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第1戦目 そうして我等は彼の地に降り立った

お疲れ様です。

絶賛風邪でぶっ倒れております。

「ねー、これサ終したらさー『campus』って新作ソフトやらないー?」


 ピンク髪でボブカットの少女は、木箱の上に三角座りしながら下の4人を見た。

 型稽古をしていた緑アフロに迷彩服の男性は、虹色に光るサングラスを煌めかせた。


「おお、よく広告で見るやつか。あれは確かに自由度高そうだな」


 縄の束で出来た海に寝そべっているロボットを想起させるアーマースーツに黒髪ロングのカツラを嵌めた青年は、ヘルメットの保護を外して視線を向けた。


「あ、それチェックしてたゲームだわ。種族を合成魔獣、または職業ものまね師、もしくは両方すると大きく脱線出来そうだったから皆にオススメ」


 大きな胸の下で腕を組み仁王立ちしていた、背中まで伸びた銀髪の女性は、広角を上げた。


「へえ、お前らがやるなら私も手出すかな」


 大きな筒の群れに、もたれ掛かりながら、空を眺めていた黒髪の少年は変わらず空を見上げ続けていた。


「じゃ、僕も」


 黒髪の少年が言うと空からスポットライトのように光が差した。それに続いて大きな足の裏がゆったりと降りてきた。


 この女神の名はワロス。魔物と生存競争を繰り返すこの世界の人々と魔物、遊ぶために魔物と戦う転移者、その三者を平和と平等の名の元に邪魔を繰り返し、自身に楯突いたほかの女神を邪神と決めつけ虐殺しまくったこの世界で誰が嫌いか聞いたら満場一致のクソ女神。


「あやー、本当にクソ女神様降臨したねー」


「おっと、もうサ終24時間前か」


「よっしゃ! お前ら最後に一遊びしようぜ」


「さあて、ぶ飛ばしたらみんなどんな顔するかねえ!?」


「マナー違反はド3流、枠内で遊べてまあ2流、枠外で遊べて良い1流───」


「「「「「 自ら無茶に挑む! 我等は超我流! 」」」」」



─ ─ ─ ─



『勇者様、原生民。長い時をこの世界で過ごしていただきありがとう。私が平和と平等のために何度止めさせても止まらないあなた方は知性が魔物にすら劣るのかと不安になったことが何度もありました。他の愚神のせいで世界は混沌化……。しかし、それもうどうでもいいことです。女神である私は許します。どんな生き物でもこの世界で過ごしていただいたことに感謝します。残り短い時ではありますがごゆっくりお過ごしください』


 ズドドンッ! 女神が話し終わるのと同じタイミングでそこら中から大きな音がした。

 ヒュ~といくつもの風を切る音がしたかと思うと、大きな音と共に昼の空へハッキリ見える花火が咲いた。

 そんな中、微笑む女神の頭よりも一際大きく丸い影が左右へと素早く移動しながら近付いたかと思うと、女神の後頭部を()()した。

 そう、強打した。つまり丸いそれは左右にではなく何かを中心に、宙へと上がってから左右に力の向きを変えて回転していたわけである。


 そして、その中心にいた女性は銀髪をなびかせ、女神が前のめりになったのを視認すると辺りの地上へ響く大きな声を出した。


「頭が高えなあ! 先ずは大地にめり込んでお星様に謝りな!」


『ぐ、クソ猿どもがあ』


 仮面が一瞬で剥がれた女神は、振り向きながら足を踏み出して体勢を立て直そうとするが、横倒しになっている森に躓き(つまずき)顔から倒れそうになると、追い打ちとばかりに四方八方から飛んできた太い縄によって小人の国に漂流した男のような図へと瞬く間になっていく。


 女神の目線に立つアフロの男性は、キザに指をパチリとした。


「久しぶりだな。クソ女神、せっかく顔出したんだから俺らからの卒業記念品を受け取りな」


 無理矢理に火蓋を切って落とされたクソ女神へのリベンジマッチ。実に23時間という時間を掛け、運営の予想を越える数々により、女神が討伐されてしまう伝説となった。


─ ─ ─ ─


「いやー、面白かったねー」


「だな! やはり、初撃の爆弾くくりつけた森を胃にぶち込むのは最高のスタートだった」


「分かるわ。ところでさ、仮にも女神が目や口から光線出すのには笑ったわ」


「あれは、同じ乙女としてねえな」


「乙女違う。ヤンキー」


「元な! テメェ頭カチ割んぞ」


「お断り」


「あー、そろそろ終わ───」


 言葉が言い終わる前に、さっきまでいた場所は字だけが浮かぶ真っ暗な空間に変わった。


『当ゲームは、ただいまの時刻をもってサービスを終了致しました。長らくのご愛用誠にありがとうございました』

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