悪役令嬢は婚約破棄に優雅に頬笑む【全ては推しのため】
思い付いた悪役令嬢乙女ゲームものを書いてみました。少しでも楽しんで頂ければ嬉しいです。
「ユリア、お前にはもう我慢ならぬ。婚約破棄だ! よくも、エミィを散々苛めてくれたな!」
「え?」
少し高い壇上で、きらびやかな衣装を着た少年が声を張り上げた。怒りの表情を浮かべながら、とある少女を指さして……。
指をさされた少女は、困惑な表情を浮かべてゆっくりと首を傾げた。
「あの……シクス様、一体何を仰っているのでしょうか……?」
「黙れ、この悪女め。見ろ、愛らしいエミィがこんなにも怯えているじゃないか!」
少年は、隣で震えているピンク髪の少女を愛しそうに抱きしめる。
「はぁ……」
睨み付けられた銀の髪のユリアと呼ばれた少女は、戸惑ったままの表情で目をぱちぱちとさせた。
周囲に集まっている人々は、中心で騒いでいる王子を呆れたように冷めた瞳で眺めていた。
「また、始まりましたか……」
「愚かな」
「今回は6番目の王子ですな」
「前回は5番目だったな」
「それにしても、何故毎回ピンク髪の女を選ぶのだ?王族は呪われているという噂だぞ」
「あんな馬鹿王子ばかりで、この国は大丈夫なのか?」
「王は賢君なのにな。まぁ、第一王子だけは無事だから、大丈夫だろう」
「そうだな。第一王子は、まだまともだという噂だぞ」
「いや、最近は怪しいらしいぞ?」
「私も聞いたな。何やらピンク髪の女が側にいるらしい」
「「なんだと!?」」
互いに顔を見合わせた人々は、心配そうに深い溜め息を吐き、ちらりと壇上で騒いでいる第六王子に視線を向ける。
「第一王子も、あれみたいになるというのか?」
「いや、まだ7番目、8番目がいるだろう?」
「それは無理だな」
「今までの馬鹿王子の婚約破棄騒ぎで、母親である側妃たちが息子を心配するあまり王位継承権を放棄したというぞ」
「王子をつれて実家に帰ると騒いでいるらしい。王族は呪われているってな」
「すると、次代は?」
「第一王子が駄目になったら、もういない……」
「これは、我々も身辺整理をした方が……」
「隣国のがいいかもな」
「いや、まだ諦めるのは早いかもしれないぞ」
「あぁ、第一王子の婚約者のカトレア様か」
「カトレア様なら、何とかしてくれるかも知れない」
「「そうだな、あの聡明なカトレア様なら……」」
周囲の冷めた視線や呆れた表情に全く気づいていない第六王子は、自分に酔いしれ、尚も婚約者であるユリアを断罪していた。
そんな愚かな王子の側には同じようにユリアを一緒に悪くいう側近たちがひかえている。
「ユリア、お前のエミィに対する数々の悪行、許さない!」
「そうだ、そうだ」
「教科書を破いたりユリアに水をかけたりするだけではなく、階段から突き落とすとは!」
「何ていう悪女だ!」
「ユリア、お前は追放だ。平民になるがいい!」
ピシッとユリアを指差して怒鳴る第六王子のシクスに、突然声がかかった。
「あら、何の余興かしら?」
ざわざわとする人々の中から、ゆっくりと優雅な足音が近づいてくる。
輝くばかりの金色の美しい長い髪をした、鋭い真紅の瞳を持つ、それは圧倒的なオーラを持つ美女が、くすくすとおかしそうに微笑んでいた。
「あ……カトレア姉上様……」
優雅に近づいてきた美女を前に、シクスはバツが悪そうに視線をしどろもどろにさ迷わせる。
それは、側にいる側近たちも同じだった。
「シクス、何をしていたのかしら?」
カトレアと呼ばれた美女は、ゆるりと首を傾げ、紅い口元をにっこりと吊り上げ、じーっと何でも見透すような真紅の鋭い瞳でシクスを見つめる。
シクスは、蛇に睨まれた蛙のように固まり、冷や汗をタラタラと流していた。だが、意を決したように乾いた唇をようやく開く。
「わ、私は、エミィを苛めるユリアが許せなかっただけです」
