拙い者達の攻防
前回から一か月を経て、ようやく更新です……。
結局、活動報告も何もできず、誠に申し訳ありませんでしたm(__)m
とある事情から、少々執筆に対するモチベーションが下がってしましたが、僅かながらにでも増え続けるブックマーク=評価を見て、気分が上向きとなり、モチベーションも復調いたしました。
これも日ごろから拙作を読んでくださっている皆様のおかげです。
改めて御礼申し上げますm(__)m
俺の周りを取り囲み、グルグルと周回しながらこちらを観察する様な視線を寄越すゴブリン達。俺はそんな奴らに包囲されながら、この状況の打開策を思案し続けている。
(――まぁ、打開策といっても、こいつらをなぎ倒すしかないんだろうけど……)
脳裏でそんな事を考え、苦笑する。
結局、道は二つに一つしか残されていない。ここでこいつらにやられて俺が死ぬか。それとも、こいつらを残らず殺して俺が生き残るのか――、勿論、誰かがここを通りかかれば話は別だろうけど……そんな〝たられば〟を想定したところで、きっと意味は無い。確率が限りなく低い事は起こった時にでも改めて考えればいい。
今はただ、如何にしてこの状況を独力で解決するのか、それだけを愚直に考えるべきだ。
しかし、それを成すには情報が足りない。奴らがどれほどの戦闘力を持っているのか、実際にぶつかる前にそれぐらいは確認しておかなくては。ただでさえ一対多の不利な状況下、情報量の優位性ぐらいは保っておかなくちゃ話にならない。
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ゴブリン
Lv8
MP:25/25
STR:19
DEF:10
AGI:23
INT:7
スキル
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鑑定を発動させ、敵のステータスを覗き見る。結果、俺の周りを取り囲んでいる〝奴ら〟の戦闘力は、然程のものではないという事が分かった。ステータスの能力値は全体的に低めだし、スキルを一つも所持していない。
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ユウト・トガミ
種族:ヒューマン
Lv4
MP:81/81
STR:33
DEF:25
AGI:43
INT:31
スキル
「魔法才能:全」「無詠唱」「ステータス隠蔽」「鑑定」「魔力効率上昇(大)」「魔法複合(#”&)〈名声値:23/2000〉」「???」「火属性魔法:Lv3」「水属性魔法:Lv5」「闇属性魔法:Lv6」「光属性魔法:Lv5」「空間魔法:Lv4」「結界魔法:Lv6」「調合魔法:Lv2」
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現在の自分のステータスを鑑みれば、その差は一目瞭然だ。森で幾度となく戦闘を重ねたグレイウルフ達よりも全体的に数値が低い事からして、相手の数がこちらの四倍だという事を考慮しても、それほど苦労せずに打倒できそうな相手ではある。
だったら、ここまで警戒に警戒を重ねる必要はないんじゃないか――一瞬、頭の中で持ち上がった考えを直ぐに打ち消し、俺は互いに示し合わせたかのようにじりじりと包囲網を縮めてきているゴブリンたちを観察する。
――確かに、奴らは弱い。けど、油断して良い相手じゃない。
ゴブリンたちには知恵がある。森で戦ったグレイウルフ達と同じくらいには狡猾な頭脳が奴らの頭の中には備わっている。知恵とは、力だ。ステータスに一切反映されていないその力を侮っていては、即座に足元を掬われるだろう。
事実、冒険者ギルドで小耳に挟んだ話では、ゴブリンを侮った新人冒険者達が毎年数十人単位で帰らぬ人となっているらしい。
帰らぬ人――つまり、殺されているのだ。不特定多数の人が、目前の魔物達に。もしかすると、今この瞬間にも遥か遠く離れた地で誰かが殺されているのかもしれない。
そう考えると……無茶苦茶怖い。情けない話かもしれないけど、次は我が身なのではないか――そんな考えに囚われてしまって、体の震えが抑えられなくなりそうになる。
けれど、それはそれでいいんじゃないだろうか。油断して足元を掬われるよりも、恐怖に駆られて警戒を怠らないようにする方がよっぽど〝正しい事〟である事に間違いない。勿論、だからといって恐怖のどん底に叩き落とされ、動きが単調になったり、固くなってしまっては元も子もないけど……今感じている恐れ戦きがそれほどではないという事は、何となく自覚できる。
とどのつまり、丁度いい塩梅。
所謂、適度な緊張感というものを今の俺は保てているのだと思う。
――なんと不思議な感覚なんだろうか。
目前のゴブリンたちに内心戦々恐々しているのにも関わらず、頭の中でこうやって自分を客観的な視点で分析する余裕が残されている。まるで、自分自身の思考を二分割しているいるような、得も言えぬ違和と飽和感。
