苛立ち
いつもありがとうございます。
短くて申し訳ないんですが、投稿します。
どうやら、文字数の少なさを、更新頻度でカバーするのが私の書き方みたいです。
とは言いつつも、文字数も頑張っていきますので、それでもよろしければ、これからもよろしくお願いします。
カイル達が屋敷を飛び出したところで、その異変は起こっていた。
先に出たはずの使用人達が、正門付近で固まったまま何かを見ていた。
「どうした!?」
カイルが追いつき、使用人達の視線先を追うと、そこにはサクヤを背負ったライと、そのかなり後ろをついてくる一頭の馬がいた。
「――サクヤ! ――!!」
サクヤの姿とその愛馬を目にしたジュウベイが駆け出そうとしたが、その身体が突如硬直した。
ジュウベイだけではない。
周りの使用人も、カイルさえも、その場から動くことが出来なかった。
ライからの凄まじい圧が、動くことを許してくれなかった。
ライの目が、その全身が、暴虐な剣気によって包まれていた。
歴戦の戦士であるカイルやジュウベイをして、これほどの威圧感を未だかつて味わったことはなかった。
一匹の修羅がそこにいた。
その圧迫感が突然消え去った。
「……さ、サクヤ!」
我に返ったジュウベイが慌てて走り出す。
それにつられ、カイルも息子の元へと駆け出した。
ライとサクヤは全身を雨に濡らしていた。
背負われていたサクヤの顔は酷く腫れ上がっていた。
「さ、サクヤ――!?」
ライからサクヤを受け取ったジュウベイが、娘の惨状を目の当たりにして顔を歪めた。
「ライ! 何があった!?」
カイルがライに詰め寄る。
「この先、俺の部屋の窓に面した通りに、男が三人死んでいます。おそらく、この前父さんが言ってた悪い大人だと思います」
(……? 息子は今何と言った?)
「……何だと?」
「窓から外を見ていたら、サクヤが男達に襲われるのを見て、俺が助けました」
事実は少し違うが、ライは全てを正確に伝えるつもりはなかった。
「助けた? お前が、か?」
「はい」
息子の淡々とした様子に、カイルは激しく混乱していた。
(……? ちょっと待て。息子はさっき何と言った?)
「男が三人死んでいると言ったな?」
「はい。俺が殺しました」
その時――辺りに稲光と雷鳴が轟いた。