初プレゼント
こんにちわ!
わたしはプリウスのむすめ!
5さいです!
きょうも、
ルキウスさまはたいちょうがよろしく、
ごごからおべんきょうをしようということで
おやしきでおまちしています。
とのことづてを
ししゃさまから
いただいたのでした。
それも、なんということでしょう!
ようひつしです!
こうきゅうなようひつしって
はじめて見ました!
やわらかいです!
でも、いんくがにじんでないです!
ふしぎなのです。
さすが、こうきゅうようひつしです!
と、かんしんしていました。
ルキウスさまは、
こんなにこまかく、
そしてうつくしい文字を
おかきになる...
とそんけいです。
わたしは、いただいたおてがみを
きゅっとだきしめました。
どうしてでしょう。
わからないけど、
ぎゅって。
なんとなく、そこに
ルキウスせんせいを
かんじられるような気がして...。
でもさすがのようひつしです!
シワがつかないのです。
おそるべし
こうきゅうようひつし...。
わたしがいつもおやしきに行くのは、
よるごはんようの
さかなとにくを
おやしきにおとどけする
ついでに、
にばしゃにのせてもらってます。
きょうもごごから
おやしきにおうかがいするとのことで
ごぜんちゅうにせんたくものをして
ほしてもらって...。
と、おおいそがしです!
おひまさまがいちばんたかいところから
すこしおりてきたころにおうちを出ます。
すると、
そんちょうさんのところにあつめられた
おやさいと、やぎのおちちと
ちょうどいいぐあいに
そうぐうできます。
そこからえっちらおっちら
にばしゃにゆられて、
ゆるやかなさかをのぼり
おやしきにむかいます。
じかんにしてどのくらいでしょうか?
いつもおぼっちゃ...
ルキウスさまと、
ひとしゃべりすると
おちゃのじかんとなり、
かるいおやつと、
ごごのおやくとうを
いっしょにいただいてからの
おべんきょうとなります。
からだをつよくするおくすり、
おやくとうも、だいぶのみやすい
おあじになってきました。
もしかしたら、
なれてきただけかもしれません。
ちなみにですが、
おいしくはないです。
さて、ほんじつも
ルキウスさまは
ごきげんうるわしゅうですか?
...と、おやしきがみえてきました。
もんをぬけても
すぐにはおやしきではありません。
ひろくてすてきな
おにわがあるのです。
うらにはには、
もっとすてきなものが
たくさんありました!
でも、ルキウスさまは
いつも
とこにふされていて、
ぜんぜんしらないそうです。
こんなすてきなところを
たんけんしないなんて、
もったないなぁとおもいます。
なんておにわをみていたら
なんとおやしきのいりぐちに、
キラキラかがやく金のかみを
かぜになびかせて
ルキウスさまが立ってます!
「ルキウスさま!」
と、りょうてをぶんぶんふりました
「...!」
ちょっとせいりょうたらずで
きこえませんが、
ルキウスさまもかたてをすっとあげて
こちらにふってくれました。
わたしはうれしくなっちゃって、
にばしゃのスピードがゆっくりなときに
ぴょーんととびおりて
ルキウスさまにかけよりました。
ルキウスさまはびっくりがおです
でも、ちかくまでいったら
りょうのうでをひろげてくれました。
「ルキウスさまぁ!
ごきげんうるわしゅうですか?」
と、めのまえまですすんで、
ぺこーっとあたまをさげました。
ルキウスさまは
りょううでですかーっと
そらをつかんで、
にぎった手を口にあてて
「こほんっ」
とせきばらいされました。
「ごきげん...
ちょっとガッカリきぶんです。」
「はい?」
「なんでもありません。」
ちょっとこごえすぎて
きこえませんでしたが、
ルキウスさまが
おそとにいらっしゃるなんて
めずらしです!
「ルキウスさまは、
いま、
なにをなさっておいででしたか?」
「あぁ、うん。」
「......」
「?」
「...べ、べつに。」
「おさんぽですか?」
「そう!それ!」
「お日さまもあったかひるさがりです
おさんぽさいこーです!」
「...ん。」
と、ルキウスさまは
にっこりしてくれました。
「もう、おさんぽおしまいですか?」
「あー、うん。
おしまいにしました。」
「そうですか。
わたしもいっしょに
おさんぽしたかったです。」
としょぼーんとしてしまいました。
「...っ。
じゃあ、次は
いっしょに散歩しよう?」
って言ってくれるルキウスさまは
ほんとうにおやさしいです。
「はい!