そんな自分の中のしこりを自覚していると――、
『ゴブッ!』『ガアァッ!』
ゴブリンたちが動き始めた。四匹の内、二匹がこちらに向かって猪突猛進。濁り切った金切り声を発しながら、丁度、前後挟み撃ちする様な立ち回りで棍棒を殴りつけて来ようとする。
勿論、そんな攻撃に当たる訳にはいかない。身を反らし、棍棒を回避――したのも束の間、その先にもゴブリンが立っていて、そいつは下卑た笑みを浮かべながら、武骨な棍棒を俺に叩きつけようと大きく振りかぶっている最中だった。
少しだけ、ヒヤッとする。拙いながらも敵が連携らしきものを取っているという事が身に染みて理解できたから。
……けど、これぐらいならどうにかなりそうだ。何しろ、タイミングが悪い。
もし、目前のゴブリンの〝追い打ち〟がもう少し早いタイミングで行われていれば、俺はこいつの攻撃を避ける事は出来なかっただろう。しかし、意思疎通が取り切れていないのか、それとも、ただ単純に連携を取る事は出来るが〝その先〟にまでは考えが及んでいなかっただけなのか。とにかく、この攻撃はこちらを捉えるにはあまりにも適切なタイミングを逸し過ぎていた。
「――フッ!」
小さく、息を吐く。そして右脹脛に力を集中させて地を蹴った。
完全に相手の攻撃体勢が整う前に。一気に彼我の距離を詰めにかかる。
『ギャギャッ?!』
自身の懐に敵を招き入れてしまったゴブリンが声を荒げるが、もう遅い。
俺は間髪入れずに得物を握る右手を振り切り、ゴブリンの首を深く切りさいた。刹那、切断痕から赤い血が飛沫を上げるのと同時、首を掻っ切られたゴブリンが瞳を濁らせて地に倒れ伏す。濃厚な血臭が辺りに充満し、思わず顔を顰めそうになるが、今はそんな事に気を取られている場合では無いと自分を叱咤して即座に反転。
すると、先程挟み撃ちを狙いに来ていた二匹と残りの一匹がにわかに殺気立ちながら、こちらに襲い掛かろうとしてきている真っただ中だった。仲間がやられた事で完全に俺を排除すべき敵だと認識したのだろうか。こちらを何としてでも殺してやろうという、確固たる奴らの意志を殺気という形で十二分に感じ取る事が出来る。
局地的な一対三の構図。そして背後からの不意打ち。これには流石に対処しきれる自信が無い。俺はそこまで器用じゃないし、なんなら、咄嗟に大人数を全く同時に相手取るには肝心の経験が不足し過ぎている。
どうにかして、こいつらをバラけさせなくては……。
あの時は――森の中でグレイウルフ達と交戦した時は、木が密集している場所に誘い込み、一時的に一対一の構図に持ち込んだ。けれど、この周囲は見晴らしの良い開かれた土地で、更に外周を囲む森にしても、あの時ほどは木が密集していない。という事は、地形を利用する手は使えそうにない。
『ギャウギャウギャウ!』
「――あぶなっ!?」
間一髪の回避行動。ほぼ同時に振り下ろされた三本の棍棒による打撃を、バックステップで辛うじて逃れた。今まで自分が立っていた場所にゴブリンたちの棍棒が突き立ち、下草が桜吹雪みたく千切れ飛ぶ。もし、今の攻撃をまともに喰らっていれば、どこかの骨が一本二本は持っていかれていたかもしれない。
ありえたかもしれない、最悪な自分の姿を想像し、嫌な汗が背中を伝う。
『ギャギャッ!』
続けて、三匹のゴブリンたちは足並みを揃えて棍棒を振るってきた。
さっきと同じ攻撃パターン。けれど、今回は攻撃の起点から認識していたからか、こっちにもまだ余裕がある。それに、奴らの攻撃は一度、既に目にしている。落ち着いて対処すれば、捌ききれない攻撃じゃないはずだ。
『ガアァッ!』
「――――っ、」
果たして、咄嗟に自分に言い聞かせた言葉は真実の言明だった。
視界に映る、三匹のゴブリン達。奴ら一人一人の挙動が何となく認識できるのだ。全て、手に取るように――という訳じゃないのがネックと言えばネックだが、今はこれで十二分。
俺は上半身を屈め前傾姿勢を取ると、一気に前に飛び出した。
先ほどゴブリンを一匹仕留めた時と同じような、急激なストップアンドゴー。
そうして向かって一番右側、一際背の高いゴブリン――とは言っても、身長は精々1メートル20センチといったところだが――に肉薄する。
しかし、敵とて直近に喰らった戦法をもう一度許すような馬鹿では無い。
相対するゴブリン。その貌がニヤリと何とも不細工な嘲笑を浮かべた。
次いで、奴が握る棍棒の軌道が変化する。大振りから、小振りへ――より近い敵に対応した軌道へと。その狙いは……こちらの頭蓋。
――こちらの無防備な頭上に棍棒が迫ってくる。
次回の更新は来週のこの時間を予定しています。
今度こそ予定日に更新させる所存ですが、もし間に合いそうになければ活動報告にてその旨を告知したいと思います。
今回も読んでいただき、誠にありがとうございました。
誤字報告、感想、評価等頂けると幸いです。
次回もよろしくお願いしますm(__)m




