じゃれっこ。
古代ローマを舞台に5歳の女の子プリューラと8歳の貴族の男の子ルキウスががんばってます。
ルキウスはプリューラにメロメロです。
プリューラは怪我人で、お薬はドロドロの深緑色の塗り薬です。
プリューラのけがのりゆうを
リーウィアさんは
おしえてくれませんでした。
しょぼしょぼと
プリューラのためにいただいた
おへやへともどります。
このおへやは、
ほんとうは
おやしきのおんなしゅじんのための
おへやだそうです。
ですが、
いまはおんなしゅじんが
いないので、
プリューラがかわりに
つかっていいそうです。
そして、プリューラのしたのおへやは、
ルキウスさまのおへやです!
ふたりのおへやは、
へやのおくの
ぐるぐるかいだんで
つながっています!
いつでもルキウスさまに
おあいできるのです!
『らせんかいだん』
っていうらしいです。
プリューラがおへやにもどって、
ベッドにすわって
足をプラプラさせていると
ドアがコンコンって
ノックされました。
「はぁい!」
ってお返事したら
「ぼくだよ。ルキウスだ。
はいっても、いいかな?」
ってルキウスさまのおこえです!
「ルキウスさま!
どうぞどうぞ!」
と、いつもはプリューラが
ルキウスさまのおへやを
トントンするのに、
きょうは逆です。
なんだかふしぎです。
「ルキウスさま!」
って、てててっと
ルキウスさまのちかくに
かけよります。
「うん。すっかり元気だね。よかった」
って、にっこりしてくださいました。
「はい!
プリューラげんきです!」
って、プリューラもニコニコです。
「でも、ちゃんとお薬はぬらなきゃだめだよ?」
って、手にもたれていた、
おくすりと、ほうたいを
みせてくれました。
「はぁい。
くすぐったいけど、
がんばります」
っていいながら、
またベッドにもどって
すわりました。
ぼっちゃまがおへやに
いらしたタイミングで
カウディーヌさんが
ベッドよこにイスをいどうしてくれ、
すすすっとだれも
いなくなってしまいました。
プリューラはまたルキウスさまと
ふたりぼっちです。
「?
どうかした?」
「...どうもしません」
といいつつ、
なんでしょう?
なんだかちょっとはずかしいです。
「...もしかして、きずのこと?」
ってルキウスさまが
あたまをかしげました。
「ルキウスさまは、ごぞんじですか?」
「...うん。知ってるよ」
と、ルキウスさまは少し寂しそうです。
「キミが、どうして忘れてしまったのかは分からないけど、忘れてしまったのならば、きっと忘れていた方がいいんだと思うよ。それだけショックだったのだろうから。」
ってにがわらいをしています。
「プリューラは、わすれてたほうが
いいですか?」
「うーん...
思い出す時に、きっと思い出すから、それまでは忘れてていいんじゃないかな。」
って、あたまをなでなでしてくれました。
やっぱりルキウスさまはおやさしいです。
プリューラはうれしくなって、
「はい!」
ってこたえました。
「はい。良いお返事です。
では、お薬を塗ってしまおうね。」
って、
ルキウスさまが手をだされたので、
そっと手をのせました。
ルキウスさまは、
おひるごはんのあとに
ぬってくれたのとおんなじように
また、ていねいに、ていねいに
ぬりぬり、スリスリしてくれました。
「くすぐったぁい!」
ってうふふってわらったら、
「ごめんね。」
ってルキウスさまもうふふって
わらってくれました。
「あれ?ルキウスさまも
おてておけがですか?」
と、よくルキウスさまのてをみると、
てのひらにマメと、
マメのつぶれたのがあります
「...!これは...」
って、あわててかくそうとするので、
がっしりつかんではなしませんでした!
「うふふ。
プリューラばっかりおせわされて
もうしわけないのです!
プリューラも、ルキウスさまに
おせわするのです!」
「えぇっ!?」
「プリューラばっかり
くすぐったいのはふこうへいなのです!」
って、プリューラの手にたっぷりついた
ぬるぬるのおくすりを、
ルキウスさまの手のひらのタコに
ぬりぬりします!
「わ、プリューラっ...!
くすっ...!くすぐったい!!」
って、にげだそうとします!
「だめです!のがしません!」
って、プリューラがルキウスさまに
してもらったとおりに、
ゆびのつけねと、てくびと、
ぬりぬり、スリスリします!
「...はっ...
やめっ!くしゅぐった...!!
ふふっ」
きのせいでしょうか。
ルキウスさまがいろっぽいです。
そして、ルキウスさまが
にっこにこです!
ニヤニヤです?
とにかく、
ルキウスさまがわらってます!
こうなったらトコトンです!
