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狼の仔  作者: 加密列
主な登場人物
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世界観についての設定資料 挿絵有り

<大陸、各国および通貨>


挿絵(By みてみん)


ラース大陸…

この作品の舞台。北から順にアミダン帝国、アトマイア国、ワイメア皇国、セル・ドビア国、サクミンド女帝国の五国がなしている。大陸全土で貨幣を統一しており、戦が起こることはまずない。様々な人種、言語が入り混じる大陸でもあり、大陸共通語はセル・ドビア語。


アミダン帝国…

この大陸の北端に位置する国。自然が豊かで、まだ未開の地が多く残る。しかし帝都は山に囲まれた天然の要塞として名高い。現在は十七代目皇帝ハミル・ノラ・アミードが治める。大陸の中で最も遅くに建国した国でもある。皇帝家は近衛兵兼暗殺者としてナダッサ(後述)という先住民族とはるか昔に契約を結んでいる。治安は標準的。


アトマイア国…

大陸内でサクミンドに次いで大きな国土を有する国。現在は三十九代目王ハラエムン・オレマシュ・ワミン・アトマイアが治める。識字率は低く、治安はあまり良くないが、商業国としては大陸随一。約八十年前に南で戦が起きた際の難民を多く受け入れており、国のあちこちに射干玉街と呼ばれる黒人の街がある。南の国から様々な文化を持ち込んだ彼らに敬意を表し、「ツェーリヒヤ・ド・ライア」黒い兄弟と呼ぶ。海上貿易も盛ん。


ワイメア皇国…

アトマイアの東に位置する国。国土はあまり広くない。現在は二十六代目皇帝フィオロドス・グランズ・マクデモスが治める。


セル・ドビア国…

大陸の中で最も国土が小さい国だが、この世界でも大きな宗教の一つであるドビア教(後述)の聖地であるとして、大陸内での影響力は大きい。現在は二十代目教皇マスリエ・ジョウン・ハルタ・ライカ・フメリオヌス・ドビアルナが治める。多種多様な人種の住むラース大陸での共通語は、セル・ドビア語である。

慈善活動なども広く行われており、孤児院なども多い。また、識字率は大陸随一。

一般に闇を厭い、表向きには歓楽街などもない事になっているが、国境に罠を仕掛けるなど、闇の部分も併せ持つ。

聖闘会と称して闘技会がある。殺しは禁止で、あくまでも神に捧げると言う名目。そのため聖闘士はマァニ・シーフェンと呼ばれる。マァニは神官に使われる敬称。


サクミンド女帝国…

代々女が治めるという、大陸唯一の女帝国。現在の女帝は三十四代目リィシア・メイドル・ゴ・スィリムサ・サクミンド。

ラース大陸一の国土の広さを誇るが、国土の一部は砂漠である。海上貿易は盛ん。


紗來冨…

ラース大陸から東に位置する大陸の中の国の一つ。国土は大きく、また商業が盛んで他国に多くの者が移り住んでいる。現在は六十八代目皇帝、寧帝が治める。言葉はそれ自体が意味を持つ漢字が主要。肌は黄色に近く、彫りの浅い顔立ちが特徴。



通貨について…

ラース大陸では通貨を統一している。これは大陸内で戦を起こさないという協定を結んだ証でもある。各国の主要な宗教の印が刻まれて国々の平等性を示しているが、少数派の宗教や先住民族の神など、刻まれていない物もある。十進法で計算する通貨だが、ガッサルとスエロンの間は十ではなく百で進む。単位と円換算は以下の通り。


ツェ…約十四円。銅貨。

ガッサル…約百四十円。銀貨。

スエロン…約一万四千円。金貨。



<異世界観>


あの世、死後の世界について…

宗教によって細かな所は違うが、大まかな概要は変わらない。

この世に重なる「あの世」がいくつも存在し、その世界に死者、神、精霊が住まうと言われている。

死者は気脈で魂が融け、あの世では自己を持っていない、まっさらな魂の素のようなものに作り変わる。それが再び気脈に流れ込んで新しい魂となる。

神については最も宗教によってぶれが起こるところであり、全知全能の存在だと主張する宗教もあれば、人に近い存在と主張するところ、ありとあらゆるものに宿るものだと主張するところ、ただ世界を眺めているだけの存在だと主張するところもある。

