表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/58

街に着く、早速やらかす

怒涛の5日連続更新(゜∀゜)

 多分森を出てから、かれこれ一時間ぐらいは歩いたと思う。

 その道中は人が群れている為か、森の中から魔物が襲撃して来る――なんて事は無く、ましてや別の人等から話しかけられる事も無く、特にトラブルに巻き込まれる事なく、無事に壁のほど近くまでたどり着くことが出来た。


 そして、今。俺の目の前には長蛇の列。門まで続く、人の行列。

 どうやら、壁には中に入るための門が設置されていて、そこでは何人かの人が立って検問を行っているらしい。どれぐらい時間かかるんだろう。これ。


「はぁ……」


 列のあまりの長さに眩暈を覚え、溜め息を吐きながら検問待ちの列に並ぶ。そうしてしばらくボーッとしていると、体感ではそう時間が掛からずに俺の番が回ってきた。馬車のような大きなものを率いながら並んでいる人も多かったようで、列の長さにしては検問を受ける人が少なかったらしい。

 検問が実施されている所には、鎧を装着している人が五人立っている。その鎧が統一のデザインとなっている事から鑑みるに、どうやら彼らはこの町の兵士か何からしい。


「はい、次の人」


「あ、はい」


 その内の一人に呼ばれる。


(……あれ?)


「おう、この町は初めてか?」


 俺にニコリとほほ笑んだその男は他の兵士とは違い、かなり身軽な格好をしていた。具体的に言えば、皮鎧と皮ブーツ。そういう軽装備。明らかに他の兵士とは異質だ。

 顔立ちはかなり整っている。金髪で爽やか系のイケメンで、しかも背が高い。歳は多分、二十代前半ぐらいだと思う。


「はい。この街に来るのは初めてです」


「そっかそっか。んじゃあ、身分を証明できるものは持ってるか?」


「いえ……ちょっと、そういうのは持ってないですね」


「あー、そうか。それじゃあ、仮の身分証明書を発行するから、あっちの建物で少し話を聞かせてもらえないか?」


 そう言いながら、男の指は門のすぐ脇にある小さな小屋を指差している。その小屋は……何ていうか、物凄くぼろい。あまりのぼろさに、犯罪者を閉じ込めておく独房を連想してしまうぐらいだ。自分の心の中に得も言えぬ不安が蔓延っていくのが自覚できる。


「えっと……まぁ大丈夫ですけど。あの……あそこで何を聞かれるんでしょうか、俺」


 少し不安げな声で問うと、男は苦笑しながら俺の肩を軽く叩いた。


「そんな困惑した顔しなくても良いって。こっちが聞くのは、あくまでちょっとした個人情報だ。名前とか、出身地、職業とかな。後は簡単に外見の特徴を書き留めるだけだ。とにかく、先にあっちの建物に入ってて貰えるか? 俺は別の奴にここの仕事を引継いでから行くからさ」


「はぁ……分かりました」


 俺は男に促され、他の検問待ちをしている人々から奇異の視線を浴びながら小屋に入る。

 小屋の中は……うん。やっぱ外見同様、相当にボロい。およそ二畳ほどのかなり狭いスペースには、簡素なデザインのテーブルが一脚と椅子が二脚置かれている。とりあえず二脚ある椅子の内の一つに座り、男を待つ。


 少し手持無沙汰な気がするが、何かやれることがある訳でもない。本を取り出して読んでも良いんだけど、もし誰かに俺が本を読んでいる事を確認された場合、その本を何処から取り出したのかっていう疑問を相手に生じさせてしまう事になる。


 シェリルさんによれば、火、水、風、地の四大属性魔法以外の魔法は担い手が極端に少ない傾向があり、その担い手たる者達はとても貴重な存在だ。その中でも『アイテムボックス』の他、特定条件を満たした場所に瞬間移動が可能な『転移』などを使える『空間魔法』の担い手は、この世界の国のお偉いさんたちにとっては喉から手が出るほど欲しい存在らしい。

 実際、俺はついさっきまでスキル『鑑定』を用いて、周りにいる人々の『ステータス』を覗きまくっていたのだけど、俺がステータスを見たおおよそ40人の人の中には、空間魔法はおろか、四大属性魔法以外の魔法を使える者は一人たりともいなかった。


 勿論、これだけの理由で絶対にシェリルさんの情報が正しいというつもりは無い。けど、少なくともこの世界の『常識』を理解するまでは、人目のあるところで空間魔法を使用するのは極力避けた方が吉だろう。

 ……とまぁ、そのような思惑の下、俺は特に何かをするでも無く、


(あ、でもさっき、検問所にいた男の人は『出身地も聞く』って言ってたっけ……転生者だって言えるわけもないし……どうしよう……とりあえず人里離れた場所に住んでたって言っとこうかな――)


 と、これから投げかけられるだろう質問に対する回答を考えながら、静かに男を待った。

 すると数分後、小屋の扉が鈍い音を立てながら開き、あの金髪イケメンの男が中に入ってくる。


「すまん。待たせちまったな」


 男は謝罪を述べると、空いていた椅子に腰かけた。

 そして「いやー、やっぱ検問所の仕事はスタミナが必要だな」と、何ともおっさん臭い事を宣い、首をぐるぐるぐるぐる回す。次いで、仕事帰りのサラリーマンがする様な重い溜め息を一つ吐くと、懐から一枚の紙と一本の羽ペン、インクを取り出した。


