涙の訳は。
古代ローマを舞台に5歳の少女ががんばっています。
とうとう相方登場しました。
「では、あなたはそこで
待っててね」
じじょちょうさんは
へやにはいっていきました。
「おぼっちゃま
およびでしょうか」
「〜...」
ギリキリきこえるレベルの
小さなおこえと
おはなししています。
どうしましょう。
ここにいたら
おはなしがきこえてしまいます。
たちぎきなんて、だめです。
わるい子です。
とうちゃんにしかられます。
「あらあら、失礼いたしました。」
「...!」
「いえいえ、そのようなことは。」
「...ー。」
ここからどきますか?
ここにいろといわれました。
おみみをふさぎましょうか?
ふさいでも、だいたいきこえちゃいます。
「はい、それはよろしゅうございました」
「ーー。」
「お元気になられたら、です。」
「〜〜!」
「いまはまだかと思われますよ」
「ー!」
「なりません。」
「〜」
「まだ完全ではないからです。
またお身体悪くなさいますよ」
うーん。
きこえないからいいでしょうか。
「ええ。からなずお連れ致します。
ですから、いまは大事をとって
治癒に専念致しましょうね」
「......」
「はい。かならずです。
お約束いたします」
「...。」
「さすがおぼっちゃま、
懸命な判断でございます」
「...」
「そうそう、おぼっちゃまが
万全になられるまで、
高原の丘にはいけませんので、
かわりにというわけではありませんが
気分転換できますように
人を頼んでございます。
いま、よろしいでしょうか?」
「...?」
「はい。」
「...!!!」
「いいえ、そうではございませんよ」
うぅ...。
よくきこえないけど、
おこってませんか?
それより、
あんなによわよわしいこえで
おはなしするって、
ほんとうにからだがわるいって
しってるの。
かあさまがお空にいくまえに
ねこんでいたのをおもいだします。
「...うぅ、かぁさま...」
うるっと、なみだがめに
たまりそうになりました。
でもでも、いまはがまんです。
だいじなときなのです。
おへやのなかでは、
またじじょちょうさんと
おぼっちゃまがおはなししています。
「おぼっちゃまがお嫌でしたら
断りますよ」
なんですと!?
「ーー!!」
「ええ、もちろんです。」
「〜...。」
「そのようなことを
気にするタイプにはみえませんでしたよ」
「......」
「はい。ではそのように。
全てはおぼっちゃまの思うままに。」
「ー。」
「プリューラ!
お入りなさい!」
なみだがたまったおめめを
ぐりぐりしていたら
よばれてしまいました!
「プリューラはいりまぁす!」
そこには。
みたこともないような
きれいなくうかんがひろがる
おへやでした!
いろがいっぱいのぬのでかざられたかべ
きれいなかざり、つぼ?
たなもまるたじゃありません!
そして
べっとによこたわるおとこのこは
あたまからおふとんをかぶってます!
「...ぼくは
友だちがほしいなんて言ってない!
お前にようはない」
「ここまできたのは
ご苦労だった。
下がれ。」
ガーン、なんということでしょう。
先生におしえてもらえるゆめは
ゆめどころかあわでした。
「...ぼっちゃま。」
「ちゃんと自分でことわったぞ!
からだもちゃんと治すから
あの丘へ連れていく約束を
まもれ!」
「ぼっちゃま。」
「ゴホッ」
「ほら、また咳が。
そんなに気性を荒らげては
なおるものもなおりません。」
「うるさいっ!
ぼくだって好きで病気じゃない」
せんせいにおしえてもらえないショックで
ぼーっと聞いていたのだけど、
いまのひとことでハッとしました。
「かぁさまも、
すきでごびょうきではなかったです」
こえがでちゃいました。
おふとんの中で
ぼっちゃまが
ビックリしたのがわかります。
「...おまえのかあさまも
病気なのか?」
さっきまでプリプリおこってた声が、
やさしくなったきがしました。
「いえ、いまは
びょうきではありません」
「なんだ!ぼくとちがうのか!
じゃあいまは元気なんだな!
うそつき!」
「はい。いまはげんきです!