「それで……どうしたのかしら?」
「だ、だから、婚約を破棄しよう、かと……」
カトレアに真っ直ぐに見つめられたままのシクスの声が徐々に小さくなっていく。
「まぁ、婚約破棄ですって?」
カトレアは、わざとらしく瞳を大きく開き、驚いたような声を上げた。そして、悲しそうな表情を浮かべて細い首を振る。
「シクス、残念ですけれど、貴方からの婚約破棄は無理なのよ?」
カトレアの言葉にシクスは驚きの声を出す。
「何故ですか? だって、ユリアはエミィを散々苛めていた悪女ですよ。階段から突き落として、殺そうとまで!」
「まぁ、何て恐ろしいこと。本当にそのようなことをこのユリアが? 証拠はあるのかしら?」
「はい、エミィが全て教えてくれました」
「あら、そちらのエミィさんだけの証言なのかしら?」
第五王子のファイブと同じ台詞をいうシクスに、カトレアは少々呆れたように首を振る。
カトレアは、隣で成り行きをぽかんと観察しているユリアにゆっくりと声をかけた。
「ユリア、貴女の意見は? 本当にそこのエミィさんを苛めていたの?」
「いいえ、カトレア様。神に誓って私は、そんな卑劣な行為をしておりませんわ」
「そうよね。貴女程の才女が、そんな愚かなことはしないわよね」
カトレアは、ユリアを見つめて安心させるようににっこりと頬笑む。ユリアは、カトレアの考えていることが分かったのか、静かに頷いた。
「なっ、カトレア姉上様! そんな悪女のユリアの言うことを信じるのですか?!」
「お黙りなさい、シクス。ユリアは今、神に誓ってと言ったのですよ。神への誓いは絶対です。嘘偽りを述べれば、その身は滅びるのですから……」
「そ、それは……」
シクスは悔しそうに唇を噛み締めた。神への誓いは絶対的な言葉だと、愚かなシクスにもよく分かっているのだ。
そんな中、間延びしたのほほんとした声が耳に入ってきた。
「あのー、あたし、本当に苛められたんですぅー。ウソじゃないの、ですぅー」
「あぁ、エミィ! 可哀想に」
うるうると瞳を潤ませシクスをあざとく見上げてくるエミィを、シクスはぎゅっと抱き締める。
そんな二人を冷めた真紅の瞳で黙って見つめるカトレアは、にっこりと口元を緩めた。
「そうですか、エミィさんは、嘘をついていないのですね。そうですと、困りましたわ。ユリアとエミィさんの主張が違いますもの。では、エミィさんに問いますわ。エミィさんは貴女の言葉を神に誓えますか?」
カトレアのはっきりとした声が広間に響き渡る。
シクスの胸の中で泣いている様子のエミィは、小さく頷いた。
「あたしぃー、ウソはついて、ないですぅー。本当に、そのユリアさんに苛められてぇー。だから、神に誓えますぅー」
エミィが神への誓いを発した瞬間、カトレアの口角がゆるりと上がった。直ぐに両手を上げ、頭上に巨大な水鏡のようなものを浮かばせる。
「神よ、真実を!」
すると天井に浮かぶ巨大な水鏡から、映像が流れ出した。
エミィが自分の教科書を持ち出し、それを破り捨てる姿。自分の上履きや制服をズタズタにして捨てる姿。自分から泉に飛び込んでびしょ濡れになり、シクスがやってくると突き飛ばされたと泣き出す姿。シクスが近づいてくるのを確認してから、階段からわざとシクスに向けて落ちていく姿。誰もいないのに、ユリアに突き飛ばされたと泣き出す姿。シクスだけではなく、シクスの側近ともキスをして貴方だけだと甘える姿。
次々とエミィの嘘が水鏡により、暴かれていく。
シクスと側近たちは、信じられないものを見るかのように、水鏡の映像を呆然と見つめていた。その側でエミィは顔色を青ざめさせていく。
「エミィ、これは一体……?」
「シクスさまぁ、これは、違いますぅ。誤解ですぅー。」
エミィは瞳をうるうるさせながら、必死に言い訳を考えていた。そして、何かを思い付いたように、ぱあぁっと顔を明るくさせる。
