異世界でもヒャッハー
俺は暴走族だ。けど、最近は集まりが悪くて、今日も1人で峠を攻めているぜ。
「行くぜ。ヒャッハー」
バリバリに飛ばしていると……ゲゲゲゲ。
目の前に、車線を越えて、トラックが突っ込んで来やがった。おおおお。
気が付いたら白い部屋に居た。
目の前には、白い服を着た、ジジイが居た。
「佐藤真土君。気が付いたかね?」
「ここは?俺はトラックに轢かれたはずだが?」
「佐藤真土君は死んで、この白い部屋に来たんじゃよ」
「確かに白い部屋だけど……」
「ここは、現世界と、異世界の中間地点なんじゃよ。君はこれから、異世界へ転生するのじゃ」
「異世界って?魔王とか、勇者のアレか?」
「そうじゃよ、勇者とかのアレじゃ……君のスタイルのままで、バイクも送るし、君にあった能力とかも与えよう」
「俺のイカしたモヒカンのままか?」
「そうじゃよ。鋲の付いた肩パッドも、そのままじゃ」
「ありがとう、あんたいい奴だな」
「どういたしまして。異世界を満喫しなさい佐藤真土君。それでは、さらばじゃ」
気が付いたら見知らぬ街に居た。
おおおお、ド金髪に染めた、気合いの入ってる奴が、いっぱい居るぜ。こいつは負けてられねえ。
俺が気合いを込めて、周りの奴らにガンを付けてると、何だか、どいつもこいつも、俺に注目してやがる。
あっ、さては……俺の乗ってるバイク、Z2の、ロケットカウルや、三段シートに痺れたか?
見知らぬ街でも、俺は目立ちまくるぜ。
「おい、道を開けろ」
うん?何か、鎧をガチャガチャさせてる大男が、馬に乗って、俺に近づいて来やがった。何だこいつは?
「おい、お前は何者だ?その跨がってるのは、何だ?」
「俺はマッドだ。乗ってるバイクはZ2だ。まいったか?」
「名前は、マッドだな?それで、バイクと言うのは何だ?」
「これだよ。俺の命だ」
俺は、自分の愛車を、軽く叩いた。
「お前が乗ってるのが、バイクって名前なのは、分かった。しかし、お前は怪し過ぎる。詰所まで来てもらおう」
「詰所?そりゃ何だ?」
「騎士団の詰所だ。そこでお前を調べて、そのバイクを見せてもらう」
「何だ、俺のバイクが見たいのか?仕方ねえな、そこまで言われちゃな……人気もんは辛いぜ」
俺はバイクのエンジンをかけた。
ブォーンブォーン。
周りの奴ら、めちゃくちゃ驚いてやがる。
俺は、ウルサイのが苦手で、マフラーを切ったりはしてないけど、こんなに近くだと、やっぱり、バイクの音はデカイか……
「何なんだ、その音は……まあ、とにかく、俺に着いてこい」
俺は、その鎧男の後ろを、ゆっくり追走して騎士団の詰所とやらに行った。
そこには、大勢の鎧男達が居て、何やらガチャガチャとやってやがった。
「宮廷魔法使いを呼んで、お前のバイクとやらを見せたいので、しばらくここに座ってい
てくれ」
俺は、言われたように座ってると、鎧男は、一旦席を外し、酒を持って戻ってきた。
「まあ、これでも飲みながら、お前の話を聞かせてくれ」
「おう、悪いな」
鎧男が用意してくれた酒は、ワインだった。
俺はワインは、ほとんど飲んだ事がないが、このワインはうまかった。
こいつはヤバイ。飲みすぎそうだぜ。
「それで、お前は、どこから来たんだ?」
「名古屋だ」
「名古屋?そりゃ、どこだ?」
「何だお前、名古屋を知らないのか?」
「知らんな」
「そうか……名古屋も、まだまだだな……」
「……まあ、いいか。とりあえず、お前の名前は、マッド。出身は名古屋と……それで、例の乗り物は、バイクと……」