精霊は「気」「水」「土」「火」「空」がおり、お互いに力を相殺し合いながら世界の均衡を保っている。異なる世界であってもお互いに影響を及ぼしあう事はあり、その影響が大きくならないようにする存在。ただ、あまり自我と言うものはなく、漂っているだけである。


気脈について…

気脈とは、この世とあの世の間にある流れで、様々な世の要素が入り混じった、汽水域のようなところ。どんなに力のある呪術師でも気脈を覗くまでが限界で、あの世に行ける事は滅多にない。時折あの世の精霊が泳いでいる事もある。

また、気脈はありとあらゆる生命の養分でもある。そのため、生命がある所には必ず気脈が存在する。

この世のありとあらゆる生命は自分の体内に独自の気脈を持っており、それが「気配」と呼ばれるものである。ナダッサの、気脈に接触して気配を完全に消す事が出来る能力者というのは、この体内の気脈を外の気脈に繋げ、「己」の気配を沈める事が出来る者の事である。



<宗教>


ドビア教…

世界的にも信者の多い宗教。太陽を崇め、光を尊ぶ。聖ドビアルナという人物(?)が大地から生まれ出る際に大地を引き裂き、それが深い霧に包まれたこの世に光を呼び寄せたと言われている。紋章は太陽を模しており、二重の同心円に十字。ドビアルナが生まれた時にできた裂け目(大地溝帯)をマア・セ・ドビアと呼ぶ。

豚肉を口にする事は禁じられている。

ル・リィ(伝える者)と呼ばれる宣教師がおり、大陸中を旅して布教している。


ナダッサにおける古の神…

ナダッサの信じる神。数多の神が存在し、あの世に住まうありとあらゆる神の中で最も偉大な神がネイトという水神であり、蛇の姿をとることが多いとナダッサは考えている。


アトマイア国における古の神…

アトマイアにおいてもドビア教信者が多いが、国が執り行う祭りは古くから存在する神を崇めるものである。アトマイアでは主に四季に神の形を取らせている。神々は男女二人ずつ。お互いに相手の気を引こうとしており、季節の変わり目は異なる季節の神が抱き合う事から徐々に気候が変わっていくのだという。

春の神…名はケーミスト。男神。勿忘草を持ち、こまどりを従える。

夏の神…名はダジュリーン。女神。菖蒲を持ち、かっこうを従える。

秋の神…名はハキュア。男神。竜胆を持ち、もずを従える。

冬の神…名はシュリパ。女神。水仙を持ち、白梟を従える。


<職業>

商人、農民が大部分を占める。商業が盛んなため、時に商人は貴族よりも裕福。兵も一定数存在するが、実戦を知らない。


護衛士稼業について…

一般に護衛士稼業と言われるのは用心棒、護衛士、傭兵である。階級は用心棒が一番低く、傭兵が一番高い。仕事の報酬は一般に前金と後金が一対三で払われる。身分証明書と呼ばれるものがあり、雇い主が評価を書いてそれに基づいて次の仕事を口入屋が紹介する。階級毎の違いは以下の通り。

用心棒…一般に商店や酒場、料亭など固定の場所の警護をする。

護衛士…行商人や出稼ぎなど、雇い主が移動する場合盗賊などから警護をする。

傭兵…貴族など身分の高い者の警護を雇われてする。上記二つと違い圧倒的に雇い主が立場が上だが、働きによっては一生食うに困らない程の報酬が望める。


侠客稼業について…

一般に侠客と呼ばれるのは盗賊、山賊討伐である。侠客という言葉の元来の意味に反して無頼がなる事が多い。護衛士稼業と同じ身分証があるが、護衛士稼業と比べて実績や素性、信頼が問われないので前金と後金の割合が一対二だが、全体の額は護衛士と比べて安くなる。



<ナダッサについて>


組織形態…

アミダン帝国の先住民族。一般の人間よりも生まれ持った身体能力が高い。過去に他の大陸から渡ってきた移住民たち(現在のアミダン国家の始祖)との戦いに破れた事から、アミダン皇帝家に仕える近衛兵兼暗殺者の集団という面を持つ。アミダンからアトマイアにまたがるサグミド山脈に複数の村を構え、「牙」「翼」「嘴」「鉤爪」「針」に分かれている。村は山奥にあり、常人では近づくこともままならない。互いの村に交流はほとんどなく、時折異例の事態が起こると村の大人が伝令として向かう。村の周りには訓練用の罠が仕掛けられており、そのため他の村の者が行くの危険が伴う。

