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Venus And The SAKURA  作者: モカ☆まった~り
リンド法国編
116/165

0115 レストランミツヤリンド法国店

「オウカ様、セバスでございます。」


「ああ、何か解った?」


「面白い事が解りました。」


「この国の法律を調べたのですが、飲酒、肉を食すという事を禁忌とはしておりません。」


「何!それは本当か!」


「はい、さらに奴隷売買、売春などの禁忌もございませんでした。」


「そうか。」


「それでは、これから神殿に潜りたいと思います。」


「神殿はやめとけ。精神支配を受けるぞ。」


「それはどういう仕組みですか?」


「ああ、神殿を取り囲むように呪術を練りこまれた鉱石が置いてあるんだ。」


「破壊してもよろしいですか?」


「できるならな。その後は下がって俺達の警護に当たれ。」


「畏まりました。」





「主、この国は本当に酒も肉もダメなのかい?」


「ダメだともさ。」


「なんで?」


「昔からそうなのさ。」


「ダメって紙か何かに書いてあったの?」


「いや、見てないねぇ。」





 今日は、和食レストランミツヤリンド法国店の候補地を探している。

 場所は・・・表通りは空きがない。裏通りでいいだろう。

 裏通りの空き店舗を探してみると、空き家・空き店舗が多いのに気づく。みんなやっていけなかったんだろうな。


 その中に手ごろな空き店舗が見つかった。

 キャパは20人位。

 少し、こじんまりとしているが、ここに長居もするつもりもない。

 一時的な店舗だから、ちょうどいいと思う。


 商人ギルドに店舗の買取申請をしにいくと、国直轄の申請場所があるからと言われ、そこに向かうとする。


 申請場所は神殿のすぐ近く、豪華な建物のひとつがそうらしい。

 申請は簡素なもので、住所と名前、建物代に権利金を支払うだけ・・・。

 これが予想以上に高かった!


 建物代金は金貨2枚。その他が権利金で18枚となる。合計金貨20枚。

 更に、毎月の売り上げから25%の課税とは・・・。

 そりゃ、店も畳むわな。


 俺がキャッシュで支払ったら、受付の人がびっくりしていた。

 俺もこの金額にはびっくりしたよ?


 店の内容は飲食店。当然、酒も肉も出しますよと言えば、受付の人がダメですと言ってくるので、ダメだと書いてある法律の本を見せてくれと言ったら、しぶしぶ承認してくれた。


「リリア、やっぱり日本料理はやめよう!いつもの料理にするぞ!」

 ここは開店の為の工事中の店内。

「お酒も肉もダメなんじゃないんですか~。」リリアは不思議そうだ。

「たった今、承認されたよ。メニューを考えてくれてありがとう。」

「オウカ様、大丈夫なのですか?」ジギルが心配そうに話しかけてくる。

「はっきり言って、危険だろう。だから、リリアの周りには俺達が、外からは傭兵団が、更に隠密部隊が警護に当たろう。」

「了解しました。」


 その日の夜は、冒険者御用達の店に全員で行く。

 どんな酒が置いてあるのか、店の料理の味の濃さをリリアに覚えてもらう為だ。

 俺達も当然のように食べるのだが、皆が口を揃えて言うのは「リリアの作った料理の方が美味い」という事だった。

 この店で食べるのは失敗だったか?途中から、普通に飲んで食べてとなってしまった。


 結局、メニューはリリアが作りたいものでいいよとなったら、リリアが肉も洋食も出しますと張り切っていた。




 それから2週間後、レストランミツヤリンド法国店オープン初日。

 どれでも全品、銅の小粒1個!と触れまわっていたので、オープン前から人だかりが出来ている。


 オープンと同時にお客さんがびっくりしていた。その訳は・・・。

「国公認、酒飲めます!」「国公認、肉、食べれます!」大きく書かれた壁。


 本当なのか?とお客さんは疑いながらも酒と肉を注文する人が多く、魚を注文する人も法国にあるどの店よりも美味い料理に舌鼓を打っていた。


 評判はあっという間に法国全土に広がり、連日、満員御礼となって行った。

 商売としては大赤字なんだけどね。法王に繋がる為にはインパクトが必要だから、これは必要経費。


 そんなある日、白いローブを目深にかぶった2人組のお客さんがやって来た。

 この店は、酒も肉も出すのか?と聞いてくるので、壁の文字を指さしながら、本当ですよと答える。


 リリアが出した肉料理を食べたお客さんは「これはどこの肉よりも美味いですな!」と言ったかと思うと、慌てて口をつむぎ、酒を飲んだかと思うと、酒の味を称賛していた。


 二人が料理を楽しんでいる姿を見て、誰かが言った。

「副神官様だ!」


 その声を聞いた二人は慌てて席を立ち、店を出て行った。


「神官様が食べてたんだから、俺達も肉を食うぜ!」

「ああ!酒も飲むぞ!」と店内は大いに賑わった。


 この繁盛に悲鳴を上げていたのはリリアだけではなく・・・。

 二ホン国とヒガシムラヤマ領だった。


 連日のように注文がくるものだから、肉の出荷が追いつかず、とうとうストップしてしまった。

 今出しているのは、一番余裕のある鶏肉のみとなってしまった。

 そんな状況でも、リリアの工夫のお陰もあって、客足が遠のく事はなかった。


 とうとう、鶏肉さえもなくなってしまったのだ。

 今は、海の幸を基本に回している。

 それでも、お客さんはやってくる。酒が飲めるからだ。


 リリアは初めこそレストランの味付けをしていたのだが、酒を飲む人が多いという事で、味を酒にあうようにアレンジをして行ったのが、またウケて連日満員御礼、売り切れ御免の日々が過ぎて行った。



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