002
先程、第一話を投稿しました。
ニュルっとした感触が俺の頬を撫でた。
だんだんと意識が浮上していくにつれ、自分が寝転がっていることに気づく。
―――ああ、こんなにしっかりと眠ったのはいつぶりだろう
そんな考えが頭をよぎる。
ふと、頬にヌメッとした感触が
―――なんだ?
温かく心地よい光が降り注ぎ、草が鼻をくすぐる。
ふんわりと柔らかく、それでいて内側にはゆったりと支えるような程よい硬さ。寝返りを打った。
見知らぬ気配が近づいてくるのを感じる。
身を守るためにも起き上がったほうが良いのだろうが、この心地よさを手放すのは惜しい。どうしようかと考えていると、顔に影がかかった。
「あの、大丈夫ですか?」
少女のような高い声が耳に届いた。
とりあえず、記憶を探る。が、思い当たる人物はいない。
―――そうだ。俺は……
昨晩の事を思い出した。
会社のデスクに向っている途中から、記憶は途切れている。きっとそこで寝落ちしてしまったのだろう。
という事は、ここは病院かどこかだろうか。
「あ、一応意識はあるようですね。よかったです。それと、ここは病院ではありませんよ?」
先程と同じ声が聞こえてきた。どうやら、考えていたことへの回答だろう。
無意識のうちに声に出していたのだろう。
「意識があるかどうかの確認として、勝手に思考を読ませてもらっちゃいました。ごめんなさい」
たぶんこれは夢だ。
俺の無意識が作り出した空想上の空間。それなら俺の意識が勝手に反映されたって不思議じゃない。
「まだお疲れのようですので、本当は休んでいただきたいのですが、勘違いされても困るので簡単に説明させていただきますね。まず、ここはあなたの夢ではなく別の空間です。さらに言うと、別の次元でもあります。
まあ、次元に関しては説明も難しいので省略しちゃいます。知らない場所って思ってくれればいいです。
で、本題なんですが、私はある事情によりあなたたちの世界から一人、異世界へと送らなければならなかったのです。そこで、あなたを送ることにいたしました。
詳しい事情は話せませんが、メッセージを送った時、よいお返事をもらうことができて安心しました」
メッセージというと、あのパソコンに出ていたやつだろう。まさかあれが、本当に異世界への招待状だったとは思っていなかった。
「ですが、こちらの事情で送るというのになにもないというのは恩知らずというものです。なので、一度こちらに呼ばせていただきました」
彼女(たぶん女の子だと思う)は今までのまじめな声色から変わり、明るい声で話し始めた。
「さて、ここまで聞いていただきありがとうございました。そのほかのことはまた目を覚ました時にお話するので、今はゆっくり休んでください。あ、そういえば、こっちの方がこの人は喜ぶんだっけ?」
そう聞こえたとたん、急速に眠気が襲ってきた。
疲れていたが気づかなかった。というような感覚だ。俺はその眠気に誘われるまま意識を落とした。
「おやすみなさい、お兄ちゃん♪」
なんとなく、そう聞こえた気がした。
これ言われたのは、何年振りだっけ?
みなさんこんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
次回の投稿は11月24日(金)午前9時です。