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一筋の影

ルキウスは障害となるものを全て乗り越えました。

プリューラsideに戻ります。


こんにちわ!

わたしはプリウスのむすめ!

5さいです!


「では、嫌いな花の香りはないのね?」

「はい。すくなくともこの辺りで咲いてるお花のにおいはみんな好きです!」



せっかくルキウスさまがあそびにきて下さったのに、プリューラはまたもおるすばんのはずでした。


でも、今日は1人ではありません!

なんと、侍女長のリーウィアさんもいっしょです!

そしてプリューラは今、リーウィアさんから質問攻めにあっています。




お父さんと、おにいたちと、ルキウスさまがのった舟を2人で並んでりょうてをふってお見送りしました。


舟は青い海と空に吸い込まれるように小さくなって行きました。


それからリーウィアさんは腕まくりをすると、普段私がお留守番中にやっている仕事を聞いてさささのすすすーっでぱぱぱのぱ!!と終わらせてしまいました!


と言うか、凄いです!リーウィアさんは、お兄たちの服を、パンパン!と音を立てながら、ピシーっと干してくれました!

なんということでしょう!

ふだんお兄達が干しているのは、どれだけ雑かってことがよーくわかりました!


それなのにリーウィアさんは

「普段は奴隷たちに指示を出すだけで、あまりやり慣れていないから、変なところがあったらごめんなさいね」

と、少し照れくさそうに笑ってくれました。


というわけで、今私たちは家の中で、白湯を飲みながら、おしゃべりしています。


実は、プリューラはとても困っていました。


プリューラがルキウスさまのお宅にお邪魔する時には、御屋敷の玄関から待合所を通り、足をすすいでもらって中に入り、ルキウスさまのお部屋に通されるか、飲み物を飲みながらルキウス様をお待ちします。


ですが、プリューラのお家は、ドアを開けたらすぐ室内です!


お出し出来るようなお飲み物もため水しかありません!


プリューラ、いつものお返しすらできません!

こまりました、どうしましょう。


そんな私の気持ちを察してか、リーウィアさんは

「お水を沸かして飲みましょうか。」


と、あっという間に白湯を用意して、食卓に座りました。


「実はね、私はあなたとゆっくり話をしたかったのです。プリューラは嫌かしら?」


「話ですか?いやではありません!」


「そう?嬉しいわ。なんの話しをしましょうか」


そう微笑んでくれたリーウィアさんは、まるでお星様になる旅に出た母様のようで……。

思わずウルっとしてしまいました。


「ねぇ、洗濯物は、好き?」

「おせんたくですか?」

「そう。お留守番中の時間でこなしているようだけど、あなたの手荒れの原因にもなってるし…」

「うーん……。あ、冬のせんたくはキライです!でも、夏のお日様をたっぷりあびたせんたくもののにおいは大好きです!」

「うふふ。そうなのね。あのね、ローマには洗濯物を専門にしてる商売の人もいるのよ。」

「そうなんですか!?プリューラもそこではたらけますか?」

「いいえ、あなたはルキウス様と結婚するのですから、働くどころか、洗濯屋を利用する機会もないと思うわ。」

「?」

「洗濯物専用の奴隷の仕事を奪ってしまうことになるでしょう?」

「…???な、なるほどです???」


「食べ物はどうかしら?今までルキウス様と一緒に食べたもので、体が痒くなったり、お腹が痛くなったりはしなかったかしら?」

「はい!ルキウス様のお食事は、いつもいつもおいしくいただいてます!かゆいとか、おなかいたい、はまだないです!」

「よかったわ。今後は、ルキウス様と同じように寝転がって食べるマナーも身につけていきましょうね」

「うっ…。プリューラあの食べ方苦手です…」

「あら、どうして?」

「だって、食べこぼしたり、お皿に手が届かなかったりするです」

「なるほど。プリューラは食べこぼしを気にしてくれていたのね」

「はい…。」

「それは気にしなくていいわ。基本みんな食べこぼしくらいするわ。どうしても気になるようだったら、使い捨ての食事用の洋服に着替えましょうね。」

「使い捨てですか!?」

「ええ。」


がくぶるです。

使い捨ての服なんて、なんてもったいないです。もったいないお化けがでるです。


「プリューラ。」

「はい。」

「いまでこそ、私の方が目上かも知れません。ですが、ルキウス様と結婚したら、あなたは私の主人の1人となります。」

「……」

「私や、そのほかの召使いや奴隷を、上手に使ってくださいね。」

リーウィアさんは、そういうとニッコリと微笑んでくれました。


「あの…」

「そうだわ、プリューラは髪の毛をとかれたり、着付けを手伝われるのは嫌だったかしら?」

「う…。お手を煩わずらわせてもうしわけないです…。」

「ふふ。そんな事ないわ。奴隷の中には、髪の毛をとかす専門の奴隷もいるのよ」

「かみの毛をとかすのがお仕事なんですか!?」

「ええ。貴婦人のお付きの奴隷ともなれば、す

くなくとも専属の奴隷だけで30~40人ほど所有するのが普通なのよ」

「……」

「あらあら、流石にお口を開けっ放しはみっともないわ。おやめなさいね。」


無意識で、お口がポカーンとなってしまいました!言われて慌ててお口をとじます。


「あの、気になっていたのですが…。プリューラはなぜ質問ぜめになってるですか?」

「あら。会話のつもりが質問攻めしてしまっていたわね。ごめんなさい」

そういうとリーウィアさんはぺこりと頭を下げて、こう言った。


「もちろん、あなたをルキウス様の本邸にお迎えするためよ。あなたの為の部屋、食事、服、新しい奴隷を用意するために、あなたの好みを聞いていたの。」

「ほんてい……ですか?」

「ええ。あくまでも、こちらには療養のために期間限定で来ていたのよ。お元気になられた今、堂々と本邸に帰れるわ。」

「本邸…」

「ええ。ルキウス様のお父様の待つ、ローマの本邸よ。」


ルキウス様がローマに帰ってしまう。

それは、しばらくお会いすることが出来なくなるという事です。

顔から血の気が引くという感覚があります。


「…プルリューラ?顔が真っ青よ?!」

「…ルキウス様は、次はいつおもどりになりますか?」


ルキウス様に会えなくなるのが怖い…。

そう思いながら恐る恐ると質問をしました。

「あら。あなたも一緒にローマに行くのですよ?」

「えっ?」

「ルキウス様と結婚するというのは、そういうことでしょう?」

「た、たしかにです。」

「そうそう、だから、今のうちにご家族の方々にたっぷり甘えておきなさいね。次会えるのはいつになるか分からないのだから。」

「次はいつになるかわからない…」

「プリューラのお父様にはお話済みなのだけど、持参金などは不要ですからね。あなたは身1つで大丈夫ですよ。もちもん、持っていきたいものがあれば持っていきましょうね」


ニコリと微笑むリーウィアさんは、そのあと洗濯物を取り込む時間までプリューラを質問攻めにしました。

けれど、プリューラには、だんだんとリーウィアさんの声が遠くなっていくように感じました。


ルキウス様と結婚するということは、ローマに行くと言うこと。

それはつまり、おとうやお兄たちに会えなくなるということ。

そして、母様がお星様になれずに帰ってきた時、一番にお迎えすることが出来ない…。

そういうことだと、プリューラはその時初めて実感したのでした。

気がついたら、前回の話から3ヶ月経っていました。時か経つのは早いです。

小説を書き始めてからもう、3年。本来ならルキウスは11歳、プリューラは8歳になっているのかと思うとサザエさん現象のようで不思議な気持ちになります笑

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