親子喧嘩
古代ローマを舞台に5歳の女の子が頑張ってます。
こんにちわ!
わたしはプリウスのむすめ!
5さいです!
きいてください!
とうちゃんったらひどいんです!
ルキウスさまにあんなにどなりつけて!
わたしがどれだけルキウスさまに
やさしくしてもらってたかなんて
しらないくせに!
ぷんぷんです!
わたしはおこってます!
だいすきなとうちゃんだったけど、
いまはきらいです!
大キライです!
きーらーいー!!!
なので、とうちゃんを
おうちからしめだしてやりました!
ふんだ!
「おーい、開けてくれよー」
とうちゃんが扉をドンドンと叩いています。
「しらないっ!
とうちゃんなんか、キライ!」
「それはないだろぅ、とにかく家に入れてくれ」
「ダメです!
ちゃあーんとはんせいするまで、
だめです!!!」
「プリューラぁー」
おうちのなかでは、
おにぃたちが、ワラワラとむらがって
しんぱいそうにこっちをみてます。
「プリューラ、ちょっととうちゃん可哀想じゃないか?」
「そーだよ、父上はお前のために」
「うるさいです!!
おにぃたちもおそとにでるですか?」
と、ピシャリといってやりました。
「それは...いやです」
「では、だまってて!
これはわたしととうちゃんのもんだいです!」
キッとにらみながら、
おおごえでおこりました。
わたし、ほんとうにおこってるんです!
「なぁプリューラ、せめてお前が何に怒ってるのか、せめて教えてくれないか?」
と、いちばん上のおにぃがいいました。
「もちろんです!きいてください!
とうちゃんが、おこったです!」
「怒ってるのはお前だろ」
「そうじゃないです!
とうちゃんがルキウスさまに
おこったです!」
「ルキウスさまってお前に字を教えてくれるとかっていうお屋敷のぼっちゃんのこと?」
「はい!」
「うちの父さん、気は短いけど、理由もなく怒ったりするような人じゃないよ?お前も知ってるだろ?」
「...うん。」
「もっと詳しく話を聞かないと、お互い訳分からないだろ?」
「うん...。」
「じゃあ、父さんを家に入れてあげて?話し合い、ちゃんとしようよな?」
にぃちゃんはやさしくさとしてくれました。
やっぱりいちばん上のおにぃはべっかくです。
わたしをとびらからはなれさせると、おにぃはとびらをあけて、とうちゃんをまねきいれました。
「あぁ、助かった。今夜は外で寝るのかと」
ととうちゃんはガハハと笑いました。
なぜわらうのですかと、
カチンときて、
プイッとそとをむきました。
「うちの姫さまはまだごきげんナナメだよ、父さん。」
「そうかー。」
「さぁ、父さんも、笑ってないで、ちゃんとプリューラに説明してあげてくださいよ。僕らもご飯は食べれない、おちおち寝られないで、とばっちりですよ」
と、ギロリととうちゃんをにらんでます。
おぉ、
にぃちゃんはわたしのみかたなのでしょうか。
「うーん。それがだな」
と、とうちゃんはうでをくんだり、
あごをさわったりと、
なんだかおちつきません
「勿体ぶらずに、はやくっ。」
にぃちゃんもイラついてます。
「なんだ、その、屋敷のぼっちゃんに、喧嘩売っちまった」
「はぁ!?」
にぃちゃんたちが、みんな声を揃えました。
「喧嘩って...なんで...てか、喧嘩するような年のぼっちゃんなのか?」
「ルキウスさまは、8さいだよ!とうちゃんめっちゃどなってて、こわかったんだよ!」
「うわっ、大人気な〜」
にぃちゃんたちに、やんややんやいわれてます。
「今思うと、たしかになぁ。とうちゃん、大人気なかったなぁ」
いまさらです!
