第8戦目 やってみた系プレイヤー
今日もお疲れ様です。
祝PV700回! 祝ユニーク200回!
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「────で、下敷きにならないようドラゴンを食い進み、旨くてそのまま完食してたら2番手だ」
紅茶をもう一口飲むとやれやれという素振りをした。
4人もそれに合わせて、紅茶を口飲むとやれやれという素振りをした。
「食いしん坊だわ」
「ハゲさんー、食いしん坊ー」
「食いしん坊ハゲ」
「流石ハゲ」
「だから、名前見てくれって……」
「ところでだわ。ドラゴンそんなに旨い?」
グニルが紅茶カップを置いた。
「ああ、旨かったぞ! どの部位も高級な肉の旨味で一切臭みは無し! 鱗は箸休めに最高なポテチ! 血はソースにもドリンクにもなって最高だった。まあ、メイン職業美食家のおかげかも知れねえけどな」
「ねー。美食家ってどんな感じー?」
メガセリオは、眠たそうに頬杖をつくと紅茶をすすった。
「味覚の旨い範囲が広がる。それと何だって砕く顎とそれに対応した内臓になったな。あとは、説明書き通りだ」
「ほほー」
「てなわけで、次タロー」
アフロが顔を向けるとタルタロは頷いた。
「うん」
─ ─ ─ ─
「ねえ、タルタロ。死霊魔術師と聖職者ってイメージ噛み合って無いし、君とも噛み合わせ違うと思うんだけど、職業その2つでいいの?」
「うん」
「本当に? 後で変えられないこともないけど有料だったり、特別な所行かなきゃだったりするけど大丈夫? 特に死霊魔術師は嫌われてるから余計かもしれないんだけど」
「これが面白そう」
「んー、そういうならもう何も言わないからね」
「それがいい。あ……」
「ん? どうしたの不調でもあった? それともやっぱり職業変更する気に────」
「身体の試運転しなきゃ」
タルタロは、ストレッチを始めたかと思うとその場から忽然と消えた。
そして僕は、首に何かが刺さろうとしたけれど刺さらず無理やり押し付けられ続ける感覚に襲われた。
「刃が通らない」
不満げな声が背後から呟かれた。
(え、いつの間にタルタロは後ろに!?)
「て、ちょっとタルタロ! なんで当然のように僕の────」
そこで意識は闇へと吸い込まれた。
─ ─ ─ ─
「んー、ここもダメか」
僕は眼球を薄い板で引かれる感覚で目を覚ました。目の前には、しゃがみ込んで僕の口目掛けて、刃物を振りかぶっているタルタロが目に入った。
「って、ちょーっと待って! 寝込みに人を実験台にしないでくれるかな!?」
起き上がり様にナイフを握り潰すと必死に訴えた。
「勝者の特権」
タルタロは、躊躇なくナイフを手放すと拳を振り上げた。
「止めてー!」
僕は、急いで死霊達を掻き集めタルタロを送り出した。
─ ─ ─ ─
「やられた」
ナビゲーションに逃げられたことを悔しがっていると、いつの間にか目の前で小隊が骨だけで動くドラゴンに襲われていた。
観察していると胸に煌々と光る石があり、そこから光の筋が骨の中を通り、骨を繋げているように見えた。近くの小隊が持っていたロングソードを盗むとドラゴンに忍び寄り、爪先の関節へと刺してみた。
痛がる素振りを見せないドラゴンだったが、足を動かすと爪先だけが地面に残された。
「ふむ」
とりあえず、ドラゴンに忍び寄ったまま次々と関節を刻む。
骨のドラゴンは、気付かないまま徐々に身体がボロンボロンと崩れ落ちていき、地面に力無く転がった。
「あっけない」
動かないのを確認すると、お喋りなナビゲーションが言っていたように、目の前の骨を鞄にしまう感覚で触ってみた。
インベントリに仕舞われた通知が視界のすみに出る。
「なるほど」
周りに散らばるドラゴンの骨を全て回収し終わると、一際目立つ光る石を回収し、側で転がっている満身創痍の小隊に気休めの治癒魔法を掛けた。
「意外と時間経った」
メニューから時刻を確認するとタルタロは、山を降りていった。
今回のお話しでも楽しんでいただけてましたら幸いです。
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【裏設定】
・ドラゴンとのイベントシーン
本来は、目の前で小隊が焼かれた後に自分も飛び火で一緒に焼かれるという負けイベントです。