1、社畜幼女の誕生
「いでっ」
足の小指に激痛。
どうやらこの小さな段差に足をぶつけたようだ。てか、ここどこや。なんかすごーくアンティーク、西洋のお屋敷みたいだな。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
お嬢様…!
うお、この人メイド服着てるよ。雰囲気ピッタリだな。ん?なんかめっちゃこっち見てんな。後ろに誰かいらっしゃるのね。ちょっとお嬢様のお顔を拝見…
誰もいない。
あれ?お嬢様は?誰もいらっしゃらないよ?けどメイドさんこっち見てる。え?お嬢様って…
「…お嬢様って、私ですか?」
「…そうでございます」
メイドさんの顔が不審者を見るお顔に…!美人はどんな顔をしても綺麗ですね!
…て!現実逃避してる場合じゃなくて!
私は自らの手を見てみる。そこには成人女性のありがちな手があるはずなのだが、幼児のプニプニの手が見える。私は日本の廃れた社畜だった。もちろんオシャレに気を使っている暇などなかった。だが!自分のものと思われる髪は、日本人特有の黒髪ではなく銀!しかもメイドさんは、黒髪ではあるが明らかに日本人の顔立ちではない!そして私の着ている衣服はふりふりドレス…!!これは、これはもしかしなくても…
異世界転生!!!
けど、小指ぶつけて前世思い出すとかどうなの!?こう、何というか…せめて高熱とかさ!ちょっとかっこつくやつが良かったな!
…小指。くそぉー、小指…!!
ありがとうございました、