と、わたしはますますほっぺたふくらませます。
「それにあいつ、子どもっぽくなくてよ、どっか大人びてるっつーか、大人なめてるっつーか」
「そりゃ金持ちってそんなもんじゃね?普段から大人の使用人使い慣れてんだろ」
「そう!それなんだよ!だから、プリューラをくださいって言われてよ、頭にきちまって!『 うちの娘を使用人にする気かっ! 』てよ」
とうちゃんはうんうんうなづいてます。
呆れるおにぃたち。
「なんだよ、使用人にしてもらえるならありがたいじゃん!」
「そーだよ!プリューラだって働けるんじゃん!」
「わざわざ水場までいって、俺達の洗濯だけさせてんのと、屋敷で美味いもんくって、暖かい部屋で寝られて、どっちが幸せだっつーの。」
「あー、屋敷って綺麗なんだろーなー、プリューラうまくやったなぁー」
おにぃたちは口々にすきかっていってます。
「お前らまて!そうじゃねぇ!ぼっちゃんは、くれって言ったんだよ!だから、うちの娘を妾にすんのかってよ!」
「......」
「ぶははは!!!」
いっしゅんだけシーンとなって
みんなでだいばくしょうです。
「め、妾〜!!」
「8歳と5歳でなにすんのさー!」
「プリューラは可愛いけど、色気っ色気が」
「親バカすぎ..」
「めかけ?なにそれ」
ちょっと!おにぃたち笑いすぎです!
「やっぱそんなわけないよなぁ。じゃあ、くれってどういう意味なんだ?とうちゃんにはわからん。」
「で、それだけ?父さんが怒った理由。」
と、やはりいちばん上のおにぃがはなしをとりしきります。
たよりになります!
「いや...それがよ、見た目がすげぇんだよ!」
「見た目?」
「な、プリューラ。説明してくれぼっちゃんの外見をよ」
と、わたしにふられました。
「ぼっちゃまはお病気で...
かあさまのようにずっとねたきりで、
おねつがつづいてたから、
ほんとうにかあさまのように、
ガリガリで...
はだかしろくて...」
「...」
うちのかぞくで、
かあさまをきらいなひとはいません。
だからかあさまをたとえにだすと、
みんなシーンとしてしまいます。
どうしてでしょう。
かあさまはいまはげんきで、
おほしになるたびにでてるだけなのに。
「ぼっちゃん、苦労してんだな」
「いやーそんな風には見えなかったけどな。
細いけど、元気そうだったぞ?」
「お元気になれたの!!」
「ならいいじゃねぇか。うちのかーちゃんは...」
と、言いかけてとまりました。
かーちゃんはなんですか?
「とにかくよ、肌はびっくりするくらい白いは、髪は金髪だは、とてもローマ人に見えなくてよ」
「金髪ー?」
「てっきり有名な貴族の坊ちゃんかと思いきや、ありゃどっかの貴族の戯れだろな」
「うーん...そうかもなぁ」
「そんなやつがうちの娘をくれってやれるわけないだろ!どっかでいじめられっちまう」
「あー」
やや、おにぃたちが、
とうちゃんにさんどうしはじめました。
「それもよ、言うに事欠いて、名乗った名前がよ
ルキウス・ユリウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクスだぜ?」
な、ながいおなまえ...
そんななまえはつみみです!
でも、おにぃたちはざわついてます
「それってまさか...」
「うん...まさか」
「そう思うよな。まさか皇帝一族の名前だせ?
金髪の青い目で、皇帝一族って怪しすぎる。ジョーダンも休み休み言えってよ。だからとうちゃんは怒ってやったんだよ」
「なるほどねぇ」
プリューラにはちょっとよくわからなかったのですが。こうていってなんでしたっけ。
たしか、このローマでいちばん...
「いやーないわー」
「さすが親父どの!よくぞ俺らの末娘をまもられた!」
「よっ!父親のかがみ!」
もー、ほんと、
おにぃたちはすきかってすぎます!
またわたしはほっぺたぷくーです!
その時、いちばん上のおにぃが口を開きました。
「...もし、それが本当だったら、どうすんの?」
「へ?」
シーンとなるわがや。
「だ・か・ら、本当だったらどうすんのさって話だよ」
「......」
「ちょっとプリューラ、外に出ててくれるか?」
「う、うん。」
わたしはいえのそとにでて、
まんてんのほしぞらをみあげました。
「ルキウスさまのかみのけみたいにひかってる!」
うみにうつるおほしさまも、キラキラきれいで。
すなはまにしゃがんで、またおすなに
おえかきです。
「...ルキウスさま、いまごろなにしてるかな。
ごきげん、うるわしゅうかな...」
なんてひとりぼんやりしているのでした。
そのころ家のなかでは。
「で、父さん、話のウソホントを確かめもせず、見た目で判断して怒鳴りつけて帰ってきたんだ?へぇー」
「いやー...」
「それ、どう責任とんの?相手、どんだけ権力の塊なわけ?」
「は、はは」
「おれ、聞いた事あるよ。将軍が遠征から帰ってきた時、金髪の赤ちゃんつれてたってやつ。」
「なっそれほんとか!」
「たしか7〜8年前だから、年の頃もあってるよ」
「...」
「いや、ショック受けてる場合じゃないよね?