げんきになって、
おそらのおほしさまになるたびに
いきました。
おほしさまになれなかったら
かえってきます」
「...え?」
「わたしは、
かあさまが大すきなので、
またあいたいんです。
でも、おほしさまになるのは、
しんわになるのと
おなじぐらいめいよなことだから
おほしさまになれるなら
おうえんしなきゃって
とうちゃんとにぃちゃんたちと
やくそくしたんです。」
「...」
「かあさまは、
おほしになるたびに
いけるくらいげんきになりました
だから、
うそついてごめんなさい」
「...」
「...」
しーんとしずまりかえっちゃいました。
うそつきっていわれてしょっくです。
でも、かあさまがいまげんきなのが
いちばんうれしいからへいきです!
「...おまえ、
かあさまにあいたいんじゃないのか?」
「もちろんです。
あいたいです!」
「...そうか...
ぼくもだ。」
もぞもぞと、
おふとんがうごいて、
ずるずるっておふとんがおちました。
「...ごめん」
そこには、ひかりをあびて、
きらきらとひかるかみのけをもった
あおじろいくて、ほそくって
でも、きれいなおかおをしたおとこのこが
あらわれました。
こっちをみてくれないけど、
みまちがえようがありません。
あんなきれいなきんのかみ、
ここらへんではぜったいいません。
「...あれ?
あのおかのおとこのこ...」
「え?」
気まずそうに、
ふせめだったおめめが、
ぱっとこっちをむいて、
めがあいました。
なんてキレイな蒼いいろ!
「...!!」
どうしてでしょう?
とてもおどろいたおかおをしてます。
「...」
「...」
「...?」
かあさま、どうしたらいいですか?
ぼっちゃまかたまってます!
じじょちょうさんもむごんです。
どうしたらよいか、
なにをいったらいいか
わからずオロオロすることもできず、
わたしもメデューサのじゅつを
かけられました。
せきぞうかするわたしたち
なぜかニコニコの侍女長さん。
「.....リーウィア。」
「はい。ぼっちゃま」
「丘はもう、いい。」
「あら、左様でございますか。
いかがいたしましたか?」
「...うるさいっ...。」
ぷいっとよこをむくおぼっちゃま
え、
きらわれましたか?
いままでとうちゃんとにぃちゃんしか
しらないわたしでした。
えらい人とおはなしするって
気をつかうです。
ドキドキと、ハラハラと
ちのけがサーっです
こわいです。
いま、きらわれたら、
せんせいが...、
ちがいます。
なんだろう?
きらわれたくない、です。
丘であったあとに、
おもいだしたら
うふふってきもちになれるひとです。
また、あいたいなって
おもってたです。
あいたかったのは
ぼっちゃんでした。
でも、
きらわれちゃったのかな。
っておもったら
またなみだが...
ってがまんです!
すぐなく女はウザイって
にいちゃんいってました。
きらわれたくないから
なきません!
でももぅ、きらわれたかもーっ!
って、やっぱりきょうも
あたまがいそがしです。
あたまだけじゃくて、
きょうは
なみだもおおいそがしです。
「ではぼっちゃま
このものは断って帰らせますが
よろしいですね?」
じじょちょうさんが、
わたしのりょうかたに
ぽんとりょうてをのせました。
やっぱりだめでしたか。
がっかりです。
せんせいもだめなら、
だちんもはらえませんでした
ごめんなさいとうちゃん
「...だめだ。」
「?」
ぼっちゃんは気まずそうに、
こちらをちらりとみました。
「...ことわらない。」
お?
じじょちょうさんがくすっとわらいました。
「と、いいますと?」
「その子はぼくのものだ。」
「は?」
「...!
じゃなくて、
ぼくの話し相手。
おねがい。
たのまれてほしい。」
モノあつかいされて、
またタコにもどったのかとおもいました。
「だそうですよ。
プリューラ、どうしますか?」
「は、はい、おねがいします!」
ドキドキしながらへんじしました。
ぼっちゃんは、
ぱっとえがおになって
こっちをむいてくれました。
「よかった!
