表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

08 第八曲 歌の終わり

 捨てられた。拾われた。憎まれた。愛された。傷付けた。傷付けられた。そんなことがないようにぼくはお人形になったのに、優しい兄様はぼくに憧れを抱かせた。ジュンと呼んで、マカオンとして育ててくれた。

 そこでぼくはたくさんの演奏舞台会場を創った。そこでたくさんのお人形に歌ってもらった。そこでたくさんの歌を聴いてきた。マカオンに為った、愛おしいお人形たちが紡ぐ歌を。

 ぼくはお人形を創るだけ。舞台を設置していくだけ。歌っているのはお人形たち自身。それは立派なマカオンの姿。どれだけ雨に打たれたって、どれだけいばらで傷ついたって、白から赤へ、赤から白へ、花園の上の旅は続く。

 そしてぼくが叫ぶ歌ももう終わる。ぼくには、あの子たちのような勇気はあるかしら。再び歩き出す勇気はあるかしら。優しい兄様、もしももう一度赤い花へ戻ってきたなら、あなたはそこにいるかしら。


 希代の人形師がその日死んだ。レオンの元で人形を創り始めてから、わずか三年後の出来事だった。レオンは人形工房の経営を友人に引き継いだ。

 しかし、ジュンの人形は消えはせず、何百年もの時を越えて受け継がれていく。さあ、次にお人形遊びをしているのはだあれ? 新しい演奏舞台のプロデューサーはだあれ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