ドムス
「あぁ、きてたのか」
ルキウスさまのこえがしました。
ふりむくと、なんだかルキウスさまも
いつもとようすが...
ちが...
ちがわ...ないです。
「ルキウスさま、
ごきげんうるわしゅうです!」
ぺこーっといつもの
ごあいさつをしました。
「うん。」
と、ルキウスさま。
「きょうは、好きな本を読むといいよ。
ぼくは部屋にいるから。」
と、おへやにお1人で
いってしまいました。
「???」
なんでしょう。
なんだかいつもよりつめたいです...。
まわりのじじょさんたちも、
なんだかがっかりぎみです。
「ではプリューラ。
書庫に案内しますよ。
とはいっても、ここにはたいして蔵書はないんですけどね」
といって、あんないしてくれました。
そういえば、
いままでおやしきにはげんかんと
おぼっちゃまのおへやしか
いったことがありませんでした。
外から見て、
大きなたてものなのはしっていました。
わがやは
ひとへやとおだいどころしかないので、
くらべるのもへんですが、
もう見た目からして大ちがいです。
おやしきは大きいです!
こういう大きなおうちを
『 ドムス 』
といいます。
お金もちのごうていです!
ですが、『ドムス』は
おうちのことで、
こうがいにたてられた
べっていのことを
『 ヴィッラ 』
といいます。
お金もちのべっそうです!
いままでどおり、おやしきとよびますが!
ものめずらしさに
きょろきょろしてしまいます。
はしらひとつ、
かべひとつ、
おかざりひとつにしても
ぜいたくなんです!
ごうかです!
えとか、ちょうこく、ちょうぞう、
たかそうなぬのがあちこちにあります!
すごいなぁとはおもいますが、
なんでこれがここにあるのかは
わたしにはわかりません。
それと、うわさにきく
「 どれい 」
といわれるものはいないようにおもいます。
うわさにしかきいたことがないので
いないのかもしれません。
すくなくとも、
このおやしきでは
見たことがないです。
みんなていねいです。
きれいです。
おやしきのちずをこくばんに
かいてみました。
上手でありませんでした。
えへへ
いちばん下が入り口です!
とびらから入ってすぐが
まちあいじょ?のようなところです
そして、天まどがあいた
かいろう...
ろうかをわたってにかいだての
たてものに入って、つきあたりが
おぼっちゃまのしんしつです。
ベッドとつくえがあります。
わたし、えだけじゃなくて
せつめいも下手でした!
ごめんなさい...。
なんとなくつたわってたら、
うれしいのです。
わたしがあんないされたのは、
にかいのてまえのひとへやでした。
おへやじたいはちいさいですが、
本だながいくつかと、
本がちゃんとならんでます!
かんどうです、
えらびほうだいです!
「じゃあ、プリューラは
なにを読みたいかしら?」
とじじょちょうさんはいってくれましたが、
わたしはなんとなく、
えらぶきぶんになれませんでした。
「あの、リーウィアじじょちょうさん」
「はい。どうしたの?」
「おぼっちゃま、
やっぱりごきげんうるわしゅうでは、
なかったですか?」
と、しょんぼりたずねました。
「あら、どうしてそう思ったの?」
「だって...
わたし、とおかもおしごと
おさぼりしましたし...」
「しましたし?」
「いつもとちがうおようふく、
かってにきてますし...」
「着せたのは私たちですけどね」
「おぼっちゃま、なんだか
よそよそしいですし...」
「まぁ、たしかに素っ気なく見えましたわね」
「ですよね...」
やっぱりションボリです。
「でもね、プリューラ。
どんなに間違えたとしても、
おぼっちゃまがあなたを嫌いになることは無いからそこは勘違いしないでちょうだいね」
と、やさしく、かたにポンと
てをおいてしゃがんでくれました。
「多分、今頃緊張してらっしゃるのよ」
「きんちょう、ですか?」
きんちょう...
ドキドキするやつです、
わかります。
わたしもおやしきにはじめてきたとき、
ドキドキでこわかったのです。
「それと多分、照れてるのよ
きっと。」
と、ウィンクしてくれました。
「てれ?」
「そう。あんまりにもプリューラが
可愛くなっちゃったからね
うふふ。」
うーん、そうでしょうか。
プリューラはいま、
なぞのおんなのこ気分です。
そして、ルキウスさまは、
いつものにっこりえがおがなくて
ぎゃくにつめたかったきがします。
でも、わたしより
よっぽど長いあいだ
いっしょにいらっしゃるじじょちょうさんが
そう言うのなら、
きっとそうなのでしょう!
「はい!わかりました!」
って、わたしもニッコリしました。
いらぬしんぱいはなんとかぞんってやつです!
「じゃあ、わたし、
あれがいいです!
えと、ギリシアのおはなし!」
「まあ、ローマを飛び越してギリシアなのね、たしか、このあたりに...」
そしてわたしは
ひがくれるまで
本をよむことにぼっとうしていました。
まさか、いっかいのきゃくまで
とぅちゃんとルキウスさまが
にらみあっていたとも知らずに...。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
あんまりにも時代っぽさが出せずにいたので、ここで建物紹介を挟んでしまいました。
それと、プリューラが書いたのは自分用黒板です。当時は紙が高級品で、手習いにはマイ黒板を利用していたとか。
次回こそ、プリューラ家族と仕事に揺れる...
の予定が、父と彼氏との戦いになりそうです。
彼氏ではまだないのですが。
個人的には、ルキウスを応援しています!頑張れ!
というか、わたしもがんばります。
よろしくおねがいします