ねぇ、そんな部屋のすみにいないで
もっとこっちへ!」
じじょちょうさんをみると
こくんってうなずいてくれました。
「はい!」
いっぽまえへでました。
「もっとちかくへ」
「はい」
もういっぽだけまえへ。
あんまりちかくにいくと、
なみだいっぱいなのが
バレちゃいます
「もっとだよ。
ベットの、ここまで!」
じじょちょうさんは
くびをふるふるしてます
では、わたしはもうちかづけません。
「あぁ、どうしてっ。」
と、ぼっちゃまは
ベットからおりようとします
「ぼっちゃま!」
「へいきだ!」
と、じじょちょうさんをせいししました。
「リーウィア、おまえはもう下がれ!」
「かしこまりました。」
えっ!
いっちゃうんですか?
って
ふあんなかおをしたのが
わかったのでしょうか。
じじょちょうさんは
わたしに
「そそうのないように。
部屋のすぐそとにいますから
安心してね。
大丈夫。本当は優しいぼっちゃまなのよ」
とささやいてから
いってしまいました。
ふたりきりになると、
ぼっちゃまは、
よわよわしいあしどりで
わたしのすぐちかくまで
きてくれました。
「あぁ、
こんなになみだをためて...
ごめんね、
かなしいこと、
おもいださせたね」
なんていうか、
がまんしてたのに
なみだがでてしまいました。
「うんうん、大丈夫だよ」
って、すっごくやさしく
わらって
なみだをふいてくれました。
いまは、かあさまのことだけで
なみだがでてるんじゃありません。
でも、いえません。
「うつくしい黒髪、
ねぇ、ふれてもいい?」
ってへんじするまえに
かみをひとたばてにとってますよ
ぼっちゃま
「なぜだろう。
きみにあいたかったんだ。」
きょういちの
どきっ!がきました。
わたしもしんぞうびょうかな?
「あの丘にいたのは
間違いなくきみだよね?」
こくんとうなずきます。
あの丘であってから、
かんがえなくても
うかんじゃう
おぼっちゃんのかお。
またあえるなんて
うれしいです!
「...うん」
おぼっちゃまは
やさしくまた笑います。
あれ、ほっぺた赤いです
「おぼっちゃま、
ほっぺたあかいです。
また、おねつですか?」
びょうきはむりしたらだめなんです。
ぼっちゃまがしんぱいです。
「!
あぁ、いや、これは...」
なんだかきまずそうです
「もういちど、よこになりましょう?」
「いやだ、はなれちゃうじゃないか」
「わがままだめです」
「わがまっ..!
そんなこと...ない。」
「では、よこにいきます。
おふとんポンポンします」
「おふとんポンポン...
...わかった。
絶対だよ?」
そういうと、おぼっちゃまは
ベットによこになって、
ふーっとふかい息を吐きました。
やっぱりつらかったのですね
かあさまといっしょです。
やくそくどおり、
ベットの、よこにいき、
おふとんをポンポンします。
ルキウスさまはニコニコです。
わたしもニコニコです。
ニコニコがとまりません。
「ぼっちゃま、
だいじょうぶですか?
つらくないですか?」
「おぼっちゃまはやめてくれないか」
ぶすっとするぼっちゃま。
しゅんとなるわたし。
「コホン。
ぼくの名前はルキウス。
ルキウスって呼んでくれ。」
「はい。ルキウスさま。」
「......ねぇ、君の名は?」
「あ!ごあいさつおくれて
ごめんなさい!」
ぼっちゃまのよこに
せすじをぴーんとのばして
たちあがりました。
そして、ぺこーっ!て
おじぎして、
にこーってわらいました。
「こんにちわ!
わたしはプリウスのむすめ!
5さいです!」
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
深々と感謝いたします。
やっと、やっとルキウス登場いたしました。
少し満足です。
そして、次回からは
2人のターンです。
多分イタズラしまくり...
ますかね?
話にでてきませんが、ぼっちゃんの療養期間は1ヶ月を予定しています。
がんばりますので、またおいでくださることを願ってます。
あと、感想なんてお聞かせいただいたらうれしいです。飛び跳ねて喜びます。
2019.09.19の活動報告報告にルキウス部分の話がのっています。小話というか、こういう感じというレベルですが。
よろしかったらぜひ!
(2019.09.30追記)