「さぁて。こうして大の男が二人で狭い建物の中に居続けてもしょうがないしな。さっさと聴取を終わらせますか」


 そうつぶやいた後、男は質問を投げかけてくる。


「というわけで質問始めるぞ。まず聞きたいのは、お前さんの名前だ。苗字の含めたフルネームで答えてくれ。あと、差支えなければ、年齢も一緒に頼む」


「ユウト・トガミ。歳は16です」


 ちなみに、これは完全に余談だが、この世界の暦は曜日の呼び方が違うだけで、他は地球と全く同じだ。よって、俺の年齢は地球にいた時と同様16となる。……まぁ、それもシェリルさんが外にいた頃と変わって無ければの話なんだけど。


「ほうほう」


 男は声を漏らしながら、紙に日本語で『ユウト・トガミ 16』と記入した。


「――じゃあ次だ。お前さんの出身地は?」


「えっと……まぁ、相当田舎っていうか……」


 俺は一瞬逡巡しながらも、ついさっき考えた設定を答えていく。


「俺は自分の家族以外、周りには誰も住んでない場所に住んでました。ですが、ついに先日両親が他界しちゃいまして、このまま一人で森の中で生活していくのもなんだかなって思って森を突っ切ってここまで来ました。で、俺は両親から一般常識や地理といった知識を教えてもらってません。なので、俺が具体的にどこに住んでいたのか。そこが何と呼ばれていたのかは分からないんです」


「ふーん……」


 俺の回答に、男は文字を綴る手を止め、こちらを疑うような視線を向けてきた。あれ、何か嫌な予感……そして、俺の視線の先で、男はニヤリと口角を上げると、


「お前、それ嘘だろ?」


「…………」


「そんなダンマリ決め込んでも無駄だぞ、無駄。つーか、そんなあからさまな作り話に引っかかる奴なんて早々いねぇよ」


 その男の言葉が止めとなり、嘘を付き通す事を諦めた俺は掠れた声を上げた。


「……あ、あ、あははは……やっぱりそうですよね……」


「全く……で、お前さんは何でそんな嘘を付いたんだ? ほれ、お兄さんに話してみ?」


 腕を組み、どこかおちゃらけた口調で男が問うてくる。そこに、こちらを咎める様な雰囲気は一切無く、ただ本当に俺が嘘を付く理由を聞きたいだけの様に見えた。

 ――だが、俺にはどうしても真実を言えない訳がある。故に、ここで嘘を付いた理由を話すわけにはいかなかった。


「すいません……それは言えません」


「……そうか、そりゃ参ったな。検問所を任されてる身とすれば、出生が分からんお前さんを町の中に入れるのはあまりよろしくないんだが……まぁ、いいか。とりあえず、出生地に付いては深く聞かないでおこう」


 その男の言葉に俺は不意を突かれて目を点にした。


「えっ……い、いいんですか。検問所の門番がそんな適当な判断をして……」


「いや、普通はダメだ。だが、これは決して適当な判断なんかじゃないぞ。なんせ、俺にはこれがあるからな」


 男はそう言いながら自分自身の体の一部を指し示した。それは――


「目……ですか?」


 そう。男が示していたのは、自分自身の両目だった。

 こちらの問い掛けに男が頷く。


「ま、一口に目と言っても特別視力が良いとか、そういう訳じゃないんだけどな。人を見る目って意味の『目』だ。小さい頃から俺には分かるんだよ。今俺が見ている奴は良い奴なのかとか、何か変な事を企んでねぇかとか、嘘を付いてないかとか、そういう事がな」


「つまり、勘がやけに良いと?」


「うーん、それとはまた少し違うんだが……」


 男は一瞬逡巡するそぶりを見せたが、すぐに元の調子を取り戻した。


「とりあえずはその認識で良いか。とにかく、俺の人を見る『目』は検問所にいる他の連中や上の立場の人間からも信頼を得ているからな。俺が口添えすれば、お前さんも問題なく街に入れると思うぞ」


「それは物凄い助かります……正直、この街に入れなかったら、今日も野宿になるところでしたし」


 別に野宿する事自体は特に苦にはならない。ここ十日で野宿に慣れちゃったしね。けど、せっかく目の前に街があるというのに中に入る事が出来ず、結果その近辺で野宿しないといけないなんてことになったら……嗚呼。想像しただけでとても虚しくなってくるな。


「あぁ、それはキツイよなぁ。この時期は比較的暖かいとは言え、外じゃあ、外敵に気を付けないといけない上に、周りへの警戒も怠れない。……って、」


 そこではたと何かに気が付いたらしい男が、こちらに興味深そうな視線を向けてきた。


「そう考えると、お前さん良く森の中を突っ切ってこれたな? さっきは話を聞き流しちまったが、お前さんは少なくとも『森の中を突っ切って来た』と言った時には嘘を付いてなかったよな? 一人で森の中を突っ切るって……まぁ、食事は森の中でも調達できるからいいとして、普通は睡眠時間を十分に確保できないはずなんだが」


「……あ」











今日の更新分だけで街に入るつもりだったのに……どうしてこうなった(;゜Д゜)


というわけで、明日も更新です。

明日の更新で街に入ります。


今回も読んでいただき、ありがとうございました!

次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