鎧男は、紙に何やら書いていた。
「それで、この国には、何をしに来たのだ?」
「別に何も……俺は、何か知らないけど、変なジジイに、ここに送りこまれた。それだけだよ」
「送りこまれた?」
「そう……俺はトラックに轢かれて、死んだはずなんだけど、なぜか白い部屋にいて、そこから、変なジジイに、ここに送りこまれただけなんだよ」
「死んで、この世界に?そう言えば、マッド、お前は、黒髪黒目だな……お前、転生者か?」
「はあ?転生者?そりゃ何だ?」
「お前みたいに、異世界から、この世界に来る奴の事だよ……お前、日本に住んでたんじゃないか?俺は前に、日本から来た転生者に会った事があるけど、そいつも黒髪黒目だった……」
「日本にって?ここも日本だろ?」
「違う、ここはバントリン王国だ」
「外国なのか?ここは?」
「外国……まあ、そうだな……ここは日本じゃない」
「ああ、それで金髪がいっぱい居たんだな。天然の金髪か……外人だったんだな」
「外人って……ここでは、お前が外人だろ?」
「そりゃそうだな。ガハハハハ」
「マッド……まったくお前は……あれ?日本からの転生者?お前はまさか勇者なのか?」
「うん?そう言えば、ジジイがそんな事を言ってたな……それに俺は、日本にいる時、峠の勇者って呼ばれてたぜ」
「勇者……マッド、お前、勇者なのか……
大変だ……王様に知らせないと……」
鎧男はそう言うと、走って何処かへ行っちまいやがった。
何だあいつ……
もう帰るか……
俺がバイクの置き場所に行くと、そこには魔法使いみたいなコスプレをしてる女が居て、俺のバイクをイジって、いやがった。
「おいおい、人のバイク、かってにイジるなよ」
「これはお主のか?」
「ああそうだ」
俺のバイクを勝手にイジってやがるコスプレ女は、金髪で、ボインボインで、すっげえ巨乳の、イケイケヤンキー娘だった。
「おう、姉ちゃん。今日はコスプレパーティーでもあるのか?」
「コスプレ?何じゃそりゃ?」
「お姉ちゃんみたいな仮装するのがコスプレだろ?知らずにやってるのか?」
「知らんわい。それに、これは仮装じゃないぞい。魔法使いの正装じゃ」
「魔法使い……あんた、30歳越えの童貞か?」
「違うわい。ワシは17歳のヤング娘じゃ」
「ワシって……ヤングとか……でも可愛いな。確かに17歳に見えるし……ボインボインだし……」
「ボインボイン言うな、こんな物は、ワシにとっては、邪魔なだけじゃ」
「邪魔って……もったいないぞ。ツルペタの人に謝れ」
「知らん。ツルペタエルフの事なんか知るか」
「エルフって……どこかで聞いた事あるけど、何だったかな?スケベなアニメで見たような気がするが?」
「そうじゃ、ああ見えてエルフは、すっごくビッチでな。オーク相手に、ヒーハー言ってやがるのじゃ」
「ああ、そうそう、豚顔のオークに、よくヤラレてるのがエルフだ……」
「……話は変わるが……この車は、乗り物のようじゃが……」
「ああそうさ。この世で一番の乗り物だぜ」
「ワシも乗せて、くれんかの?」
「おっ、いいぜ。後ろに乗りな」
俺はバイクに跨り、その後ろに、魔法使いの女が乗った。
「俺の名前はマッド。あんたは?」
「ワシはローリーじゃよ。よろしくな、マッド」
「ああローリー。かっ飛ばすんで、俺の身体に、しっかりとしがみついて、落ちるんじゃねえぞ」
「おう」
俺の背中に、ローリーのボインボインが、バインバインと当たって、俺のチンポは、ビコンビコンになった。
このまま朝まで、かっ飛ばすぜ。