨れるね。」

「喜んで頂いてうれしいです~。」

「ねぇ、リリアちゃん。」

「何ですかぁ~。」


「辞めないで、この店を続けて下さい!」


 頭を下げるジェイドだった。


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