「わ、ちょっ!
プリューラ、や、やめっ...!!
あはっ!
アハハハハっ!!!」
「ダメです!」
って、とにかくもう、
目につくとこ、手がふれるところ、
ぜんぶぜんぶ、くすぐってみました!
「プップリュッ!
おねっやっ
アハハ八八ノヽノヽノヽ!!!」
わきばらも、わきのしたも
コチョコチョです〜♪
たのしいです!
「ちょっ!あはっ!
こ、こきゅっ で、できっ
ヒュッ
ぶはっ!!
まいった!
まいったよぉ!!
もう降さ...!
あはははっ!!!
降っ!
こうさんー!!」
と、ルキウスさまは
おなかをかかえて、
ヒィヒィいってます。
くすぐりっこは
プリューラのかち〜♪
なので、ルキウスさまを
かいほうしてあげることにしました。
「や、...はぁっ、はぁっ。
やっと、呼吸、できっ...!
ふ、腹筋痛い...」
と、ルキウスさまが
りょうてをベッドにつけて、
したをむいてかたでいきをしています。
ちょっとやりすぎました。
プリューラはんせいです。
「ルキウスさま、
コチョコチョよわすぎです」
「こんなとこされたの、初めてだもん。
し、死ぬかと思った」
「はじめてですか」
「うん。それに、こんなに声をだして
大笑いしたのも初めて。」
って、にがわらいされてます。
ルキウスさまは、
ベッドの上にじょうはんしんを
ごろってうわむきにころがって
うでで、おめめをかくしました。
「すっごく苦しかったけど、
笑うのって楽しいんだね。」
っておなかとかたを
おおきくつかって
はぁはぁこきゅうしながら
いいました。
「これからは、
いつでもルキウスさまを
おおわらいさせてあげるですっ!
プリューラ、
ひゃくせんれんまです!」
ってにっこりいうと、
ルキウスさまはうでをどけて、
こちらをチラッとみました。
にこっとしながら
コチョコチョのおててにすると、
ルキウスさまはビクッ!!
ってみがまえました。
「あ、うん。
コチョコチョは、ちょっともう
間に合ってます」
って、ジリジリとベッドからおりて、
もとのいすにもどられました。
「それにしても...
大笑いの代償に、ぼくのふくが
薬の緑色のまだら模様になってしまったね」
ってまたにがわらいを...
って!
「わぁ、ほんとうです!
むちゅうになりすぎて、
チュニックみどりです!
ごめんなさいっ!!」
ってあやまっても
あとのまつりです
「大丈夫だよ、代えはたくさんあるから。
それより、ぼくも薬だらけだから、テルマエに入り直さなきゃだ」
って、ルキウスさまは
ぜんぜんおこらないです
やさしすぎます。
「おふろ...
こんどはおせなかながすの
おてつだいしましょうか?」
とプリューラがいうと
「えっ!」
ってルキウスさまはこっちを
ばっ!!
ってみました
「いやいやわプリューラ
手、けがしてるじゃない。」
ってすこしざんねんそうに
くくっとわらわれました。
「そうですね...」
ざんねんです。
プリューラも、
カウディーヌさんにしてもらったように
ルキウスさまを
キレイキレイしたかったです。
ってしょんぼりしていたのが
ルキウスさまにつたわったらしく、
「じゃあ、いつかお願いしょうかな。」
って言ってくださいました。
「それよりねぇ?」
「はい?」
「百戦錬磨ってさっき言ってなかった?」
「はい?
あ、プリューラコチョコチョは
ひゃくせんれんまです!
むてきです!」
「...へぇ...。」
あれ?
さきほどまで、
あんなにニコニコされていた
ルキウスさまから
えがおがきえてしまいました。
「キミは、ほかの人にもこんなことを?
ふーん?」
とおっしゃったルキウスさまは
いかにもフキゲンです。
おこってらっしゃいます?
プリューラ、なにかしたですか?
ここまでお読み頂きありがとうございます。
投稿直前に気がついたのですが、じゃれあってませんね。
むしろくすぐりの刑です。
拷問です。
プリューラ...恐ろしい子...!
って感じです。
プリューラは7人兄弟の末娘なので、お兄ちゃんたちとしょっちゅうじゃれてますが、ルキウスは一人っ子のうえ、周りは使用人の大人に囲まれて育っているため経験がありません。さぞびっくりしたと思います。
手段はともあれ、2人が笑ってくれているのが嬉しいです。
次回こそ、「プロポーズ」
挿絵は付きますが、プロポーズのシーンではありません。
プリューラの前に膝をついてって、
プロポーズの構図は難しすぎました...
誰か画力を分けてください...(ガクッ)




