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狼の仔  作者: 加密列
第七章 那幾
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闘犬の目   ~那幾~

(待ってよ!)


おらはその言葉をいつも言えない。手遅れと、もうわかっている。ザンサさんもガノシュさんも番所に駆け込むなんて思っていない。そんな事言いたかったわけじゃないのに!信じられないほど強いあの人達は興奮した様子で、なのに本当に哀しそうな、それでいてどこか諦めたようなかおをしていたのだ。そういう人は危ない。強くて、まるであの人のようだ。


(そんな訳ないじゃないか)



おらをいじめたあいつらはここらですごく力が強い。だからおらは反撃せずに耐えていたのに、あの人達はたった二人であいつらを敵にまわしたのだ。


(でも)


目は、あの二人の目は強い光を放っていた。世間の裏の裏までみて、まるで闘犬のような、絶対に負けないと、負けてたまるかという強い意思を持った目。生きてやると腹をくくった者しか出来ない、不思議に澄んだ目。あの目は怖い。かつて見たあの目に驚くほどよく似ていた。だからこそ危ないと思う。危ないと、知っている。


(会いに来るさ)


その言葉を信じてもいいのだろうか。おらは信じられるのだろうか。


「信じていいじゃないか」


声に出して言う。


「会いにきてよ」


待っているから。ずっと、信じているから。だから、


(どうか無事で)


胸の守り袋を握りしめて祈る。神よりも、もっと確実な人に。



狭い家なのに、彼らがいなくなるとひどく寂しかった。

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