主な登場人物 挿絵、カバーイラスト有り
《主人公》
ティアノン…
ナダッサの村、「牙」に住む村長の娘。この物語が始まった時点では十四才。トピとは同じ日に生まれた男女である、「対の子」の関係。番号名はツィリ(五)。
腰まである黒髪に、青みがかった黒の瞳を持つ。顔は整っているが、本人に全く自覚はない。柿渋染の貫頭衣に皮帷子を着ている。
罪人として処刑される父を処刑場で殺したため、罪人として捕まるが、トピに助けられ、逃亡を開始する。ティアノン(りんどう)の名はトピにもらったが、略してティアと呼ばれている。伝説の能力である、「三つの能力」の一つ、「仮面」を使う事ができる。
武術の才能はかなりあり、また、女性なので普通の武術訓練は受けられず、父親と一対一の訓練を受けて育った。得意な武器は短めの槍。大人のナダッサと互角以上に闘える。あまりやらないが、舞が得意。やや猪突猛進なところがあり、トピには荒ぶる狼と評される。
また、トピから「怪物」「うわばみ」と言われるほど酒に強く、一度も酔い潰れたり二日酔いになった事がない。
偽名はザンサ(あざみ)。百年に一度現れるかどうかの「星の子」であり、そのためあらゆる能力を訓練次第で身につけれられる。その印として頸の毛が白銀。
トピ…
ナダッサの村、「翼」に住む少年。ティアと同い年で彼女とは「対の子」の関係。番号名はツィン(五)。
癖のある栗色の髪に、金茶色の瞳。優男風の端正な顔出ちをしており、ティアよりは自分の容姿に自覚がある。茶緑の作務衣の中に皮帷子を着込む出で立ち。
処刑されるティアを処刑場から助け出し、そのまま共に逃亡する。実の父は「牙」のカラッドだが、対の子として追い出されたトピは「翼」の母親の再婚相手を父としている。ティア同様に武術が強く、また男子であり、他の少年と稽古をしなくてはならないので、妬みからしばしば父が違うことをあげつらわれていじめられていた。
トピ(栗鼠)の名はティアにもらう。方向を間違えずに言い当て、またどこにいても何がどちらの方向にあるのか分かる能力を持つ。呪術を習っていた経験があり、気脈に接触する事が出来る。得意な武器は剣。笛が得意で、ダラミア・ナコール(竹の神に愛された子)だが、それで父親を殺しかけた事から、封印している。
冷静沈着で普段はティアの抑え役なのだが、時折抑制が効かなくなる事があり、ティアには眠れる狼と評される。やや優柔不断な所もあるが、一度決断したら絶対に翻さない。偽名はガノシュ(ねずみ)。ティアと同じく星の子で、白銀の毛を隠すために髪の毛を染めている。
《ナダッサ『牙』村》
ティアの父親(ジン)…
「牙」の村長。ティアには一対一で武術を教え、才能に気づいた為、大人が見ていない所での武術稽古を禁じる。大いなる約定に違反して皇帝に村の兵を多く押し付けようとしたとして囚われ、嬲り殺しの刑に処されるが、処刑の途中ティアが投げた短刀によって絶命する。
ティアの母親(ハルヤ)…
ティアには何を考えているのか分からないと言われている。自分の娘を子ども扱いしなかった。ティア曰く無駄に頭がよく、交渉が得意。冷静沈着で滅多に滅多に動揺しないが、流産した時には不安定になっていた。
ティアの叔父(サン)…
ティアの父方の叔父。処刑中の出来事からティアは彼が父を嵌めたと知り、復讐を誓う。ティア達の逃走後、ハルヤと結婚し、村長を引き継ぐ。
カラッド…
「牙」の男。トピの実の父。表情を読む事に能力を出し、ティアの尋問役ともなった。その一方でティアを密かに実の娘のように思っている。
おばば(ユラン)…
「牙」の最高呪術師。ティア曰く何年生きているのか分からず、信じられないほどの知恵者。村長も村での事は可決する前にこの人の指示を仰ぐ。ティアの捜索には加わらない意思を示している。常に村を思い、その為には時に冷徹になる。本名は村でも数えるほどの人しか知らない。
キィナ…
「牙」の少女。ティアの二つ上。呪術の才能があり、おばばの弟子として過ごしていた。番号名はノゥリ(一)。一つ下の妹と二人暮らしだが、その妹を人質に取られ、ティアの刺客となる。ティアの事は妹と思い、ティアもキィナを姉と慕っていたが、「星の子」についてティアとトピに告げた後、ティアに殺される。
《ナダッサ『翼』村》
トピの父親(ヴァイス)…
トピとは血の繋がりがない。息子には追い出されたマランに一目惚れしたと話している。酒に弱い。息子を溺愛するが、それゆえトピがティアを助けに行くことを黙認する。トピの笛がまねき寄せた魔物に左腕を食いちぎられたため、隻腕。
トピの母親(マラン)…
トピと共に「牙」から追い出される。トピ曰くかなりの美人で、賢い。ヴァイス同様トピがティアを助けに行く事を黙認する。現時点で本名は本文中に登場していない。
《アトマイア国》
那幾…
アトマイア国の街に住む少年。孤児で、主に掏摸で生計をたてている。いじめられ、半死半生のところをティアとトピに救われた。かなり聡明なところがある。おそらく登場時点で十一歳。九つまで哉羅吒という男に育てられたが、目の前で殺された過去を持つ。二人に彼を重ねている様子。
アマン…
アトマイア国の農夫。刺客との闘いで瀕死になったティアとトピを拾い、助ける。口下手だが、笑い上戸で情に篤い。
パーリナ…
アマンの妻。快活で磊落な女性。医術に心得があり、料理もうまい。アマンよりも年上。
ミシュ…
アマンとパーリナの娘。六歳。人見知りだが、活発で明るい少女。自分の兄の事から年上の少年に恐怖感を抱いているが、トピにはよく懐く。
ゴイス…
アマンとパーリナの息子。十三歳。野犬に襲われたため片足がない。そのことから家族にも冷たい態度をとり、捻くれているが、甘やかされてもいる。自分に遠慮なく怒鳴り散らすティアと何度もぶつかり合ううちに、心を開き始めるが…。
《サクミンド国》
シュオン…
サクミンドとセル・ドビアで主に砂漠越えの護衛士をしている男。血の繋がらない従兄弟のシェイと常に共に行動する。話す事が出来ないシェイのために手話が達者。
シェイ…
シュオンの血の繋がらない従兄弟。口がきけないが、耳は人並み以上にいい。