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俺以外、全部勇者。  作者: サイトウ純蒼
第一章「唯一の村人、異世界に降り立つ!!」
19/104

19.警備隊に捕らわれちゃった!!

(よし、これでようやく自由の身だ!!)


 村比斗はラスティール達の隙を見て、ひとり王都の人達の中へと紛れ込んだ。



(それにしてもローゼンティアだっけ? あの性格、絶対ラスティールの親戚かなんかだろ。まるで奴がふたりになったみたいだぞ。まあいい、さてと……)


 村比斗はラスティール達から離れて、ひとり王都を行き交う『美少女』を探す。



(うんうん、いるねえ。やはり王都。美女がたくさん集まってるぞ!! さて、俺は『特別な存在』、どうやって声を掛けるかな?)


 村比斗はひとりの可愛らしい少女に目を付け、ゆっくりと近付く。ただ同時に気付く。



(お、俺ってそう言えば前世で全然モテない男だったよな……、当たり前だけど何て声を掛けていいか分からんし、それになんかめっちゃ緊張してきた……)


 村比斗はラスティールよりももっと可愛くて順応な女の子を囲い、自分好みに育てようと企んでいたが見事にその最初から躓いてしまった。たったひとりの『村人』であるのは間違いないが、基本転生しようが中身は変わらない。



(そ、そんなこと思っていても仕方がない。旅の恥はかき捨て!! やるだけやってみるぞ!!)



 そう決意し、村比斗がひとりで歩いていた大人しそうな女の子に近付き声を掛ける。


「ね、ねえ。彼女……、あのさ、良かったら俺と……」


「い、いえ、結構です……」



 女の子は村比斗を一目見ると興味なさそうに去っていく。



(ああ、ショック!! なんて辛いんだ、これ……)


 そっち系の耐性がない村比斗、既に精神的大ダメージを受けている。止むを得ず作戦の変更を決意。



(もはや俺が『村人』であることを前面に出さないと、やはり誰も見向きもしれくれないのだな!! 悲しいが前世でモテなかった奴は、異世界に来てもモテない。くそっ!!)


 村比斗に厳しい現実が襲い掛かる。そしてついに切り札に手を付けた。




「ね、ねえ。俺さあ、実は『村人』なんだけど、どお? ちょっとお茶でも……」


「はあ?」


 その声を掛けた美少女、見た目の可愛さとは裏腹に村比斗を睨みつける視線は氷のように冷たい。女が言う。



『村人? 何言ってるの、あなた?』


(うぐっ)


 すでに精神的に大ダメージを受けていた村比斗に更なるダメージが加わる。不運は続く。



「おい、どうした?」


 女の子の後ろからスキンヘッドで筋肉隆々の大男が現れる。それに気付いた女の子が男に言う。



「この貧弱そうな奴がさー、私をナンパしようとしてて、ちょっとうざったいの」


「なにぃ?」


 男の丸太のような腕の筋肉が盛り上がる。その殺気を感じた村比斗がすぐに言う。


「いや、その、これは……」



 大男が目を釣り上げて言う。


「てめえ、俺のリコたんになんか用なのかあ、ああ!?」


「いえ、その、人違い、そう、人違い!!」


「はあ? 何だと!! ぶっ殺されてえのか、このハゲッ!!」



(いや、ハゲってそりゃあんただろ……)


 そんな風に思っていると、大男が顔を真っ赤にしながらその丸太のような右腕を振り上げた。


「俺のリコたんに手え出すとは、貴様痛い目にっ、……!?」


 大男は振り上げた拳がなぜか村比斗に振り下ろせないことに気付いた。



(なに!? 腕が動かないだと……!?)



 意味の分からない大男。村比斗は千載一遇のチャンスだと思い早口で大男に言う。



「ごめんなさい!! こ、この辺で失礼しまーす!!」


 村比斗はそう言うと逃げるようにその場を去った。






(くそっ、結局俺って何もできない奴じゃねえか。強くない、他人をちょっと強化できるだけで女にもモテない。やはり俺は底辺じゃねえか……)


 そう村比斗が落ち込んでいると、後ろから声が掛かった。



「おい、お前」


「ん? なんだよ、俺は今忙し……、へ?」


 村比斗が振り返ると、そこには王国の制服らしき服を着た男が数名立っている。後ろにいる奴らは剣を抜いて構えている姿も。焦る村比斗に男が言う。



「お前が広場で女に無暗に声を掛けていたって奴か」


「あ、あの、俺は……」


 焦る村比斗。顔から汗が流れ落ちる。



「私達は王都警備隊の者だ。ちょっと来てもらおう」


 男はそう言って自分の胸に付けた大きな金色の紋章を村比斗に見せ、後ろにいた部下に連行を命じる。



「いや、ちょっと待って。俺は……」


「話は後で聞く。さあ、連れて行け」


(ま、まじかよ……)


 村比斗は両腕をがっちりと押さえられ、男達に連行されて行った。






 石のブロックが積み上げられた狭い部屋。

 小さな窓から辛うじて光が入るが全体的に薄暗い。その部屋の中央に置かれた年季の入った机と椅子に、村比斗と警備隊の中年の男が向かい合って座っている。男が言う。



「で、声を掛けていたのはナンパだということだな?」


 男は村比斗を睨みつける様に言った。村比斗が答える。


「はい、そうです。そうなんです……」


 消え入りそうな小さな声。村比斗は自分の軽率な行動を心から後悔していた。男が言う。



「最近人攫いが多くてな。お前がその一端を担いでいるんだろ?」


 男の目は真剣だ。とても冗談を言っているようには見えない。村比斗が慌てて返す。



「違う。違うって!! だから俺は『村人』、重要な人間なんだよ!!」


 もはや涙目で言う村比斗。男がやれやれと言った顔で言う。



「ああ、分かってるよ。()()()君。でもな、人攫いは……」


 男が村比斗の目を見て言う。



「死罪だ」



(う、嘘だ……、俺、死ぬのか!? ナンパしていただけで……)




「村比斗っ!!」


 その時村比斗の耳に、聞き慣れた女の声が響いた。



「ラ、ラスティール!?」


 村比斗はその聞き慣れた声を見て生き返ったような気持ちになった。

お読み頂きありがとうございます。

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