「こ、これはー、あのぅ、そこのカトレアさんの、陰謀ですぅー。カトレアさんは、あたしが気に入らないからって、こんなウソの映像をー。だってぇー、カトレアさん、悪役令嬢だからー」
エミィのすすり泣きながら口にしていく言葉に、その場にいる誰もが唖然とした表情を浮かべた。
「エミィ、いったい何を言って……」
シクスさえも、信じられないものを見るように、エミィからよろよろと少し離れていく。
エミィは、きょとんとした表情で、自分から離れていくシスクを見つめた。
「えっ? 何で? だって、カトレアは悪役令嬢でしょ?」
エミィの言葉に、周囲のざわつく声が大きくなっていく。
「あの娘は馬鹿か?」
「まぁ、何て罰当たりなことを……」
「神に誓いをたてたくせに……」
「愚かな」
「その身を滅ぼすだけだ」
周囲の冷たい視線にさすがに気づいたエミィは、焦った表情で叫ぶ。
「え、何で?何か攻略法が間違っていたの? ここは、悪役令嬢を断罪するシーンでしょ? 私は、主人公なのよ! ヒロインなのよー! 折角、『花メデ』の乙女ゲームに転生したのに、何で?!」
「エミィ、いったい何を言っているのだ?」
シクスが、愕然とした表情で、エミィの言葉を理解できないとばかりによろよろと後ずさる。
一方、エミィの発する言葉に、カトレアは、微かに目を細めつつ口元に悠然と笑みを浮かべていた。
天にあげていた両手は既に下ろしていたが、頭上の水鏡はまだゆらゆらと消えてはいない。
「エミィさんは、どうやら御乱心のようですね。可哀想に……。やはり、神の怒りを買ってしまわれたのかしら?」
カトレアがゆっくりと首を傾げながら言葉を紡ぐと、シクスや側近たちが顔を青ざめさせ、エミィから更に離れようとした。
そんな離れようとするシクスたちに気付き、慌ててエミィが離さないとばかりに、走りよりしがみつく。
「離せ!」
「いやぁー」
エミィやシクスたちが絡み合い、ひっくり返る。
その瞬間、頭上の水鏡が揺らめき激しい光を発した。
室内だというのに激しい雷雨みたいな轟音が響き渡る。
「「おぉ、神の怒りだ」」
次々と誰もが口にする。
そうして、稲光のようなものが走ると、もつれあっていた壇上のシクスたちに向けて落ちていった。
シーンと静まり返った中、カトレアが両手をぱんぱんと叩く。
するとそれが合図だったかのように、直ぐに会場へと、騎士らしき者が数人入ってきた。
「そこの神の怒りを買った者たちを牢屋に……」
「「ハッ」」
騎士はカトレアに深々と礼をすると、倒れているシクスやエミィたちを連れていった。ぐったりとした様子で運ばれていくシクスを見送りながら、カトレアはフフッと優雅に頬笑み、小さく呟いた。
「ねぇ、シクス。貴方から婚約破棄はできないのよ。だってもう、ユリアから婚約破棄をされていたのだから……」
そうして、カトレアは、優雅に淑女の礼をするとその場を後にした。
「皆様、またお騒がせをしましたわ。これで最後だといいのですけれど……」
少々愁いを帯びた寂しげな表情を浮かべ、意味ありげな言葉を残して……。
************
「それで?」
「えぇ、またしても、転生者でしたわ。まさか、シクスまであんな愚かになろうとは……」
「仕方ない。王家に降りかかるピンク髪の呪いだからな」
「あら? 貴方も呪われるのですか?」
「ハハッ、愚問だな。既に私は真紅の天使に捕らわれている」
「まぁ、失礼しましたわ」
屋外の花咲き乱れるテラスで、カトレアは微かに頬を赤らめ、手にしたカップから紅茶をゆっくりと飲んでいく。
正面には、銀の髪に優しげな緑の瞳の青年が座り、同じように紅茶を優雅な手つきで飲んでいた。
「それにしても、まさかにワンにまで……」
「ワン様は、お変わりになられました。このままでは、おそらく……」