プリューラ、皇帝一族の侍女になれるチャンスを潰してきたんだろ?父さん」
「なんてこった...」
「なんてこったじゃないよ。その坊ちゃんの言い方じゃさ」
「な、なんだ?」
「プリューラを、嫁にくれってことだよね?」
「はあぁ!?嫁に?!絶対やらん!!」
「なんでたよ。これ以上の良縁、父さん用意できんの?」
「あたりめぇだろ!」
「へぇー。皇帝一族以上の、ねぇ...。てっきり村人の誰か程度だろ?うまくいって街の金持ち?尊重の、末っ子のエロガキ?プリューラ、苦労するんだろうなぁ」
「ぬぐぐぐ。しかし、早すぎるっ!」
「...父さん...はやいからこそ、二人の絆が深まるんだろ?ヘンに側室とか、妾とかにされるより、正妻だろ?」
「せ、正妻...」
「それに、男って、最初の女って肝心だし。いまから嫁に欲しいほど好いてくれてるなら、もう人生で浮気される心配もないじゃん」
「...たしかに...」
「あーあ、プリューラかわいそー。短気な父親のせいで、かーわーいーそー!」
「...(がくっ)」
「いや、項垂れてる場合じゃないでしょ?どうすんの、父さん」
「...プリューラを、嫁にはやらんっ!」
「まだ言うか。」
「プリューラはなぁ、プリューラはなぁ...」
「はいはい。いい歳した大人が泣かないで。」
「あいつの忘れ形見なんだよー(泣)」
「知ってるよ。だから、幸せになってもらわないと。プリューラのあの上等な姿みて思わなかったの?」
「しょ、娼婦の真似事かと」
「父さん...バカぁ?」
「なんだと!?娘を心配して何が悪いっ!」
「今回はさすがにわるいっしょ。」
「ふぐぅ。」
「とにかくさ、まだ相手が皇帝一族の人間なんて確定してないわけだし。村長に話でも聞いてきたらどうかな?」
「それだ!」
「じゃあ、解決でいい?」
「文句なしでーす!」
「俺、腹減ったー!!」
「腹減ったし、ねみーよー」
「まて。まだ話が途中。ね、父さん。」
「まだあるのか...」
「これだけは、きっちりしとかないとね」
「な、なんだ?」
「相手が、由緒正しい人間だってわかって、ちゃんとプリューラを迎えてくれると確定したら」
「...」
「父さんはどうするべきですか?」
「...」
「どうするべきですか!」
「...ぐぬぅ」
「どうするべ・き・で・す・か?」
「ふたりのなかをみとめる」
「ちがうでしょ?」
「...わかった。謝罪する」
「...まだ偉そうじゃない?」
「しっかり謝って、プリューラのことを頼む!これでいいか?!」
「うーん。なんか違う気がするけど…」
「まだ嫁に出したくない!」
「しつこいっ!諦めろ父さん!」
「それにしても、もしプリューラが皇帝一族と結婚したら、俺らも皇帝一族の仲間入りなのかな?」
「ぶはは、ないない!あのお転婆がねぇ!」
「ありそうじゃない!おれらもお貴族さまだー」
「けっこん!けっこん!プリューラ一番乗り!」
「ぐっ越された!」
「お前らー!!プリューラは嫁にやらん!!」
「ぎゃー!!とうちゃんがきれたー!!」
わたしがすなはまでつかれてねちゃったころ、夜はすっかりふけこんで、おうちのなかでのさわぎは、いつまでもつづいていたみたい。
いったいなんのおはなしだったのかなぁ。
あしたは、ちゃんとルキウスさまに
あえるといいなぁ。
ルキウスさま、だーいすき。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
今回はおにぃたちがわんさかです。人数多いので挿絵諦めました。
ルキウスのフルネームが出ました。
古代ローマって名前なっっがいです。じゅげむじゅげむいいそうです。
次回、プリューラの家出
そして、それとは別に、登場人物紹介を描き始めました。
時間掛かります。
頑張りますのでよろしくおねがいします




