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片思い

作者: ひかぴん

私のことも、見てよ……。


優希がいつも清香を目で追っていることに、私は気づいていた。瑞季も気づいていた。仲の良いはずの4人グループに、一筋の影ができたのは、友情を超えた感情が明らかになったからだ。願ってやまなかった、男女間の友情が崩れはじめた。



私は、優希が好きだった。酔えば手を貸してくれるし、遅くなれば近くまで送ってくれた。優しくしてくれるあとには必ず、「女性を大切にしなさいと親から教えられたんだ」と言った。その、照れ隠しと優しさに心惹かれた。でも、私は4人の友情を崩したくないから恋心は隠した。4人でいれば、優希と仲がいいままでいられる。それでいいと思っていた。


久しぶりに飲みに行くと、優希は相変わらず、みんなに優しいけれど、清香にだけは「女性を大切にしなさいと教えられた」と言わなかった。その他、私と瑞季をいじるけれど、清香をバカにすることはなかった。

「優希って清香のこと好きなのかな?」

私が瑞季に聞くと、瑞季も

「私もそう思った、聞いてみる?」

と言った。清香がお手洗いへと席を立った隙に、優希に尋ねると

「……どうしてわかったの?」

と照れた表情で言った。私は笑えなかった。瑞季が隣で騒いでいる中、ショックを隠すように、相槌を打った。


その日も乗換えの駅が近い優希と私は途中まで2人で帰ったが、清香の話を聞くだけだった。改札まで送ってくれたけれど、「女性を大切にしなさい」の話を聞かされてうんざりした。それは、照れ隠しでもなんでもなく、そういう風に教えられたから、勘違いするなよ、という意味なのだろうと気付いた。それなのに優希を好きになってしまった。


大学が始まれば、優希はずっと清香を目で追うことがバレバレだった。清香にそれとなく聞くと「男としてみれないから」と言う。どうせなら2人が付き合えばいいのに。後出しジャンケンのように、私の気持ちをみんなに言えればいいのに。


私じゃダメかな。

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