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かなり鬱な内容となっております。

読まなくても何とかなるので、苦手な方は次話からどうぞ

 電気が消されたあるオフィスの一室、その中にうっすらとディスプレイの光だけがあった。

 その正面では一人の男性が座り、カタカタとキーボードを鳴らしていた。


「はぁ、もうすぐ日付が変わるか……」


 彼は明日、30歳となる。

 ただし、いまだに女性経験はない。つまり、明日で魔法使いとなるのだ。

 彼の名誉のためにも少しばかりフォローをしておこう。


 彼は今まで努力を怠ってきたわけではない。むしろ人一倍努力はしてきた。

 親にいい学校に行かないといい生活が送れない。あの学校に行けば将来良い生活が送れる。そう毎日言われ続け、良い生活を送るためと頑張ってきた。

 小中高と成績はトップをとり、高校はレベルの高い有名な進学校へ大学もこの国一と言われている学校に通った。学校に通っている間は勉強を第一に常にトップを目指した。クラスメイトと遊びに行きたいのも我慢して、勉強をした。全ては親に言われた通り将来良い生活を送るため。


 だが、彼に待っていたのは悲惨な現実だった。


 大学に入ると教科書通りにやってきた彼はすぐに躓く。教科書通りに行っていた今までとは違いすぎたためだ。なんとか大学は卒業したものの、希望していた大学院には行けず、就職を目指すも内定は一つも貰えなかった。

 理由はコミュニケーション能力がない、教科書通り過ぎる、「お前を雇ってもうちに利益が出るとは思えない」というものだった。


 当然だ。小中高と学校に通っている時間というのはコミュニケーション能力をはぐくむ時間でもあるのに、その時間を潰してまで勉強をしていたのだ。新しく生み出すのではなく、同じことを繰り返し、覚え、出された問いを答えるだけしかできなかった。


 そんなものはロボットと同じだ。ある面接でそう言われた。


 一年の就職浪人を終え、ありつけた職場。そこでついたあだ名はロボット。

 だが、就職してから3年。そこそこ仕事が出来るようになってきた頃だった。その会社の取締役が変わり、一気にブラック企業と化した。

 それとほぼ同じくして彼の手元に一通の手紙が届く。

 手紙には有名で人気者だったが、成績はあまり振るわなかった者の名前が。彼とは真逆の人物と言ってもいいだろう。

 裏を見ると、ここ数年で一気に上場してきた会社の社長になったと書かれていた。


 親の言うように学歴を積み上げ、必死に努力してきた彼を待っていたのは敗北感と疲労感、そして最悪の生活だったのだった。

 それ以来、以前にも増してロボットのようにただ作業をこなすだけとなってしまった。


「ああ、あと10分か」


 彼がチラリと時計を見た。


「ん? なにか踏んだか?」


 彼のパソコンに突然見知らぬウィンドウが出ていた。

 そこには


『あなたは異世界へ転生する権利が与えられました。転生しますか?』


 という文章と、「はい」と「いいえ」のボタン。

 彼はウイルスだと思ったのだ。

 メールを開いたわけではない。もちろん、ネットサーフィンをしていたわけでもない。ハッキングされるような状態でもない。

 よって普通に考えれば、そんなものが突然出てくるはずがないのだが、何日もまともな睡眠をとらずに過ごしていた彼にはそんな簡単な判断すらできなかったのだ。


「まあ、どっちを選んだって同じだろう」


 そう考えた彼は、ノートパソコンを開きながら、机の上に設置されているパソコンのLANゲーブルを引っこ抜き「はい」を押した。

 会社のサーバーにウイルスが入らないようにするための彼なりの対処だった。原因が全く違うので、実を言うと特に意味はない。まあ、実際にウイルスやハッキングだったとしても、その対処はほとんど意味をなさないであろうが……


「こっちでやるか」


 そうつぶやきながら、ノートパソコンでログインしようとしたその時だった。

 机の上のパソコンが急に強い光を発し電源を落とした。

 それと同時に、彼が持っていたノートパソコンは地面に落ちた。


 これ以降、この世界で彼を見たものはいないと言う。

みなさんこんにちはyoshikeiです。

今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。


今回の新作はかなり異質です。

今までの作品を読んでくださった方はわかると思いますが、ぶっちゃけ私はギャグを書くのが苦手です。

それでも、自分で書いて読みたいと思うようなアイディアが出てきてしまったので、新作として投稿させていただきました。

上手く続くといいな~

と思いながら、書いていきます。


今後ともよろしくお願いいたします。


次回の投稿は数分後です(いやマジで)。

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