ぜひ!」
とうれしくって
おへんじも元気いっぱいです。
「では、さっそくぼくの部屋へ。
昨日の復習からしよう。」
「はい!」
「覚えてる?」
「もちろん!」
「では、わがローマの
国外の国の名前から」
「えっと
ローマをちゅうしんとして
かんがえたときに
たいようしんソールがのぼるほうこうに...」
まだ、ルキウスさまのおへやに
たどりつくまえから
きのうのふくしゅうスタートです!
さすがルキウス先生は
やることにむだがありません。
ってじじょさんたちのうけうりです。
「はい。
よくできました。」
と、にっこりルキウスさま。
ルキウスさまのおへやにはいると、
つくえの上には
なんさつか、
しらないご本がのっていました。
「ふふ、さっそく気が付いた?」
と、本をトントンなさいます。
「どのくらいの言葉が読めるのか
昨日理解できたので、
いまのキミに読める本を
何冊か用意しておいたんだ。」
なんと...!
さっそくわたしにも
もう、本がよめる日がくるとは。
かんどうです!
「さっそくだけど、見てみる?」
って、本を1さつ
手にとって見せてくれます。
「はい!
ぜひ!!」
って、
あわてて
ルキウスさまのよこによういされた
おいすにすわります。
もうですね、
わくわくがとまりません。
「じゃあ、よむね。
むかしむかし世界には...」
そこには。
はるかなむかし、
ギリシアのちにおりたった、
かみさまたちのおりなす
“ 神話 ”
というセカイがひろがっていました。
もちろんわたしも、
かみさまはたくさんしっています。
でも、そのなかのかみさまたちは
とってもとっても...!なのです!
もしかしたら、
ルキウスさまがよんでくださった
からかもしれませんが。
ルキウスさまのすてきな声から
つむぎだされる
かみさまのものがたり。
それを想像しながら、
わくわくと聞きます。
「ふふ、面白い?」
と、きゅうにこちらをむいて
ほほえむルキウスさま。
「はい!とても!」
「そうか。
よかった」
と、本をとじてしまわれました。
ショック。
「おしまいですか?」
「うん。おしまい。」
「がっかりです...」
「そう?
どうして?」
「だって...。
すてきなセカイで
わくわくで、どきどきで!」
「ふふ。
そうだね」
「ルキウスさまと
いっしょのセカイが、
すごくうれしくって!」
「...!
も、もうちょっとだけ、
読もうか?」
「はい!」
「いやいや、ちがう。
そうじゃなくて。」
「?」
「これはね、
この先の世界は、
自分で読むんだよ?」
って、その本を
わたしにもたせてくれました
「???」
「だから、ぼくとの勉強時間以外も
勉強、したいでしょ?」
「はい。」
「だから、ね?」
なんということでしょう!
いままで紙の1枚ももっていなかった
わたしの家に、
ようひつしと、本が
やってきました!
「うわぁ、ありがとうございます!」
「うん。
よろこんでいただけて、
なによりです。」
って、またルキウスさまは
くろい、えがお?
「と、いうわけで。」
「?」
「さっきのはギリシア正典
こっちはエジプト神話
こっちは北欧のスカンディナヴィア神話
あとこれが...」
もたされた本の上に
どんどんつぎをかさねられ、
お、おもいです
さすがにじじょさんが
とめてくれました。
「ルキウスさま、いっきにこんなには
大人でも読めませんわ」
「そうかなぁ?」
「よみ、たいです、けど」
「けど?」
「おもくて、おっことしそうですぅ゛」
と、だんだんナナメになるわたし
「ああぁ」
と本を下から
ささえてくれるルキウスさま。
「神話を読むとね、
その国の歴史を知れるだけでなく、
国民性や生活スタイルまで知ることができる。
だから、その国に行く前に把握しておくと、
潜入もしやすくなるし
準備や予備で苦労が減るから
とても助かる。
だから、読んで欲しかったんだけど...」
と、いちど本をうけとり
つくえの上に
おきなおしてくれました。
「わたしはよみたいです!」
っておへんじしたら、
「そう?
