旅立ち
「若!!婚約者がいる身で何をおっしゃっているのですか!!??
だから、バカと呼ばれているのですぞ!!」
「呼んでいるのはお前だけだ!!」
「・・・それは置いてですな、エレナ様をないがしろにしては国家間での大問題になりますぞ!!」
こいつ、ごまかしやがった!!
「だからな、内密に事を起こしてだな、俺が失踪したことにするのだ!!」
「な、何をバカなことを!!」
「家督は弟のガイウスに譲る。それで解決!!」
俺はどうだ!この名案は!!とばかり胸を張る。
爺は頭を抱えた。
「若は言い出したら聞きませぬからな。爺はどうなっても知りませぬぞ!」
「心配するな!うまく行くって!!」
「はあ、、、では執事達を集めて、調査を開始いたします。」
「頼んだぞ!!」
俺は意気揚々と部屋を出た。
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1ヵ月後
惑星国家アースナンバー330722、通称ギリシア
「姫様!お隣のローマで、とてつもない発見があったそうですわ!」
ギリシア第3王女エレナは、侍女のその声を浴室で聞いていた。
「らしいわね、情報を完全にシャットアウトしているものね。
だけど馬鹿よねえ、そこまで秘密にする事って一つしかないのにねぇ。」
「は?その一つとは何でございましょうか?」
「それはね・・・」
「それは?」
「座標よ!!」
湯船から立ち上がったエレンの裸体は白く美しかった。
しかし残念なことに、その胸は僅かな膨らみしかなかった。
侍女がすぐにタオルでエレナの肢体を包み、水滴を拭いてゆく。
「座標でございますか?」
「他に何があると言うの?財宝や普通の失われた科学技術ならば、ここまで極秘にしないわ。」
「はあ・・・?」
「大戦で失われてしまった、銀河連邦の星々の座標・・それが分れば、どれだけの利益を生み出すことか、、、
この恒星系で惑星間戦争が起こっても不思議じゃないわ!!」
「!!」
「ローマに行きます!レオがバカをやる前に!!」
肢体を包むタオルを脱ぎ捨て、全裸のエレナは、ない胸を張り、侍女に命じた。
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ローマ、執事室。
「じい、準備は良いな!!」
「バ、若、、考え直していただけませぬか?」
「お前、こんな時にも、バカと、、、まあ良いわ、その台詞が野も聞けるの今だけか、、
暫くは聞けなくなるものな」
「ですから、出立をおやめくださいと、、」
「心配するな!爺、なあに5年~10年以内には帰国するさ。
理想の乳を持つ妻を連れてな、エレナは俺よりもガイウスの方が似合うさ。」
「どうなっても知りませぬぞ?」
「深く考えるな、この1ヶ月で新しく見つかった惑星100個、全て人類がいるのも確認したじゃないか。
装備も万全、緊急でここへの座標へは、いついかなる時もボタンひとつで戻ってこられる。完璧だ!!」
爺はヤレヤレと頭を横に振っている。
しかし、俺の決意は固いのだ!!
「理想の乳のためなら、何だってするぞ!!」
「声になっておりますぞ!!」
ありゃ!?思わず声にしてしまったか!!
まあ、いいか。
「じゃあ、爺!行って来るぞ!!後は頼んだ!!」
「若、危険なことはなさらぬように!!何かあれば、必ず緊急脱出を使うのですぞ!!」
名残惜しそうな(みれんがましい)爺の顔を見ながら、空間にコンソールを出し、俺は最初の星へ転移するボタンを押した。
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ローマの執事室に転送されると、丁度誰かが転送された所だった。
それで、ピンっと来た。
遅かったか!!
「こ、これは、エレナ王女様!!ご機嫌麗しゅう御座います。」
「前置きは要らないわ!今のレオよね!?」
「は、あ、いえ、、そのようなことは、、」
「はい、言い訳はしない!!レオは何処へ行ったのかしら?」
私はこの国のラズロ執事、通称爺と呼ばれている、老人アンドロイドに尋ねた。
「そ、それは、、、ちょっと旅へ、、、ですな」
「そう、座標は?」
「いえ、その、あの、その、、」
「何ボケたふりしているのよ!!
この前の遺跡調査!失われた座標が見つかったのでしょう?」
「うっ!!」
私はラズロに詰め寄った。
「!?な、何故それを!?」
「やっぱりね!!」
「!!しもうた、姫のカマかけにひっかかるとは!!」
「さあ、白状しなさい!レオは何処へ行ったのかしら!?」
「いえ、それは国家機密で、ですのでしゃべる訳にはまいりませぬ。」
「この期に及んで、往生際が悪いわねえ!この場だけの秘密にしてあげるから白状しなさい!!」
「し、しかし、、、」
「言わないと、失われた座標が見つかったって、バラすわよ!!」
「姫!脅迫なぞ、良家の子女の取る所作とは思えませぬぞ!それこそバレれば姫のイメージダウンですぞ!」
「私は気にしないわよ!眉目秀麗、品行方正、容姿端麗、才色兼備、貧乳!そんなのマスコミが勝手に作り上げただけじゃない!
どーぞ、公表なさって!!」
「いや、貧乳は事実・・・」
「何ですって!?」
ジロリと睨むと、ラズロは目をそらした。
「失われた座標発見がバレたら、惑星間戦争が起きるわよ!!」
「うっ!!」
「さあ、今すぐ言うのです!!」
にじりよる私、後ずさるラズロ。
どう見ても私が悪役よね?まあ、良いんだけどさ。
「分かりました、姫には負け申した。、、若はアースナンバー101へ・・・」
「101!ずいぶん古い星へ行ったのね・・・まあ良いわ座標を教えて?」
「ま、まさか姫!!なりませぬぞ!!」
「追いかけるに決まってるでしょ!!、私はレオの婚約者よ!!」
「き、危険です!!お父様やお母様も絶対に許しませんぞ!!」
「私はこちらのバ、、、若と違って、跡取でもないし、ちょっと旅行に行って来る
と言うわ。」
「この姫にしてあの若あり・・・ですか・・」
ぽつりと呟くラズロ。
「さあ、教えて頂戴!!」
「分かりました!ですが、万全の安全対策を講じていただけたと確信いたさねば
お教えいたしません。ここは譲れませぬ。」
「分かったわよ、準備万端整えて。また来るわ!!一旦帰りますね!!」
エレナはそう言うや否や、コンソールを出し転移していった。
「やれやれ、若・・・エレナ様からは、簡単には逃げられませぬぞ。」
そう言ったラズロは少し嬉しそうだった。
次回から本編です