死の星
「こんばんは、地球のみなさん。我々が何をしたいのかは、もうあなた方にはわかっていただけているでしょう」
静かな空。工場から出ている煙により、星はほとんど見えないが、その空にはこの星のものとは思えない機械が浮かんでいた。これが宇宙船というものか。
その宇宙船から流れたのは、そんな文章だった。おそらく、この文章を見るに、彼らは侵略をしに来たのだろう。
「では、有無は言わせません。これから我々の言う条件を飲んでくれなければ、我々はこの星を死の星にするでしょう」
大都会の真ん中、現れた不思議な宇宙船に脅されているのだ。地球の人々はきっとすぐに降伏をしてくるに違いない。宇宙人たちはそう思った。
しかし、いつまでたっても、人の気配一つしない。少し宇宙人たちは不思議に思った。だが、待っていても仕方がない。彼らは一つずつ、地球人に対して条件を読み上げていった。
「――以上です。さあ、おとなしく降伏してください」
宇宙人がそういった。しかし、やはり地球人は誰一人として返事をしない。それどころか、見た限り地球人がどこにも見当たらないのだ。
しびれを切らした宇宙人たちが、建物を片っ端から破壊し始めた。どんどん倒れていく建物。だが、そのどれにも人間の姿は見当たらなかった。
「しかたない。帰るぞ」
宇宙人たちは、既にこの星が死の星になっていることを確認し、立ち去って行った。
翌日、目を覚ましたA君は目を丸くして驚いた。三日かけて作ったこの街のジオラマが、ほとんど壊されていたのだ。