じゃあ、これ、読んでみて!
面白いし、ためになるから」
「はい!」
「...うん。
今日も良い返事です。」
「はい!ルキウス先生!」
「じゃあ、ご褒美をあげなくてはですね」
「ご褒美?」
「はい。
ご褒美に、先程の本、
全部あげますよ」
「えぇ!?」
なんということでしょう。
たしかに、あれだけのりょうを
ちゃんとよんで、りかいするのは
たいへんそうです
あした、かえせる気がしません。
だからといって、
くれるとは...
いったいおいくらなのでしょうか
また、だちんとやらが
ふえてしまうのでしょうか...
プリューラ5才にして
たじゅーさいむしゃですか
と、かたまってしまいます。
「...ぼくからの、
初、プレゼントなんだけど...
嬉しくなかったかな?
やっぱり、侍女たちの言う通り
迷惑だったかな?」
って、ルキウスさまが
しょんぼりしてしまいました。
なんでルキウスさまが
しょんぼりするですか!?
おびえてるのは
わたしなのです!
「じじょたちがね、
プレゼントなさるなら、
お花や装飾品のほうがって
アドバイスくれたんだ。」
そんなもの、わたしかいあげられません
「でも、指輪やネックレスなんて、邪魔かもだし、大きくなったら使えなくなるし...
きみならたぶん、本の方が喜ぶと思って。
僕がきみくらいのころに読んだ1番簡単に訳された本を昨日頼んで、さっき届いたんだ。」
そうだったですか。
「早く見せたくて、
早く来ないかなって、
昨日の夜から待ち遠しくて...」
「やっぱり、めいわく?」
ってルキウスさまは切なそうに
おっしゃいます。
「めいわくかはわかりません。
おもいけど、
プリューラはよみたいです!」
「そう言ってくれる?」
「はい!
あと、ルキウスさまだとおもって、
だいじにしたいです」
「...!」
「でも、わたしのおうちは
せまいし、かぞくがおおいので、
たいせつにできるかわからなくて...」
「ボロボロにしても、いいんだよ?
それはもう、きみにあげるのだから。」
って、またまたやさしすぎます。
「ルキウスさま...」
「ん?」
「だいすきです!!」
っておもわず抱きついちゃいました
「...!!!」
ぼぼぼぼぼって
真っ赤になられる
ルキウスさま
「ぼぼぼ、ぼくm」
「さっそくこのつづきよむです!
きょうは、もうかえっていいですか?」
と、ルキウスさまから
ぱっとはなれて、
さっきの本を
ギュッてだきしめました。
「え?」
ルキウスさまだけでなく、
そこにいたみなさんが
キョトンとなさいました。
「まだ、にばしゃさんがいるです。
いつもみたいにあるってかえると、
本をもってかえれません。」
「...たしかに...。」
「ご本、ありがとうございました!
たいせつに、たいせつに、よみます!」
と、ごえいさんがてつだってくれて、
きょうはにばしゃでまた
えっちらおっちら帰りました。
おうちにつくと、
お父ちゃんとおにぃたちが
もうかえっていて、
たくさんの本をみてびっくりしてました。
「これは、
わたしのルキウスさまなのよ!
みんな、よみきかせてあげるけど、
さわったり、よごしたり、
すてたらめっ!なのよ?」
と、かぞくみんなに言いきかせました。
そのころ、おやしきでは。
「...プレゼント作戦、失敗したかも」
と1人おへやでおちこむルキウスさま。
そのようすをへやのそとからみまもって
「プリューラを、正式に雇いあげようかしら」
「住み込みがいいと思います」
なんてはなしあいをされてるなんて
おもいもよりませんでした。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます
今回長くてすみません。
ルキウスは、プリューラを待ちきれなくて、外で待っていたのでした。
プリューラに伝わらなくて残念でした(苦笑)、あと、鬼教師に全然ならなくてすみません。
いつも生徒に怒りきれない私です(汗)
次回、プリューラ5歳、仕事と家族はどっちが大事?(仮)
同時進行で、
ルキウス、初恋に気がつく(仮)
の巻
の予定です。
がんばりますので、どうぞよろしくおねがいします。
次回『朝の光』になりました。
(2019.09.30追記)