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絶対不死世界エリュシオン  作者: 高森エニシ
第四章 光明
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27話:西へ3

 ハルメリアからコルドに到着する。道中、以前モラクスに襲われていた村をちらりと見たが、平和な村に戻っていた。

 コルドの街は、まだ寒い季節だというのに外はプレイヤーの姿が多く相変わらず賑やかな都市だ。真新しい物があるわけでもなさそうなのに若干不思議だ。

 カーリスもプレイヤーは多いが、イベントのない日は皆それほど出歩かない。

 プレイヤーの質の差なのだろうか。

 カーリスは高レベルプレイヤーが多い都市で、コルドは税率が安くて交易などが好きなプレイヤーが集まる商業都市だ。

「タケさんとこいこー」

 マリンが言うので、皆で向かう。

 色即是空のギルドハウスの玄関をノックすると中から返事があってスチュアートが出てくる。

「やっほー、すーちゃん」

「あれ、マリンちゃんだー。どしたの? 皆で」

「うーん、観光中? みたいな?」

「そっかー。でも今、タケさん狩り行ってて、姐さんは買い物行ってていないんだー」

「セーレ以外にも狩り行く人いたんだ……」

「タケさん、死んでも気にしないから結構ソロ行っちゃうねぇ。今回は遠くまで行ってるから、まだしばらく帰ってこないんじゃないかな」

「心配にならないっすか?」

「最初のうちは心配したけど、もう慣れたからねー。あんまり皆気にしてないね。って、立ち話もなんだから中どーぞー」


 スチュアートの案内でギルドハウスに入ると、以前来た時から模様替えしたのか壁紙や家具配置が変わっていた。スチュアート以外の色即是空のメンバーに軽く挨拶をして、大部屋のソファを借りる。

「クラーケンぶりだねぇ」

「その節はお世話になりました」

 セーレが軽く頭を下げる。

「あれ、終わってみたら結構楽しかったなーって。でも、クエの報酬ひどかったね。雨とかいらないよね。こっちは日照りとかいう概念ないし」

「ねー。あのあとアダマンティアにも行ったけど、あっちもただの置物くれた」

「えーじゃあ、次はウィンダイム?」

「そーなの」

「またクソアイテムもらったら教えてね」

「うん。って、クソアイテム前提じゃないし!」

「そういえば、コルドは人通り多いですよね。何かあるのかな」

 疑問に思っていたことを聞く。

「うーん、お店が多いからかな? NPCの店も多いけど、プレイヤーが作った服とか家具とか置いてる店もいっぱいあるの」

「あっ、じゃあ明日はもう一日コルドに滞在して、買い物しよ?」

 マリンが皆に提案する。

「するっす!」

「いいね~」

 モカとシオンが賛同して、他はどちらでも。と返したのでマリンの提案がそのまま採用された。



 翌日は、モカとシオンと買い物に出る。

 今はシオンもレベルが上がったから、街中でも心配はないとは思うものの悪い思い出もある場所なので、念のための付き添いだ。

 しかし……。

「わー、この服可愛いっす」

「こっちのレギンス一緒にすると合うんじゃないかな」

「わ。その色合う。シオンさんセンスいいっすよねぇ~」

「そ、そうかなぁ?」

 女子二人(?)の買い物は長く、俺は暇を持て余し始める。二人が楽しんでいるのを見るのは悪くないけれど、俺はやることがない。荷物持ちすら必要のない世界だ。メンズの服も売っているには売っているけれど、レディースほどバリエーションがあるわけでもなく、すぐに飽きてしまった。

 そんな俺に気付いてかシオンが声をかけてくる。

「ごめんね~。レオさん暇だよね」

「気にしないで」

「リアルだと、そんなに服興味ないんだけど、こっちは楽しくてつい……」

「うん。こっちだと何着ても許される感じあるし、色々あって面白いよね」

「おっ、レオさんコーディネートするっすか?」

「いや……」

「わー。しようしよう」

 と、二人にメンズ服のコーナーに連れていかれる。

「ボクこういうの似合わないっすから、人に着せるの楽しいっすね~」

「うんうん。自分以外の人に着せるのたのしー」

 姿見に映った姿は、自分では選ばないような少し派手な服だったが、二人の見立て通り似合っていた。髪の色のせいもあるかもしれないけれど、違う自分を発見できたのは少し面白かった。