「ふむ、恐ろしいな。ピンク髪の呪いは……。ワンを助ける方法はないのか?」
「やれるだけはやってみますが、難しいかと……」
「そうか……」
銀の髪の青年は、少し寂しそうに微笑んだ。
「カトレア、君にはまたしても辛い思いをさせてしまうな。何度も王家の呪いの後始末をさせてしまい、本当に申し訳ない」
真摯に頭を下げてくる青年に、カトレアは慌てて首を振る。
「いいえ、私は何も辛くはありませんわ。貴方が無事ならば、それだけでいいのです」
カトレアは、青年をまっすぐに見つめ、幸せそうに微笑む。
そんなカトレアの笑みを青年は、眩しそうに見つめた。
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第六王子シクス婚約破棄乱心事件から、数ヶ月後。
久しぶりに王家主催の舞踏会が開かれた。
だが、第一王子ワンと共に並んで仲良く入場してくるはずの婚約者であるカトレアの姿がない。
人々は非常にざわついた。
第一王子ワンと腕を組んで入ってきたのは、またしてもピンク髪の女性なのである。
誰もが王家は呪われていると口にした。
ワンは、ピンク髪をした厚化粧の娼婦のような女性の腰に手を回して歩きながらゆっくりと壇上に上がった。
そうして、人目も憚らずイチャイチャと女性と抱き合う。
舞踏会に集まった人々は、今までとは違いすぎるワンの様子に驚きの表情を浮かべていた。
「皆の者、よく聞くがいい」
酒臭い息を吐きながらワンが片手を気だるげにあげた瞬間、広間の扉が開いて、優雅に礼をして笑みを浮かべながらカトレアが入ってきた。
「少々、遅れてしまいましたわ。私としたことが……。あら、ワン様、ちょうど良かったですわ。私から大切なお話があるのです」
カトレアは、口元に優しげな微笑みを浮かべたまま、ゆっくりとワンたちに近づいていった。
そんなカトレアの笑みを見て、一瞬ワンの顔色が変わる。だが、隣で囁いてくる女性の声に励まされたのか、カトレアを睨み付けた。
「何だ、カトレア。もう、お前の出る幕はないぞ。お前は、今日破滅するのだ!」
「あら、ワン様。何か勘違いしてらして?」
カトレアは、おかしそうに口元に手を当てるとクスクスと笑い出した。
「勘違いだと?」
「はい、私、今からワン様が喜ぶことを申し上げますわ」
「何?」
戸惑いの表情を浮かべたワンに、カトレアは指をピシッと突きつける。
「ワン様、貴方にはほとほと愛想がつきました。婚約破棄ですわ!」
周囲で固唾を飲んでいた人々は、驚きの声を上げた。
ワンも唖然とした表情を浮かべている。
「どうぞ、そこのピンク髪の女性とお幸せに……。但し、次期王位からは降りて頂き平民としてですが……」
「何だと?」
「え? 何? やだぁ、ワン様、王子様じゃなくなるの!? 王様になるんじゃあー」
驚きの声を上げたワンの隣で、ピンク髪の女性も声を張り上げる。
ワンは、悠然と微笑みを浮かべているカトレアを睨み付けた。
「ふざけるな! カトレア、お前にそんなことを決める権利はない!」
「あら、ワン様、お忘れでして? 神の誓いの下でしたら、私にも権利はありましてよ?」
「うぐっ……」
カトレアの言葉にワンの顔色が途端に悪くなる。
神への誓いに嘘偽りはつけない。神の誓いの下、清廉潔白であるべきだ。神への誓いをした者、嘘つきし時、滅ぶがいい。
そんな神への誓いを発動させられるカトレアの能力は絶対的だ。
カトレアの水鏡は、真実を映す鏡。嘘偽りがあるときは、神からの天罰を食らう。誰しもが知っていることである。
そして、天罰を食らった愚かなる者は、その罪の重さによる悪夢に捕らわれることを……。毎晩、逃れられない恐ろしい悪夢を見続ける。
その悪夢から助かるかどうかは、その者次第……。
