二階建ての一戸建て。
古代ローマの世界観を舞台に5歳女の子のプリューラと、8歳の男の子ルキウスが頑張ってます。
ルキウスはプリューラが大好きです。
「さぁ、いこうか」
そういってルキウスさまが
せきからたちあがり、
わたしに手をさしのべてくれました。
「はい」
あまりにとうぜんのように
てがのびてきたので、
おもわず手をのせてしまいました。
「うん。」
まんぞくそうに
にっこりほほえまれて、
それでも、いたいゆびさきを
さわらないように、
ゆっくりとひきよせてくれて、
ふたりでならんで
あるきました。
「まずは、食事用に包帯をとったから、念の為もう一度手当をしようね。
怪我、軽く見ると悪化しちゃうかもだから」
「はい。」
「それで、しばらくこの屋敷ですごすわけだから、キミように一部屋用意したんだ」
そういいながら、ルキウスさまは
ごじぶんのへやのまえをとおりすぎ、にかいへとつづくかいだんのまえでとまりました。
「階段上れる?足、痛くない?
辛かったら、おんぶするよ?」
って、しんぱいしてくれました。
「はい!だいじょおぶです!
プリューラじぶんでのぼれます!」
「そう...
じゃあ、残念だけど、上に行こう」
「ざんねんですか?」
「ううん、キミは本当にえらいなって事。」
わーい!褒められました!
「...うん。」
「?」
「さ、のぼって。」
「はーい」
かいだんすら、
むだにごうかです!
うちにこんなにちょうこくとか、
えが、あったら、
だれもすわることすらできません!
おやしきの
ここまできたのが
はじめてだったので、
めずらしくって、
キョロキョロしてしまいます。
ちょうぞうみては、
「おぉ...」
とこえをもらし、
絵をみては
「うわぁ...」
とかんどうし。
かいだんをのぼりきったところには
はだかのおねーさんおにーさんが
からまっているちょうこくが。
ん?ちょうこく?
「これはね、レリーフっていうんだよ」
「レリーフ...」
「横からみてごらん。
立体的にみえるけど、薄っぺらいんだよ」
「そうなんですね!
ではよこから...」
かべにかけてあるそれをみると、
たしかにおもったよりうすいです!
「おおぉお...」
よくわからないかんどうに、
めをみひらいてみてしまいます!
「ね、だから飾る場所に困らないんだ。
凄いね」
「はい!すごいです!」
「もう1回、正面から見てみる?」
「はい!」
やっぱりまえからみると、
とってもりったいてきです!
ほってあるのは、
てまえに、はだかのおにいさんおねえさん
そのおくにはおやま?
と、ちいさいひとがなんにんか。
で、いちばんてまえには
ぶどうの木です!
おしゃれです!
「ところでルキウスさま?」
「ん?」
「このおねーさん
おにーさんは
なにをしてるのでしょうか?」
ふたりで、レリーフのまえにたって
じーっとはだかのふたりを
みつめます。
どうみても
からまってます。
「......」
ルキウスさまも
むずかしいおかおをなさってます
「なにをしてるんでしょうねぇ...」
「うーん...
男女なら相撲とか、力試しでもなさそうだし...」
「うーん」
「うーん...」
さっぱりわかりません。
でも、いま一つだけわかることは、
「かぜ、ひかないと
いいですねぇ...」
「本当にね。
そんなふうに、思ったこともなかったよ」
そういうと、ふたりで
えのまえでてをあわせ
「かぜひきませんように」
「かぜひきませんように」
っておいのりして、
またおテテをつないであるきだしました。
そこから、
ぐるっとカベをつたったちょうど
うらがわのへやのまえにつきました。
とびらのまえにつくと、
「ここが、今日からキミのお部屋となります。
お気に召すといいんだけど。」
といって、
ドアをあけてくれました。
そこは、ルキウスさまのおへやとは
またすこしちがって、
やわらかい、やさしいかんじの
おかざりがたくさんあるおへやでした。
ちゅうおうにはおおきめのベット、
へやのはじにはつくえといすと、
またまほうのかがみです!
「ここがプリューラのおへやですか!?」
ごうかすぎて、どうしたらいいのか
わかりません。
ここなら、
プリューラのおにぃもとうちゃんも
いっしょにすめるひろさです!
そんなプリューラのびっくりを
ルキウスさまはきがつかれません。
「うん...、いやかな?」
「いやというか、
おそれおおいです!」
「そんなことないよ。
キミにつかって欲しいんだ。」
って、またまた、にっこりされます。
「じゃあ、なるべく
よごさず、ちらかさず、ていねいに
つかわせてもらいます。」
「そんな...
普通につかって」
って、またくくってたのしそうに
わらわれるから、
プリューラもうれしくなっちゃうのです。
「ここはね、本来、屋敷の女主人が使う部屋なんだよ。」
「おんなしゅじん」
「うん。
だから、キミに使って欲しいんだ。」
「プリューラ、おんなしゅじんなんて
とんでもないです」
「うん。
い、いまはね。」
「いつかおんなしゅじんさんがきたら
つかうへやなんですね」
なんでしょうか。
プリューラむねが
いたいです。
「そうだね。
だから、そのうち正式に使ってくれればいいんじゃないかな」
「せいしき...」
「それで、いまはぼくたちはまだ結婚してないから、ここは使えないんだけど...」
そういうと、
へやのおくのついたての
うしろをさしました。
そこにはまぁるいかいだんがありました。
「キミがいいよって言ってくれれば
ボクは使いたいんだけど...」
「いいですよ!」
「そんなあっさり...」
ってまたくくって笑うルキウスさま。
「じゃあ、この階段を降りてみようか」
って、プリューラの手を引いて、
クルって回るようにかいだんをおりたら、
なんと、ルキウスさまのおへやです!
「うわぁ、ルキウスさまのおへやです!!」
「うん、そうなんだ」
って、ルキウスさまがばつがわるそうに
めせんをそらしました。
「本当はね、ここは屋敷の主人夫婦の部屋だから...
その、いつでも会えるように、なってるんだと思うんだ。」
って言うと、わたしをチラッとみました。
「うわぁ...」
それって、あいしあうふうふで、へやはべつでも、あいたくなったらいつでもあえるって
「すごくすてきです!」
「へ?」
「プリューラのとうちゃんもかあさまも
おたがいだいすきで、いっつもいっしょにいたけど、ときどきおおげんかするんです!
だから、へやはべつでもいつでもあえるって、とってもとってもすてきです!!」
って、いっきにしゃべったから、
いきがくるしいです、ふぅ。
「そっか。
夫婦ってそんな感じなんだね」
って、ちょっぴりさびしそうなお顔をされました。
「それもすてきなんですけど、
いつでもルキウスさまとあえるのが
いちばんすてきです!!」
って、ルキウスさまとつないでいたてを、
りょうてでぎゅーってにぎりました
あれ?
あれ?
あれれ?
ルキウスさまが、
ぼぼぼっておかおがあかくなっていきます
「ややヤ、ぼっ、ともばっ...!!」
ってそっぽ向かれちゃいました。
へんなルキウスさま。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
プリューラsideなのに3000文字近くまでいってしまい、慌てて切りました。
折角描いた挿絵の出番がなかなか来ません
次回、「ぐるぐる。」
よろしくお願いします




