君の道しるべ
あれは春のこと
だけど春といっても高校一年生になる前のことで
私はまだ幼い心を持っていてなんでもかんでも、のんびり過ごしていた
そんな私が高校一年生になっていきなり、よいしょと背のびしてあの恋を頑張ってみようと思ったのは私になにが起こったからだろう
それは、あいつを見た時から始まったのだろう…
入学式当日
私、水沢心葉は、そわそわしながら教室へ向かう
高校に入って友達の皆とは離ればなれになっちゃって…めっちゃくちゃ不安だ
私の教室は一棟三階の一番東側にある1-A組らしい
友達作るの上手くないしなぁ…誰か声でもかけてくれると嬉しいんだけどなぁ…
なんなら男の子でもいいなぁ…
と思いうつむいて歩いてたその時
「ねぇ?」
と、男声をかけられた!!
マヂか!?と思って目線を上にあげると!!
そこには、いかにも高校デビューしたような中途半端で不細工な不良が2人立っていた
右はオールバックにヒゲ
左は金髪で少し黒い
あんたらみたいなのを期待してるんじゃないわよっ!!
っと心の中で叫ぶ
「君可愛いねぇ〜。何組?どこ中だった?」
ヒゲが話しかけてくる
ウザい…無視しよ
2人のわずかな間を通り抜けようとすると
「おいぉぃ。無視すんなよ」
っと金髪に腕を捕まれる
振り払おうとしたその時…
「おい!朝っぱらからナンパかよお前達」
後ろから声がした…
「なんだテメェ」
ヒゲが唸る
「俺はいいじゃねぇか。とりあえずその子離してやれよ困ってんだろ?」
ゆっくりと振り返ると…
そこには、髪が少し長くて、身長もそこそこ、小顔で…まぁ、まだ色々あるけど…なかなかのイケメンがいた
「チッ、めんどくせぇ。行くぞ!」
金髪が去って行く。それにつられこちらをチラチラ見ながらヒゲも去って行った
一安心してため息をつくと
「大丈夫だったか?お前」
心配そうな顔をしてる
「うん。大丈夫、その…ありがとう」
なんか顔が熱い…
「はははっ。気にすんな!お前、気をつけろよ?じゃあな〜」
少しニコっと笑って歩いて行ってしまった
私は少しの間ぼーっとしていた
何組の人だろ…あの廊下にいたってことは一年生だよね…
なんてことを考えながら自分の教室へ向かう
まだ顔が熱い…
教室についた頃には耳まで熱かった
黒板を見ると席順が書いてある
ん?席順が変だ…1の次が23でその次が6…デタラメだなぁ
私の席は…一番左の列で後ろから2番目だ
席に向かうと、またドキッとした
私の後ろの席で肘をついて退屈そうにしている男の子がいる
さっきの人だ……
また顔が熱い
静かに歩いてゆっくり席についた
うぅ緊張する。でも名前聞きたいし、あらためてお礼を言いたい…
私は勇気を振り絞って声をかけた
「あの…さっきはどうも、ありがとう」
「ん?あ、さっきの!」
声を聞いてまた顔が熱くなる
「同じA組だったんだ…俺、月島 春希。よろしくな!」
「私…水沢 心葉。よろ…しく」
もっと顔が熱くなる
そして彼はまたニコっと笑った…