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プロローグ

書きたいように書いていくので読んでいただけると嬉しいです

 拝啓皆様。私は今年で26になる会社員として勤めていた神月正人(こうづきまさと)と申します。私の勤めていた会社では、普通では考えられない残業時間、家に帰れるのは月に一度。流石に残業代はでていましたがそれも雀の涙程度のもので、とてもいい環境とは言えませんでした。この会社を辞めようかと思った時もありましたが、この会社以外に受からなかった就活時代を思い出したのと、職場の同僚に悪いと思いそれもできませんでした。

 そんな折に先日までこの会社で働いていたという人が訴訟を起こし、会社側は劣悪な職場環境が露呈し多額の慰謝料を払い大損害、そのままの流れで倒産してしまいました。

 そうして職を失った私はお金もなく、新しい職にもつけません。どうしようかと思った時ふと親の顔が浮かびました。私の実家のある場所は電波もほとんど入らないような山間にある村です。そんな村なので交通の便も悪く(徒歩で山を越える)、仕事が多忙を極めていたため帰省することもありませんでした。そう考えると親が恋しくなってきました。善は急げと言いますし私は実家に帰ることにしました。連絡手段がないため突然の里帰りになりますが大丈夫だと信じます。

 そうして私は実家のある地元に帰ろうとしていたのですが、山を越える途中で土砂降りにあい洞窟で雨宿りをする今に至ります。






「あー、降ってこないと思ったんだけどな......やっぱり山の天気はすぐ変わるなぁ......。」


 俺は地元のある山奥の村に帰ろうと思ったのだが、山の天気というのは自分の思ってるより変わりやすかった。まさか雲ひとつない快晴から一転して台風ばりの雨風が来るとは......。でも運がいいことに山中に洞窟があって雨宿りできたことは幸いだった。

 それにしてもこんだけ激しいとやむのか心配になってくる。気を紛らわせるために洞窟を探索してみよう。

 少し探索してみたが思ったより洞窟は広い。これがゲームなら敵がいたり宝があったりするんだろうな、と思いながら洞窟探検を現実でできる機会なんて滅多にないからワクワクしていた。奥へ奥へと進んでいくうちに分かれ道が現れ、俺は直感的に右へ進んだ。すぐに終わりが見えると思っていた洞窟探索だが思った数倍奥深くまで続いていて分かれ道が来るたびに直感で進んでいくうちにだんだん帰り道が不安になり引き返した。だが引き返した時にはもう遅く直感で進んでいた俺は洞窟で迷子になった。

 こんな山中にある洞窟の奥で死んでも誰にも見つけてもらえない、と半ば諦めの気持ちで帰り道を探していると光が見えた。俺は迷わず光の方へと歩いて行った。




 そこは開けている場所だった。明るい、だけど外ではない。何より暑い。そう、まるで漫画などでよく見る地獄のような場所。

 ここはどこなんだ?ここが地獄だとしたら俺は死んだのか?などいろいろな考えが頭の中を回っていた。

 ふと周りを見ると遠くに人の列ができているのを見つけた。なんだかわからない時は人に聞くことが大事だ、新社会人の頃にそう教わったのを思い出し列へと向かった。

 列に並んでる人たちはどこか生気がなく、生きてる人ではないように感じた。びびりながらもその中で強面だがまだ生気を感じる男性に話しかけてみる。


「あの、すみませんがここはどこなのでしょうか」

「へっ、何言ってんだあんた。自分のやってきた行いを思い返してみればここがどこだかくらいわかるだろ?」

「え?あ、ああそうですよね。失礼しました」


 それがわからないから聞いたのだが......。しかしそういう返し方をされるともう一度は聞きにくい。結局ここがどこがかわからないが何かをした人たちが集まる場所らしい。


「それよりも兄ちゃん、あんた列から外れてて大丈夫なのか?あいつらに見つかったらタダじゃ済まねーと思うぜ」

「それってどういうことでしょうか?」

「そのまんまの意味よ。列に並んでないとあいつらに連れてかれちまうぜ」


こんな気の強そうな人がビクビクしながら話しているって相当怖い人なのか、突然怒鳴られたりしたらやだな。


「その通りだ。規則を破ったものには罰がある」


 低い声が聞こえ、思わず声の方を向いてみるとそこには鬼と悪魔がいた。比喩表現ではなく、ツノの生えている赤い肌の鬼と尻尾の生えた黒い肌の悪魔がいた。


「お前、なぜ列から外れてる。それにお前の顔は見たことがないな」

「え、ええと、さっき来たもので」


 悪魔に話しかけられ少しびびったが、どのような人にも失礼な態度を取らないようにと先輩に教わっていたのが活きた。


「ほう、ならお前が生気に満ち溢れているのにも納得だ。しかしおかしいな、死んだばかりのやつは列の最後尾に行くはずだが。まあいい、お前は列に並んでいない、つまりは規則を破っている。破った奴には罰が必要だ。ここは冥界だからな、どんな罰になるかは閻魔様次第だ」


 そう言い悪魔が笑ってるように見える。

 しかし閻魔様なんて子供の時以来聞かない単語だな。それよりも冥界って言ってたよな、俺は死んだってことなのか?会社にいる時は何度か死ぬと思ったことはあったが本当に死ぬ時って思ってる以上にあっさりなんだな、いや、この場合はぽっくりか。死んだって考えると両親に連絡しなくて正解だったな、いらない心配かけずにすんだ。まあ死んだ時点で親不孝者だが。


「聞いているか?それともこれからのことを考えて放心してしまったか?まあ、無理もない。せいぜい軽い罰になることを祈っとくんだな。では行くぞ」


様々なことを考えている俺をよそに悪魔は早く俺をどこかへ連れて行きたいようだ。

 

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