 新しい服にすると気分も変わるし、たまにはこれを着てみるのもいいだろう。


 色即是空のギルドハウスに帰ると、バルテルとクッキーが色即是空のメンバーとボードゲームをして遊んでいる。

「おかえり~」

 アンネリーゼがオランジェを食べながらこちらを見る。

 軽く挨拶をして空いているソファに皆で座る。

「おー。服買ってきたの? 皆似合っとるやん」

「ありがとうっす」

「セーレたちは?」

「二人はまだー。マリンちゃん買い物好きやでねぇ。ゲームやっとるの不思議な子やわ」

「アクティブなオタクって感じっすよね」

「モカもわりとそうじゃない?」

「いやー。リアルだと、イベントとかないとそんな他の人と出かけないっすよ」

「なるほど……」

 話していると、マリンたちが帰ってくるが……。

「ただいまー」

「え、その髪どうしたの」

 二人とも髪型が変わっていた。マリンの髪の色は先端にいくにつれ明るくなっていくアッシュグレーのグラデーションになっていて、先端は緩やかに巻かれてふんわりとした髪型になっている。セーレは黒髪のストレートロングで、首の後ろに赤いリボンをつけてまとめている。

「ウィッグ売ってて、つい~」

「ほえ~」

「色々買ってきたから付けてみる~?」

「はいっす!」

「はーい」

 モカとシオンがマリンのところに嬉しそうに近寄っていく。

 セーレは、ため息をついて俺の向かいのソファに座る。

「買い物疲れた?」

「ええ」

 セーレは、マリンに着せられたのか学者風のローブを着ている。

「知的な衣装も似合うよな」

「やめてください」

「褒めたのに。俺もモカたちの買い物付き合って疲れたよ」

「ああ、マリンとモカさんたち一緒に行かせればよかったですね。……レオさん。その服お似合いですね」

「ありがとう。モカとシオンさんに選んでもらって。センスある人にコーディネートしてもらうと違うな~って」

「なるほど。確かに、二人はレオさんよりセンスありそうですね」

「ひどい」

 俺がむくれると、セーレは悪びれもせずに笑った。



 買い物を楽しんだ翌日は、サティハラに馬車で向かう。

 今日はモカとシオンとバルテルと一緒の馬車で、皆本を読んでいる。

「馬車で本読むって、酔わない?」

「酔わないっすね~」

「レオさんも何か読む? そこに積んであるよ~」

「じゃあ、何か読もうかな」

 シオンが馬車の端に積まれた本の山を指すので、適当に選ぶ。

 漫画や画集だとすぐに読み終わってしまいそうなので小説にしようと、それっぽいものに手に取ると、思ったよりきっちり製本されている。

 手に取った本は、大艦巨砲主義となかんかそんなことが書かれている。パラパラとページを捲ると、中は手書きだが読みやすい字なので、とりあえずこれにしよう。

「これ買ったのシオンさん?」

「うんにゃ、わしじゃよ。片っ端から買っておいたの」

「なるほど。金の心配ないっていいよなぁ」

 こればっかりは、この世界において断トツにいい部分だ。

「レオさん、エロ本もあるけど読むっすか?」

「ここで読む勇気はない」

「えっ」

 シオンが顔を上げる。シオンが持っているのは肌面積の多い表紙のBL本だった。

「シオンさん、あとでそれ貸してほしいっすー」

「はーい」

「君たち……。っていうか、シオンさんそういうの好きだったっけ?」

「基本的に雑食だから、気になればわりとなんでも読むよ~」

「うん、でもそういうのは人目につかないところで読んだ方がいいんじゃないかな……」

「えへへー。友だちの家でよく読んでたからつい……」

「いいっすねー」

 いいのだろうか?

「まぁ、ここも友だちの家っぽくはあるよね」

 バルテルが、『現在世界におけるオリジナル製作物について』というまとめ本を読みながら言う。

 あまり煩く言っても仕方がないな。と、俺も手に取った小説を開いてサティハラまでの時間を潰した。


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