表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Venus And The SAKURA  作者: モカ☆まった~り
リンド法国編
123/165

0122 桜花救出作戦

 ジェイド副司祭に連れられ再び牢屋に戻って来た。


「オウカ殿、これを。」

 ジェイド副司祭が渡してくれたもの・・・。「桜花」。父親が命名した日本刀である。

「これで、私の事を信じてくれる気になりましたか?」

 ジェイドは悪戯っぽく笑いかける。俺もつられて笑ってしまった。久しぶりだ、笑うのって。


「後は、私の「影」を2人、お付けいたします。その時が来ればこの者達が動いてくれますので、しばらく辛抱してください。」

「ああ、よろしく頼むよ。」

「それでは。」

 ジェイド副司祭は暗闇に消えて行った。



 その日の夕食に「ジェイド副司祭がこれをお前にとよ!」と何やら飴玉のような物を渡された。

 飴玉を持ってきた神官は「何でも、お前が悔い改めやすそうな下準備らしいぞ。有りがたく食え!」コイツ・・・。俺が自由になったら、一発、殴ってやる。


 その飴玉を口にして、体に変化を感じた。魔力が回復したのである。

 どうやら、回復魔法が込められた物だったらしい。これで体も万全だ。今なら一人で脱出出来る自信がある。






***





 2日後の夜。裏通りにある広場で松明の火が明るく灯る。


「いいかお前ら!今から神殿を攻め落とす!」

 ジギルが気合を入れんと鼓舞をする。それに応えんと傭兵団300名も雄叫びをあげる。


「いいわね!まずは桜花さんを無事に救出します!その事を忘れないように!」

 玲子の一言で、更に傭兵団の士気が上がる!


 作戦はこうだ。

 ジギル達突撃隊は神殿の正面から攻める。当然のように騎士団が出迎えるから、これらの注意を引く事が目的。


 魔法師団への対処は玲子を含めポトフとアラン、3人では戦力不足だと、ダダンとラムが加わることになった。最悪、ドラゴンのブレスで焼き払う算段だ。


 正面に注意を引いている間にセバス率いる隠密隊、ローズ率いるラミア三姉妹が、桜花の救出に向かう。ジェイド副司祭が手際を整えてくれている。


 桜花の救出後、一旦離脱。態勢を整えて、今回の悪の根源と言われる魔石の破壊と幹部の捕縛。


「みんな、魔法耐性のリングを付けたわね!それと今回は、我が愛しの桜花さんをいたぶった罰として、桜花さんが望まないかも知れないけど、建物を破壊してもよし!抵抗するなら殺してもよし!みんなの事を信じてるわ!戦うわよ!」


『ウォオー!』


 傭兵団、全員の士気はマックスまで高ぶった。





***





 あれから2日過ぎた。明日は刑の執行が行われる。

 執行当日に救出が行われるのか?いやいや、どこのヒーローのアニメだよ。

 来るとすれば、今夜に違いない。桜花は部屋の隅で刀を持っていることを隠すように座っている。


 夜も遅くなり、暗い部屋が更に暗くなる。

 牢の番人も俺が逃げ出さない事を知ってかどうか、毎度の事ながら居眠りをしている。

 そんな時に声が響いた。


「敵襲!敵襲!」

 神殿の騎士団だろうか、慌てたような声が聞こえた。


「何!敵襲⁉」と飛び上がる牢の番人はすぐさま、立ち上がろうとするが、背後からジェイド副司祭の影2人に落とされてしまった。


「オウカ殿、こちらです!」影のひとりが錠前を外し、鉄格子を開ける。

 

 陰に案内されるまま、牢を出て左に真っすぐに走ると三又に解れる道があった。

「右の通路を進んでください!」

「解った!」


 その道を進もうとしたが、俺は足を止めた。

 暗闇にキラリと光る物を見たからだ。


 その物の持ち主は大柄で筋肉質、宗教とは全く無縁だろうと言うオーラを纏い、俺に向かって笑いながら、ゆっくりと歩いてくる。


「オウカ殿、ここは私が!」

 影の一人が大男を目掛け、突っ切って行った。


「馬鹿!待て!」

 俺の静止の声と同時に、グシャっと音が鳴った。

 一瞬にして、影は倒されたのである。音からして武器ではなく、素手での攻撃だろう。


 大男は余裕なのか、まだ笑いながらゆっくりと向かってくる。

 このまま、突っ込むのは得策ではない。大男のいる通路の中は狭い。

 であれば、少しでも広いこの場所で戦うのが自然だろう。

 俺は、相手の徴発とも取れる薄ら笑いを気に留めず、この場にやってくるのを待った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