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004

「これ、片付けますね」

「あ、俺が……」


 そう言おうとしたとき、イズナが右手をさっと振った。

 すると、目の前の机や食器はおろか、裏にあった台所もまるでそこに何もなかったかのように消え去った。


「さて、食事も終えたことですし、どうします? 本題に入っちゃいますか? それとも、少し休憩します?」

「あ、あの……」


 女性と話すこと自体かなり久しぶりなうえにコミュ障気味な俺には、突然こんな美少女との2人きりの会話はきつかった。

 緊張して話したいことがまとまらず、口も動かない。

 そのことが分かったのかイズナは少し笑うと、


「じゃあ、休憩しますか」


と言って、また右手を振った。

 すると、見渡す限りの草原が広がった。


「あなたたちの世界を見たって言いましたけど、体験まではしてないんですよね。だから、一緒に横になりませんか?」

「え、あ、その……」


 キョドり過ぎて、完全におかしな人だった。

 イズナはその間に草の上に座ると隣をポンポンと手でたたいた。そして、二コリとほほ笑む。


「あ、どうも……」


―――なんだか、気を使わせてばかりのような気がする……


 そんな事実に打ちのめされつつも、心地の良い風を感じながらまったりと過ごす。


 ふいにイズナが口を開いた。


「今回異世界へ行っていただく理由なのですが、」

「はい」


 自分でも信じられないくらい、あっさりと言葉が出てきた。


「実はその世界から一人、別の世界に召喚されてしまいまして、」

「あ、人員補充的な感じですか?」

「はい。端的に言うとそうです」

「でも、なんで俺が?」

「向かっていただく世界というのは、ほかの世界と比べてかなり特殊なんです。その世界は別の世界、つまりあなたたちの世界やその他多くの世界からあふれた意思のエネルギーを処理するための世界なんです」

「意思のエネルギー?」

「喜怒哀楽などの感情、願い、恋愛などの思いというのは多かれ少なかれエネルギーが発生します。ですが、これは無から生まれることがある唯一のエネルギーなんです」


 無から生まれる物はないはずだが、どういうことなのだろうか。


「わからないという顔をしていますね」


 どうやら顔に出ていたらしい。


「まあ、あなたたちの世界ではまだ確認されていないものですから、仕方ありません。そうですね……例えば、強く願った時に不思議な現象が起こることってありませんか?」

「もしかして、魔法とかってことですか?」


 イズナはコクリと頷いた。


「簡単に例を上げるならそうなります」

「なるほど……」


 過去の文化を勉強していた時に知ったものだが、実在していたとは思わなかった。


「話を戻しますと、喜びや楽しみなどの良い感情から生まれるエネルギーを正のエネルギー、怒りや悲しみなどの悪い感情から生まれるエネルギーを負のエネルギーとします。

 この2つのエネルギーは打ち消しあう性質を持っていて、正と負どちらでもない状態で維持されます。ですが、ごく稀にどちらか一方に偏ってしまう事があるのです。


 例えば、正のエネルギーが多くなってしまうと、先程の魔法のような現象が起こりやすく、それも極端に効果が表れます。

 また、負のエネルギーが多くなってしまうと、凶悪な感染症や呪いが蔓延し、多数の死者が出てしまいます。

 そうならないようにと作られたのがあなたに向っていただく世界なのです」


「そこは、ほかの世界では受けきれなくなったエネルギーを回収し消費させるための世界という事か?」

「理解が早くて助かります。

 ただ、あちらの世界では正のエネルギーは魔法に、負のエネルギーは魔物になって消費されます。

 正負のエネルギーが打ち消しあうのは同じ世界で生まれたエネルギーでしか出来ないようで、あちらの世界以外に回すという事も出来ないのですよ。


 現在はまだなんとかなっているのですが、このままでは正のエネルギーが多くなりすぎてしまいそうなのです」

「それは、魔法の使用量が少ない?」

「いえ、生み出される正のエネルギーが多すぎるのです。時間がたって文明が発展していくにつれ、正のエネルギーが増えるのです。そして、あちらの世界で生み出されているエネルギーも正のエネルギーが多い、というのが現状です」


「つまり、恨みを買うような行動をしつつ、エネルギーの発生源を絶てばいいのか」

「そこまでは言いませんが、エネルギーの発生源は一部に多大な正のエネルギーを発生させてばかりですので、発生源を絶っていただけるとありがたいというのは確かです」


「わかった。じゃ、それをやるよ」

「え、でも、いいんですか?」

「ほかにやることもないだろうし、面倒なことになる前にそういう不安要素は取り払っておくものだろ?」

「確かにそれが一番ですが……」

「ならやることは決まりだ」

「でも…………」

「ん? なにか問題があるか?」


 イズナが俺の顔をうかがうようなしぐさをしていたが、観念したようで、


「ハァ……わかりました。でも、無理はしないでくださいね? これでも心配くらいはするんですよ?」

「俺みたいなやつを心配したって、」

「まあ、わからないならいいです。私が出来る範囲でサポートしますから、気を付けてくださいね」

「ま、せいぜい頑張るよ」


「まもなく時間になりそうとのことなので、転生の準備に入ります」

「りょーかい」

「くれぐれも、本当にくれぐれも注意してくださいね? 不安になったら連絡してもいいんですからね? むしろ何もなくても連絡してくださいね?」

「それはさすがに失礼ってもんだろ」


 笑いながらそう言うと、なぜかイズナは頬を膨らませた。


「それでは転生の準備が整いましたので、横になってください!」

「ああ」


 言われるまま草の上に横になる。

 するとなぜか、イズナが俺の頭を自分の膝にのせていた。

 まあ、準備とやらの一環だろう。


「それでは、転生を始めます。あなたの行く先に幸多からんことを……」


 イズナがそう言うと、俺の体が強く光り始めた。

 そして、抗えないような強い睡魔に襲われた。


「あなたのことは全部知ってるんですからね!」


 瞼が閉じる直前、額に感じた痛みとともに、そんな言葉が聞こえた。



◇◆◇◆◇◆◇



オギャーーオギャーーーオギャーーーーー


 ある屋敷の一室に産声が響いた。


「おめでとうございます。元気な男の子ですよ」


 そう言われながら、赤子は助産師から母親の手に渡された。


「ルナ、よく頑張ったね、大好きだよ」

「アデク、私も大好きよ」

「名前は決めていた通りでいいかい?」

「ええ、もちろん」


「「きみの(あなたの)名前はラグナだ(よ)」」

みなさんこんにちはyoshikeiです。

今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。


新しい名前まで出すことが出来てほっとしています。

まあ、最後の方は駆け足になった感がありますけど、見逃していただけると幸いです。


今後ともよろしくお願いいたします。


次回の投稿は11月25日午前9時です。

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