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メイドの呟き

文脈の区切れの影響により、今回は少し短めです。

==========

ユウト・トガミ

種族:ヒューマン


Lv1

MP:42/42

STR:4

DEF:3

AGI:12

INT:7


スキル

「魔法才能:全」「無詠唱」「ステータス隠蔽」「鑑定」「魔力効率上昇(大)」「魔法複合(#”&)」「???」

========


 俺の目に映ったそれは、正しく『ステータス』。RPGゲームで見たものとよく酷似した『ステータス』そのものだった。そこには、自分の名前、種族名、レベルやパラメーター、果てはスキルなんてモノも記述されている。

 それにしても、これは視界に直接映り込んでいるのだろうか、目を瞑っていても『ステータス』は視界から消えず、開眼している時と同様に視界に映っている。


 ――と、そんな感じで突如出現したステータスについての考察を行っていると、俺は自分のステータスの一部がどうもおかしいという事に気が付いた。


「ユート様、ご自分のステータスを見るが出来ましたでしょうか?」


「……はい。一応、見れました……けど」


「『けど』? 何か不都合でもございましたか?」


「いや、不都合ってわけじゃないんですが、ちょっと気になる事があるっていうか……」


 言って、俺は自分のステータス――その『スキル』の欄を見た。

 8つあるスキル。その内、最後に表示されている二つがどうもおかしい。


「何か、『スキル』の欄にあるスキルの文字の一部がぼやけていたり、そもそもスキルの名前が『???』でそれが何なのかが全く分からなかったりで……」


「ふむ……恐らくでございますが、ユート様のおっしゃられている『???』とは、覚醒前の『異邦人スキル』でしょう」


「異邦人スキル……ですか」


「はい。異邦人スキルとは、この世界の外側から来た魂――つまり、ユート様の様な『転生者』や召喚魔法によってこの世界に連れてこられた『召喚者』、そして何らかの理由でこちら側の世界に偶然やって来てしまった『転移者』達が一律に持つとされる強力なスキルの事です。その効果はさまざまですが、一般の者達が持つスキルとは一線を画す能力を発揮するとされています」


 尚、その後も続けられたシェリルさんの説明によると、転生者や召喚者、転移者が異世界にやって来た直後はその『異邦人スキル』とやらは未覚醒の状態となっており、ある一定の条件を達成する事によってその者が最も望む力に出来るだけ近い力へと『覚醒』するのだという。

 だが、その覚醒に至るための条件はシェリルさんも知らないらしい。


「申し訳ありません、ユート様。私はメイド失格にございます」


 彼女は己の無知を恥じたのか、俺に謝罪の言葉を告げてきた。だが、今ここで彼女が謝らないといけない道理はない。そもそも俺は彼女から色々と教わっている立場であるからして……こちらからあれこれ文句を言うつもりは毛頭ないのだ。というか、少々物事を知らないだけでメイド失格ってのは流石に大げさな気がする。


 そんなわけでシェリルさんに謝罪は必要ないという事を改めて伝え、その場を諫めた後。話題は俺のステータスのもう一つの違和……つまり、文字の一部がぼやけているスキルへと移った。


「それで、文字がぼやけている……とはどういう事なのでしょうか? 私にはユート様がどのような『ステータス』を見ておられるのか分かりません。ですので、もう少し詳しく説明していただけるとありがたいのですが」


「うーん、何て言えばいいんですかね……」


 俺は眉間に皺を寄せながら頭をポリポリと掻いた。


「実際、ぼやけてる文字ってのは本当にちょっとだけなんですよね。スキルの名前は問題なく見えますし。ただ、そのスキルの名前の後に括弧がついていて、その中の文字がぼやけてて見えないって感じで」


「……ちなみに、そのスキルの名前とは?」


「『魔法複合』っていうスキルです」


 俺が答えると、シェリルさんは右手の人差指を顎に当て、何かを悟ったような表情を浮かべた。


「なるほど。『魔法複合』でございますか(……やはりあのお方はユート様を選んだ、と。そういうわけでございますね)」


「ん? 何か言いました?」


「……いえ。何もございません」


 ふむ。俺の勘違いだったのか。確かに何か声が聞こえた気がしたんだけど。

 ……まぁ、聞き間違いなんてよくあることだし、気にし過ぎるだけ損だな。うん。


「で……この文字化けって結局は何なんですかね?」


「申し訳ございません。ステータスの文字がぼやけるなど、私としても初めて聞いた事でして……」


「あー、あはは……やっぱそうですよね……」


 彼女の返答に俺は苦笑した。

 まぁ、予期していた事ではある。スキルの文字がぼやけるなど、早々起こることではないだろうし、それが日常茶飯事に有るなんてことを考える方がどうにかしてるってものだ。


「先ほども言った通り、私にその疑問を解消できる知識はございませんが……何か過去にそのような例は無かったか、後程館の中の書庫を探してみましょう」


「ありがとうございます」


「いえ。これもまたメイドの務めでございますので」


 俺が礼を言うと、シェリルさんは慇懃な態度でお辞儀をして見せた。









今回も読んでいただき、誠にありがとうございました!

次回は明日に更新できるかなと思います。

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