「それでは、問いますわ、ワン様。貴方は次期王になるべき器でして? 清廉潔白でして? そこのピンク髪の女性にどれだけ無駄なお金をかけているのかしら? さぁ、神に誓えますか?」
「あ、ぁ……私は……」
ワンの顔色がどんどん悪くなっていく。
カトレアが両手を高々と上げると頭上に水鏡が浮かび上がった。
瞬時に、そこには、毎日ピンク髪の女性と遊び狂うワンの姿が映し出される。ワンは国民の税にも手をつけていた。
遊蕩三昧の日々、だらけた生活。湯水のように使うお金。
水鏡から流れる映像に、皆呆れた様子でワンを見つめる。
ワンは、水鏡の映像を隠そうとしているのか両手を上にあげて、「違う、見るな!」と叫んでいた。
隣にいるピンク髪の女性は、キョロキョロとどうしたらよいのか、周りを見渡している。
「え、何? 何で? ここは、悪役令嬢カトレアの断罪シーンのはずじゃあー。どうなってるの?!」
周囲がざわつく中、ピンク髪の女性の言葉は誰にも聞かれないでいた。ただ、一人を除いては……。
チラッとピンク髪の女性に視線を向けたカトレアは、小さく呟いた。
「何故、転生した主人公は、毎回愚かなのかしら? 折角の二度目の人生なのに……勿体ない……」
カトレアの小さな呟きは誰にも聞かれることなく、宙に消えていった。
カトレアは、視線をワンに戻して優雅に頬笑む。
「さぁ、ワン様、神に誓えまして?」
ワンはぷるぷると怯えたように首を振って、腰を抜かしたように座り込んだ。
「カトレア、許してくれー!」
「ワン様、許しを請うのは私にではありませんわ。神にでしてよ?」
「ひぃぃー、神よ、お許し下さいー」
ワンは情けない姿で恐怖のあまり下腹部を濡らしていく。
水鏡が眩しく光り出した。
「え? 何? なに? 私はヒロインなのよー! こんなのおかしいのー」
ピンク髪の女性が大きく叫ぶ中、激しい稲光がワンとピンク髪の女性に降り注いだ。
気絶したように、倒れ込む二人。
全てが予定通りのように、直ぐに騎士が入ってきて二人を運んでいく。
静まり返る舞踏会の会場で、カトレアは周囲を見渡し、優雅に頬笑みながら淑女の礼をした。
「またしても、お騒がせを致しましたわ。でも、これで最後だとお約束致します。それと、私の婚約破棄を見届けて下さりまして、ありがとうございました」
カトレアは、それはとても花も綻ぶように可憐に微笑んだ。
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その後、心配されていた王家だったのだが、滅ぶことはなく、逆に平和な世が長く続くこととなる。
まだ、王子が一人だけ、残っていたのである。
第一王子の影として生きていた双子の兄が……。
その名は、ファスト。後に歴史に名を残す明君となる。
そして、そのファスト王の側には常に真紅の瞳の美しい王妃が控えていた。
その名は、カトレア。
ようやく、結ばれた二人は、いつまでも末長く、幸せな日々を送ることになる。
************
「やっと、ここまできたわ。これで、ファスト様が殺されるルートは全て消えた」
カトレアも、転生者。
この世界に来た時、推しに会えると全身を震わせた。
全ては推しのため。
出来うるあらゆることに暗躍した。
わざとピンク髪の女性を王子たちに近づけた。
「ファスト様、ごめんなさい。私は天使などではない。ただの悪役令嬢です」
カトレアは、シーッと人差し指を口に当てて、にっこりと優雅に頬笑む。
読んで下さりまして、ありがとうございました。
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連載中の
『神子様は骨が好き!?』
『これって玉の輿なの!?~王子と私の入れ替え物語~』
も、良ければよろしくお願い致します。
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