表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Venus And The SAKURA  作者: モカ☆まった~り
リンド法国編
108/165

0106 桜花、策に嵌められる

「はぁ〜・・・。疲れた。もう寝よう。」桜花は自室に向かってトボトボと歩く。

 心なしか、扉も重く感じる。

 ゆっくりと沈むベッドに包まれ、眠りに着くさなか

「今日はサリーと色々あったなぁ、これを日本じゃラッキースケベと言う現象なんだろうな・・・・。」


 桜花は深い眠りの闇に落ちて行った。




ー***-




「まだ、ドキドキしてる・・・。」サリーは自分の胸に手を当てながら呟いた。

 本来、彼女はわがままな言動こそすれ、実は頭の中は純粋な少女で、今日みたいな大胆なことは出来ない性格なのだ。


「でも、これもオウカ様と結婚するため。頑張らないと!」


「ごめんね!遅くなっちゃった!」と慌てて帰って来たのは玲子である。

 サリーは玲子を見つけるやいなや、彼女の胸に飛び込む。


「どうしたの?何かあった?」

「もう、私、お嫁にいけない・・・・。」

 その言葉に玲子は察したのか、「え?もう、キスとかしちゃったとか?」

「ううん、何もしていない・・・。」


 何もしていないのに、瞼を潤ませるサリーを見て、玲子はサリーの性格を悟った。

「オウカさんと結婚したいんでしょ?」と優しく聞いた。

 サリーは玲子の胸の中で首を縦に振る。

「それじゃあ、もっと頑張らないとね!」

「レイコ様、お食事にされますか?」との給仕の問いに

「ううん、もう少し後で頂くわ。行きましょ、サリーちゃん!」


 玲子はサリーの手を引いてオウカが寝ている部屋へと向かった・・・。




ー***-




「ここで何をするんですか?」

「シィ—!声がデカいよ!」と玲子が注意する。

「ちょっと待ってね。寝てると思うけど、念のために睡眠魔法を掛けるわ。」と扉向こうで寝ている桜花に向かって魔法を掛ける。

「さ、もう大丈夫。入りましょ!」と扉を開けるとぐっすりと寝ている桜花がいた。


「じゃあ、さっさとしましょうか。手伝って。」とオウカの服を脱がせる。

「一体、何をするつもりなんですか!」顔を覆いながらサリーが玲子に聞く。

「既成事実を作らないと結婚できないわよ!ほら、パンツ脱がすから、手伝って!」

「は、はい!」

「オウカさんのって、大きい・・・。」思わず見惚れてしまう。

「それじゃあ、脱ぎましょうか?手伝ってあげる。」と玲子はサリーに詰め寄る。

「わ、私も脱ぐんですか⁉」

「当たり前じゃない、裸にならないと出来ないじゃない。」

「わ、私、今からオウカさんとするんですか⁉」サリーは顔を赤らめてはいるがまんざらでもない模様・・・。桜花の上にまたがろうとする。

「ば、馬鹿!本当にはしないわよ!一緒に寝るだけ!」とサリーを引き戻す。

「一緒に寝るだけ?」

「そうよ。朝、オウカさんが起きるまで一緒に寝てなさい。それだけでいいから。」

「それだけでいいの?」

「ええ、今日は他の嫁が夜這いに来ないように私から言っとくから安心して。」

「解りました。」




ー***-




 次の朝。


 朝日がカーテンの隙間から差し込み、その光で目が覚める。

「う〜ん、昨日はよく寝たなぁ〜。やっぱり3徹が効いたのかな?」

「さて、起きるとしますか・・・あれ?体が重い。」


 布団をめくるとそこに「裸のサリー」がいた・・・。なんで?

 よく見ると俺も裸・・・。なんで?

 ぼーっとしていた頭が鮮明に回転を始める。いやいやいや、何?この状況?

 昨日は俺一人で寝たよね?誰も夜這いに来なかったよね?

 なんで、サリーがいるの?しかも裸で?


 必死で昨日の事を思い出そうとしていると、サリーが目を覚ました。


「う〜ん・・・。おはよう。」寝ぼけているようだ。

 サリーは自分が裸だという事にやっと気づいたのか、顔を真っ赤に、瞳は涙で潤んでいる。

「い、いや、これは何かの事故で・・・」


 その時に扉が開いた。


「桜花さん・・・。」玲子が眉間にシワを寄せてフルフルと震えている。

「玲子!違うんだ!俺の話を聞いてくれ!」

「サリーちゃんが裸、で桜花さんも裸!これで何の言い訳が出来るって言うの!」

「覚えてないんだ!本当なんだ!」

「あっ、私、昨日の夜にサリー様を連れ込むご主人様を見ました。」と給仕の声。

「嘘だ!そんな事あるかー!」


 はぁ〜。玲子はため息を吐きながら、桜花に言った。

「やってしまったものはしょうがない。責任を取って貰いますからね!バレットさんにも今からここに来てもらいますからね!」




ー***-




 バレットはリビングのソファに腕を組みながら座っていた。

 その横にはサリーがバレットにしがみつくように座っている。


「オウカさん。よくも可愛い妹を傷物にしてくれましたね。」

「バレット、俺は何もしていない!信じてくれ!」

「信じてくれだと?よくもまあ、ぬけぬけとそんなことが言えますね。」

 何の音もしないリビングで、バレットがお茶を啜る音が大きく聞こえる。


 ・・・・。

 ・・・・。

 ・・・・。


「いいでしょう、オウカさんの言葉を信じましょう。」

 桜花は気まずい空気から解放されたかのようにパァっと顔が明るくなり

「そうなんだよね!朝起きたら、サリーが俺と一緒に裸で寝ていたなんておかしいもんね!」


 その声にバレットがピクッと反応し、

「オウカさん、今何と言いましたか?」

「いや、だからね、朝起きたら俺もサリーも裸で寝ていたんだよね。」

「妹の裸を見たと・・・。」

「ああ、見た。」桜花は濡れ衣が晴れたものだから、あっけらかんとバレットに答えた。


 その言葉にバレットは怒り心頭!

「嫁入り前の娘の裸を見るとは何事かー!」

「バレット、落ち着け!」

「兄さん、やめて!私たちは一緒に裸で寝ていただけなの!だから許して!」

「許せるかー!」


 バレットは腰に刺した剣を取り出し、「殺してやる!」と怒りをあらわにした。

 その様子を見たバレットの傭兵も剣を抜く。


「ちょっと、待った、待った!」

「いや、待てん!殺されたくなかったら、妹と結婚しろ!」

「解った、解ったから、剣を降ろせ!な!」

「いーや、ちゃんと責任を取ってサリーと結婚しますって言え!」

「解った!責任を取ってサリー王女と結婚します!だから剣を降ろせ!」


 その途端に、バレットの表情が変わり、「結婚するならいいよ。良かったねサリー♪」

「ありがとうお兄さん、私、幸せになるからね♪」サリーは玲子に目くばせをする。

 それに対して玲子はウィンクをする。

 心なしか、バレットの笑顔が悪戯小僧の笑みに見える。

 (嵌められた!)そう気づいた時には、結婚式は何時にするかの話題になっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