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第6話:マナランプと暮らしの革命

新型エンジンの成功により、ミリアの名前は王都の錬金術界に広まった。技術展示会後、多くの依頼が舞い込み、彼女の元には仕事が絶えなかった。だが、彼女が次に目をつけたのは、もっと身近で日常的な用途だった。


「生活の中で、一番の不便ってなんだろう?」


ある日、工房の仲間たちと昼食をとりながらミリアはそう口にした。リオが大きく頷いて答える。

「それなら夜の明かりじゃないか? 今のところランプは油が主流だけど、維持費がかかるし、何より火事のリスクが高い。」


エマも意見を出した。

「確かに。油ランプはコストも高いし、煙が出るから換気しないといけない。農村なんかでは、夜は暗闇の中で過ごす人も多いみたい。」


ミリアはその話を聞きながら、ふと前世での電灯を思い出した。

「そうだわ……マナを使って安全で明るいランプを作れば、もっと多くの人が便利な生活を送れるかもしれない。」



---


その日のうちに、ミリアは「マナランプ」の開発を始めた。目指すのは、マナを効率よく光に変える装置だ。だが、最初の試作は思うようにいかなかった。


「光が弱すぎる……これじゃ油ランプに負けるわ。」


ミリアはため息をつきながら、手元の設計図を見直した。リオとエマも協力して原因を探る。

「マナを光に変えるための結晶の効率が悪いんだな。もっと純度の高い素材が必要だ。」

「でも、貴族専用の高価な素材を使ってたら、本末転倒よね。」


ミリアは考え込みながら、学校の資材倉庫で手に取った安価な素材――「光石」に目を留めた。この鉱石は普段、微弱な光を放つだけの装飾品として扱われていたが、ミリアは可能性を感じた。


「これを特殊なマナ加工で強化できれば、光源として十分使えるかもしれない。」



---


ミリアたちは光石を実験材料に、何度も加工方法を模索した。数週間の試行錯誤の末、彼女たちはついに光石を安定して強い光を放つ状態に変化させる技術を確立した。


「できた……! これなら油を使わなくても、マナだけで明るい光を得られる!」


完成した試作品を見て、リオとエマも声を弾ませる。

「すごいじゃないか、ミリア! これなら火事の心配もないし、コストも抑えられる!」

「これを普及させれば、夜も昼のように明るい生活ができるわ!」



---


しかし、新しい問題が持ち上がった。それは製造コストだ。光石自体は安価だが、加工に必要な装置が高価で、大量生産が難しい状況だった。


「これじゃまた、一部の人しか手に入れられないものになっちゃう……。」


悩むミリアに、リベッカが声をかけた。

「ミリア、王都だけでなく、地方の職人たちにも協力を仰いでみたらどう? 彼らの技術を取り入れれば、コスト削減につながるかもしれないわ。」


その提案を受け、ミリアは地元の鍛冶工房や錬金術工房に足を運び、製造工程を分担する方法を模索した。各地の職人たちは最初こそ戸惑ったが、ミリアの熱意に触れ、次第に協力を申し出るようになった。


「このランプが普及すれば、多くの人が恩恵を受ける。俺たちも協力するぜ。」



---


そうして製造体制を整えたミリアたちは、ついに「マナランプ」を市場に送り出すことに成功した。王都の市場で初めて売り出されたマナランプは瞬く間に評判を呼び、貴族だけでなく商人や一般の人々にも広がっていった。


市場でマナランプを手にした客の声が、ミリアの耳に届く。

「これなら夜も安心して作業ができるわ。」

「火事の心配もないし、子供たちにも安心だ。」


その様子を見て、ミリアは心の中で静かに誓った。

「これからももっと便利で、多くの人の役に立つ魔道具を作りたい。私の知識を、この世界のために活かすんだ。」



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