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 キャラクターの説明


 「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」(「わたモテ」)のキャラクター


 もこっち   主人公。中二病・ぼっち・オタクの女子高生  後に人として成長


 今江先輩   登場回数は少ないが重要なキャラクター もこっちを優しく影で見守る。


        生徒会長。            




 「カラマーゾフの兄弟」のキャラクター


 イワン  知識人の青年。父親殺しの事件が起こった際、自分が間接的に殺人に関与しているの


      ではないかと自分を責める 筆者的には「カラマーゾフの兄弟」の主人公、最重要人物



 アリョーシャ イワンの弟 優しく、聖人気質。修道僧で、エゴしかない有象無象の中では癒やし的存在







                       


 漫画「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」(以下「わたモテ」)に、今江先輩というキャラクターが出てくる。今江先輩はものすごく良い人で、中二病・妄想癖・ぼっちの「もこっち」の事を密かに気にかけてくれている。


 それが如実に現れたのが文化祭の回で、今江先輩がもこっちを抱きしめる場面がある。ぼっちのもこっちは、他高校の友達のゆうちゃんと一通り文化祭を楽しむのだが、ゆうちゃんが帰ると友達がいないから一人ぼっちになる。通路の隅でスマホをいじっている。


 それを見かねた今江先輩(それ以前に密かにもこっちのぼっちを察する機会があった)が、文化祭で使うきぐるみを被ってもこっちに近づく。きぐるみを見て「?」となっているもこっちを、優しく抱きしめてやる。先輩は、そのまま去っていく。


 ここで、今江先輩がわざわざきぐるみを着たのは、自意識過剰でプライドの強いもこっちに対して、直接的に気にしていると知らせたら、彼女の心を傷つけるとわかっているためだった。(担任の荻野は、無神経野郎なので、こういう時平気で相手の心をえぐる「優しさ」を見せる) だから、今江先輩はきぐるみを着て、もこっちを抱きしめたのだった。


 このエピソードはアニメでも流れて、その回はいたく感動したのだが、ここでは、今江先輩というキャラに注目したい。今江先輩はその後でも、作中に出てくる。今江先輩はもう一度、もこっちを抱きしめるのだが、今度は生身の姿でもこっちを抱きしめる。今江先輩は、成長して友人もできたもこっちを見て、もう自分がいなくても大丈夫とわかった上で、卒業していく。もこっちは先輩の優しさを感じる。


 ここで、今江先輩というのは、作品内において「聖人」というポジションを得ている。しばらく、このポジションについて考察したい。


 今江先輩が、もこっちの内面に気付いて、もこっちを抱きしめるというのは、現実にはなかなかできる事がない。現実には勘のいい人なら、例えば飲み会で(あ、あのひと寂しそう)と思っても、その人に対して、プライドを損ねないようにしつつ相手の心を開いてやる…そんな事は滅多にできない。というのは、単純な問題として、「他人の心というのは確定的にはわからない」という事実があるからだ。こっちで(寂しそう)と思っても、本当に寂しいかどうかはわからない。


 しかし、漫画は当然フィクションであるから、相手の心を読む事は「可能」である。だから、今江先輩は躊躇なく、もこっちを優しく抱きしめやる。


 ちょっと違う話を導入するが、中山元の「ハンナ・アーレント入門」に非常に良い事が書いてあった。うろ覚えだが、自己意識とは、自分との無限の討論になり、絶えず分裂してゆく。この分裂を収束させてくれるのは「他者」である。他者は「私」を一人の人間として見てくれる。そこに、私が一つの存在として現れる。私が私の内部をのぞけば、そこでは絶えざる自己分裂、自己対話によって永遠に収束する事ができない。「私」一人だけでは、「私」を補足する事ができない。そこで「他者」が必要となる。


 さて、この事を上記、もこっちと今江先輩の関係に移し替える。


 「もこっちa⇔もこっちb」  ←   今江先輩

       分裂       認識

         

 という風になる。わかりにくいので、もう少し、考えてみよう。




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