プロローグ
西暦2831年ハイパースペースを利用した空間移動が完成した。
これによって人類の他の星系への移住が可能になったのである。
人類は新たな開拓地を求めて、移住可能な星へと進出を始めた。
後に宇宙大航海時代と謂われた時代の幕開けである。
人類は競って新天地へと飛び出していった。
100個目の殖民星に移住が始まったのを機に、人類は西暦を銀河暦と改めた。
そして300年後、太陽系から広がった人類は他の銀河も含めて50万以上の殖民星を持つに至った。
人類にとって幸いだったのは、進出したどの銀河系にも敵対する知的生命体が存在しなかった事だった。
知的生命体が皆無だった訳ではない。
しかし遭遇する知的生命体は人類よりも文化レベルが遅れていたり、
進みすぎた科学技術により肉体をも捨て去った精神生命体だったりしたのである。
文化レベルが遅れている星は不可侵の協定が保たれ、その星の人々に影響を及ぼさない事を旨とする法律が制定された。
一方進化しすぎた精神生命体は、人類を全く相手にせず、人類を見守ってゆくスタンスを貫いていたのだった。
このような幸運にも恵まれ、ハイパースペースを利用した情報通信網も整備された人類は強大な銀河連邦を築き上げたのだった。
しかし、銀河暦500年を過ぎた頃から人類文明の衰退が始まった。
5度の銀河大戦を経た現在、人類が築き上げた銀河連邦ネットワークは完全に分断され、
ハイパースペースを使用した航行手段も失われてしまっていた。
この情報網と移動手段の分断により、各殖民星は独自の文化、科学レベルとなっていくことになる。
各殖民星に置かれていた空間転移装置は、殖民星の座標データが失われたために使用不可能となっていた。
辛うじて各々の恒星を廻る9個から10個の惑星間や、或いはその衛星同士を移動できるだけの技術が残っていただけだった。
同じ恒星の惑星や衛星ならば、座標が割り出せたからだ。
そして銀河連邦はその名を残すのみの存在となっていった。
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俺の名はレオニダス・アウレリアヌス。年齢は17歳。
銀河連邦アースナンバー330721、通称ローマの第一王子である。
ローマなのに帝国皇太子じゃないの?と言うつっこみはなしだ。
ローマ王国なのだ。
この星まるごと王政惑星国家なので、星の支配者の後継者と言うことだ。
つまり偉いのだ。
と、偉らそーに語ってはいるが、今は銀河暦892年。
銀河連邦はすでに過去の存在となり、太陽系から離れること?光年、、もはやそれすら不明だ。
とある銀河にある銀河連邦で330721個目の殖民星にすぎない。
それが俺の国だ。
普通なら格好良く『テラズナンバー』とか命名するものだが、
当時の銀河連邦主席が超おたく(ギガフリーク)だったらしく、「テラズナンバー」とかは、
地球の古典コミックにあったとか言ってアースナンバーになったそうだ。
空間転移装置が利用できなくなって200年以上が過ぎ、ここアースナンバー330721でも
行き来可能なのは、この恒星系の7つの惑星と18個の衛星だけだ。
今残っている科学技術でも座標が特定できるからだ。
他の恒星系となると、座標記録も座標を設定しなおす技術も失われてしまい、転移不可能なのだ。
それは他のアースナンバーを持つ星々も同じらしい。
何故ならば、ここ200年間で他の恒星系からの訪問の記録がないからだった。
ここの恒星系の科学技術で銀河連邦時代のものを引き継いでいるのは、医療技術とロボット工学だ。
他様々な科学技術は第五次銀河対戦時の大崩壊で失われてしまっていた。
全ての知識と技術は、惑星まるごと電子サーバーに改造された情報惑星エンサイクロペディア、、
まんまのネーミングだが、、に記録されていたのだが、先の大戦で破壊され全てのデータは失われてしまっていた。
バックアップデータを治めた惑星があったとの噂はあるが、その座標の記録さえ失われ、既に伝説となっていた。
それでもその座標を探そうとする学者達はこの恒星系でも多く、彼らはそのバックアップ惑星をガンダーラと名づけ、
7つの惑星と18個の衛星を移動しては失われた記録を探していた。
まあ、他の恒星系との行き来ができなくなっても、我が恒星系国家群は平和である。
と言うか、ほぼ平和ボケである。
医療技術とロボット工学はより進化し、全ての疾病の治療法は確立され、
生体サイボーグ技術の応用で、ほぼ人と変わらない姿のロボット達が労働を受け持っていた。
各惑星間、衛星間でも戦争は皆無だ。
天下泰平である。
大昔の江戸とか言う国が260年続いて平和ボケしたと伝説にある。
きっと真実なのだろうと、我が国を見ながらそう思うのである。
だが、そんな俺にも悩みがあった。
婚約者の事である。
王国の第一王子なので、生まれる前から婚約者が決められていたのだ。
当然相手の婚約者も生まれる前から決められていた。
お相手は、隣の惑星国家アースナンバー330722、通称ギリシアの第三王女エレナだ。
年齢は16歳、俺より一つ下だ。
眉目秀麗、才色兼備の美少女だ。
え?どこが不満なのかって? 勝手に決められた婚約者だから?俺より頭良いから?
性格に問題が?
いや!!全部違う!!エレナは見た目通りの温厚で優しい性格だ。
国民からだけでなく、この恒星系全国家からも、その美しさと性格を讃えられていた。
じゃあ何が?
乳だ!!!乳房、おっぱい、バスト、乳首も含めた女性の乳が、俺は大好きなのだ!!
笑うなよ!男なんてみんなどこかしらフェティシズムを持っているはずだ!!
尻フェチだったり、足フェチ、指フェチ、面食いなら顔フェチだ。
で、俺は乳フェチなのだ!!おっぱい最高!!乳首万歳!!
触りたい!揉みたい!!ぱふぱふしたい!!乳首を吸いたい!噛み付きたい!!
変態と思うか?
敢えて言おう!乳房が嫌いな男は男じゃないぞ!!
で、だ、、、、
ところがだ、、エレナは、、、貧乳だったのだ!!
これでは、揉めない、ぱふぱふできない!!おっぱいを枕に寝れないではないか!!
生涯を共にする相手、とても耐え切れるとは思えないのだ。
単純に婚約を破棄するわけには行かない、国家間の問題になってしまう。
かといって、理想の乳を持つ側室を娶っては、俺は間違いなくエレナを蔑ろにしてしまうだろう。
理想の乳を持つ生体アンドロイドを性処理に使うのは、この恒星系全国家で禁止されている。
生体アンドロイドを性処理に使うことは、社会学者達が人類の滅亡を促進することを警鐘を鳴らしてしていたからだ。
もちろん、アンダーグラウンド、、非合法な売春組織では生体アンドロイドが娼婦として使われている。
だが、一国の王子たる俺が、そんな所へ通いつめるわけにもいかない。
なんとかエレナを傷つけず、穏便に婚約を解消できないものだろうか?
俺の悩みは日々募るのであった。
連載中の別作品とは違い、SFです。
18禁ではありませんので、過激な性描写はありません。