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Venus And The SAKURA  作者: モカ☆まった~り
リンド法国編
109/165

0107 151人の誓い

 バレットが発狂して一ヶ月。


 その間、俺の身に何が起こったかと言うと、全ての嫁からの軽蔑の眼差しを一身に受けていた。


「ご主人様、私に飽きたんですか!」

「最近、呼んでくれないと思ったら、そういう事でしたか!」

「どうせ、私なんて・・・。」

 いたたまれない。


 俺は嫁全員を呼び、何とか許してくれと頼んだら、玲子が「じゃあ、一ヶ月のお仕置きで許してあげる。」と言うので、その案に乗ることにした。


 その内容は・・・俺は毎日、嫁5人を満足させる事だった。

「一日五人で一ヶ月ちょうどでしょ?」と玲子が笑う。悪魔の笑顔だ。


 最初は良かった・・・。普通の夜這いと同じぐらいだから。

 でも、それが毎日、朝から夜中までとなると話は別になってくる。


「大丈夫よ!リリアに頼んで精が付く料理を作ってもらうから!」

 玲子の冷たき言葉・・・。


 ある日、傭兵団の男が顔を腫らして帰って来た。

「これ・・精が付くと聞きましたので・・・。」ハチの巣。刺されてまで取ってくるか?

 ヒガシムラヤマ領からは山芋とニンニクが送られてきた。

 一緒に添えてあった手紙にはこう書いてあった。

「山芋、ニンニク以外でこれが効くとスペリア・ビースト族が言う物ですから一緒に送ります。ご自愛ください。—ジョアン—」

・・・これって「高麗人参」だよね!この世界にもあるんだね!


「ローズ、俺のステータスを見てくれ」フラフラになった俺が指示を出す。

「あらん、ごしゅじんさまぁ、HP,MP共になくなりかかってるわぁ」

 俺はサリーナに「助けてくれ!」と連絡を入れた。

 するとサリーナは大笑いで、魔法陣で俺を転移、サリーナの口づけで回復、すぐにベッドの上に戻される。そんな日が繰り返されていた。





 ある日の休憩時間。


「いい、バナナはこう持って・・・。」

「こうですか?」

「もっと優しく・・・。」

 とやり取りをしているのはローズとサリー。何の話をしているのかと聞くとサリーは真っ赤な顔をして走り去り、ローズは平然な顔をしている。


「ごしゅじんさまぁのお嫁さんにぃなるんだものぉ、気に入られるように教えているのぉ」

「何を?」

「私のスキル~。」

 俺はため息しか出なかった。そりゃ、ローズはスゴイよ!上手いけどさ、純潔の女の子に普通、教えるか?


 また違う日にはローズとサリーがキスをしている。

「解った?こうするのぉ。」

「わ、わかりました。もう一度、お願いします。」とサリーは息を弾ませながら言っていた。

「・・・・。」この二人は百合の世界にでも行くのだろうか。



 もう少しで一ヶ月が終わろうとしていた夜。ローズが私で最後と部屋に現れた。

「ローズは最初に来ると思ったんだけどな。」

「フフッ、最後なら心行くまでご主人様を堪能できるでしょ。」

 その夜もサリーナの回復に頼ってしまって、朝まで寝かせて貰えなかった。





ー***-





 一ヶ月が過ぎた!やっと終わった!地獄のような日々とお別れだ!


 とも行かず。


 今日はサリーとの結婚式の日。


 式は王宮の神殿で執り行われ、ゼノン司祭が牧師のような立ち位置で進んでいく。

「汝、オウカは病める時も健やかな時も〜誓いますか?」

「誓います。」

 本当は日本で玲子と一緒に聞くはずだったんだけどなぁ。このセリフ。


 結婚指輪の交換も終わり、いよいよ花嫁にキスをする時がやって来た。

 サリーのベールをあげ、目をつむったサリーに顔を近づける。

 ん?サリー、少し震えてないか?バレットの方を見る。バレットは俺と目があった瞬間に顔を背ける・・・。やっぱり俺は嵌められたんだ。


 しかし、ここまで来たら腹を括らなければ男の恥。

 俺はサリーの腰を抱き、そっと口づけをするとサリーの目から大粒の涙が溢れていた。


 式も終わり、後は家に帰るだけ・・・と思っていたんだけどぉ!


 王宮前には白馬2頭が引っ張るオープンタイプの馬車!

 どこの英国式の結婚式だよ!


 馬車に乗り、王都内を一周。勇者オウカが王女サリーと結婚。

 そりゃ、皆、見たくなるよね。おめでとうの声が王都内に響く。


 市中引き回しの刑が終わったら、今度こそ家に・・・と思っていたら宮廷内で披露宴!各貴族が集まり祝いの宴!

 祝いの宴には全ての領地の貴族も集まり、その中にジョアンの顔もあった。


「この度はご結婚、おめでとうございます!いやぁ~、ヒガシムラヤマ領に居た頃から、お二人はお似合いだと思っていたのですよ!」と調子の良い事を言ってきやがる。今度会ったら、タダじゃ済まないからな!


 他国からの祝いのメッセージなども送られて来て、これを機会に外交に踏み出そうとバレットは考えているようだ。


 お祝いの席は3日3晩続いて、ようやく家に帰って来ることが出来た。

 普通、日本なら「新婚初夜」となるはずなのだが、二人とも疲れて眠ってしまった。






 翌朝、起きると嫁達150人が集まって何やら話している。


 何を話し合っているのと聞けば

「サリー様だけズルいです!」

「私もウェディングドレスが着たい!」

「ご主人様と結婚式をしたい!」

 どうやら、サリーに嫉妬しているようだ。


 もう、こうなったらヤケだ!

 俺はベルさんを呼んで、「この子達、全員のウェディングドレスと指輪をお願いします!」

「全員って、150人全部ですか?」

「その通り!指輪はこれと同じのでお願いします!」


 一か月後。

「ゼノンさん、また牧師をお願いできますか?」

「いいですよ。どなたの結婚式でしょう?」

「俺と、俺の嫁150人との挙式です!」

「しかし、150人ともなれば、王宮の神殿には入りませんよ。」

「大丈夫です!俺の家でやりますから!」



 150人合同結婚式当日。

 空はどこまでも青く、探しても雲はない。ただ心地よい日差しだけが降り注ぐ。

 結婚式は、宮殿の広場で行う事にした。


 緑の絨毯に白いドレス姿の嫁が150人。上から見るとさぞかし綺麗なんだろう。

「汝~・・・。誓いますか?」

「誓います!」

「汝~・・・。誓いますか?」


『誓います!』150人の誓いが宮殿に響いた。


 俺のスマホが鳴り、出てみるとサリーナだ。スピーカーをオンにしてくれとのリクエスト。


「私は女神クリス・サリーナです。」

 自然と全員が膝をつく。

「今日は、結婚式が行われ本当に良かったですね。」

「これからもオウカの事をよろしく頼みますよ。」

『はい!女神様!』

 それから一ヶ月間、新婚初夜というまた眠れない日がやって来た。


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