「牙」は森に、「翼」と「嘴」は街に、「鉤爪」と「針」は室内に特化した訓練を受け、それぞれ「森の影」「街の影」「邸の影」と呼ばれている。

村長を中心とした社会で、一つの村に複数人の呪術師がいる。最高呪術師は村長を凌ぐほどの発言権を持つ。


特徴…

身体的特徴としては、肌が浅黒い。髪色、目の色は多くの場合黒か茶だが、程度はかなりばらつきがある。

幼い頃から命令への絶対服従を当然とする環境で育っていくため、意思をほぼ持たない。仕える皇帝家へも絶対の服従を誓っている訳ではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()というだけである。そのため、「皇帝家の護衛が失敗したとしても、自分だけは生きて帰る」という命令が存在する。

また、皇帝家の暗殺者として存在するため、死者を弔ったり、死を恐れたりという、「死」に対する特別な行動、感情を持たない。

決してあらゆる感情がないわけではなく、また、全く意思を持たない訳ではないため、新しい事に対する意見の分裂などは起こる。本当に稀だが、自分の意思を持った者が現れる事もある。


訓練…

生まれつき高い身体能力を誇るナダッサだが、それを高めるために村人は例外なく武術訓練を受ける。男女は分けて訓練を行い、通常は女性の訓練は立ち回りよりも毒や暗器、誘惑などに力を入れる。剣、刀、弓、槍など王道の武器の他に、手裏剣、吹き矢、礫撃ちなどの小さな飛び道具や、仕掛け針、糸刃しじんと呼ばれる糸状の刃物など、暗器の訓練も行う。体を毒に慣らすなどの訓練も密かに行なっている。

女性、男性の区別なく十歳を過ぎると性の訓練があり、実際に大人が手引きする。これも己の肉体を使って標的を確実に殺すための技術である。

変装の訓練もあり、ありとあらゆる人種、職種に成り代る事が可能で、大陸内の全ての言語を学ぶ。密かに大陸内で最も識字率の高い集団でもある。また、人相などを変えるため、全身の様々な関節を外す事が出来る。


能力…

時折ナダッサに生まれる、常人には不可能な事が出来る人物を能力者と呼ぶ。例えば、人の表情から考えている事を正確に読み取る、一瞬で複数桁の計算が出来る、何年も前の事を映像として永久に覚えていられる、気脈に接触できる、など。その中でも三つの能力と呼ばれるのは、伝説の能力であり、「仮面」と呼ばれる、己の魂をもう一つ作り上げ、完璧な別人となる能力。「死眼」と呼ばれる、ありとあらゆる物の急所を視覚的に捉えることが出来る能力。「使役」と呼ばれる、生き物を自分に従え、手足として使うことが出来る能力がある。通常一人の人間が持つ能力は一つである。



対の子…

ナダッサでは同じ日に生まれた男女の子を「対の子」と呼び、不吉だとして、片方をくじによって両親ともに村から追い出す風習がある。追い出された家族は他の村に拾われることが多い。


星の子…

百年に一度現れるかどうかという伝説の人。流星群がくる日に生まれるが、流星群が来たからといって必ずしも生まれるわけではない。星の子が生まれるときは気脈さえもが鳴動すると言う。普通は一度に一人。

特徴として頸の毛が一房白銀となる。また、訓練次第であらゆる能力を身につける事が出来る。生まれつき自分の意思を持ちやすく、ナダッサの生まれながら己の意思で行動できる。

星の子はそれ自身の意思と卓越した能力から、幸福、あるいは禍いのどちらかをもたらすと言われている。


名前について…

ナダッサの古くからある言葉に、「七つまでは神の子。十六までは村の子。十六からは大人」と言うものがある。その言葉通りに七つまでは名前を持たず、七つからは番号がつけられる。その年に七つになった者は同じ年に十六を迎えた者が使っていた番号を受け継ぐことになっている。男子と女子では語尾が異なり、男子は「ン」女子は「リ」で終わる。

七つまで番号で過ごすのは、自己として信じられる人格を曖昧にする意図がある。また、名前が与えられる時も儀式めいた事は何一つなく、それも自己を曖昧にする意図がある。



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