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第3話:錬金術学校への入学とさらなる成長

ミリアが10歳になった頃、地元の錬金術工房では、もはや彼女に教えられることが少なくなり始めていた。師匠のガルドもそれを感じ、ある日彼女にこう告げた。


「ミリア、もうお前にここで学ぶことはほとんどない。そろそろ、もっと高度な錬金術を学べる場所に行くべきだ。」


ミリアは驚きながらも期待に胸を膨らませた。「もっと高度な錬金術って……どこに行けば学べるの?」


「王都にある錬金術学校だ。そこには優れた講師と、最新の設備が揃っている。お前なら、きっとここ以上に力を発揮できるだろう。」


王都。ミリアはこれまで本や噂話でしか知らなかった大都市の名前に心が躍った。しかし、同時に不安もあった。


「私、本当に大丈夫かな? まだ10歳だし……」


ガルドは大きく笑い、彼女の頭を軽く叩いた。「何を言ってるんだ! お前なら大丈夫だ。お前がここでやってきたことを考えれば、誰もが認めるさ。」



---


王都に着いたミリアは、その壮大さに目を見張った。広い石畳の道、立ち並ぶ大きな建物、そして何より錬金術学校の巨大な校舎――どれもが地元では考えられないほどの規模だった。


「これが……王都の錬金術学校……」


受付で手続きを済ませたミリアは、すぐに講師の一人である中年の女性――リベッカと対面した。


「あなたが新入生のミリアさんね。地元の推薦状を見たけれど、なかなか優秀だそうじゃない。」


リベッカは鋭い目でミリアを見つめながらも、どこか興味深そうな表情を浮かべていた。


「はい! 一生懸命頑張ります!」

「その意気込みは結構。さて、ここでは基礎から応用まで、錬金術の全てを体系的に学んでもらうわ。もちろん、簡単なことばかりじゃないけれど、ついて来られるかしら?」


「絶対についていきます!」ミリアの力強い返事に、リベッカは満足げにうなずいた。



---


錬金術学校での授業は、地元の工房での学びとは比べ物にならないほど内容が濃かった。素材の特性や魔力の流れだけでなく、複雑な錬成方法や、大規模な魔道具の設計図の読み解き方などが次々と教えられた。


「こんな高度な内容、他の生徒たちも苦労してるわね。でも、私はもっと先に進みたい……」


ミリアは授業だけで満足せず、図書館にこもって過去の発明記録や錬金術の理論書を読み漁った。


そんな彼女に目をつけたのが、同じクラスの少年――リオだった。


「おい、ミリア。そんなに毎日勉強ばかりして、楽しいのか?」

「楽しいよ。だって、もっと面白い道具を作るためには勉強しないと!」

「ははっ、お前は本当に変わったやつだな。でも、まぁ……その努力は見ててすごいと思うよ。」


リオはミリアの努力を認めつつも、時々彼女が無理をしないように気遣ってくれる存在となった。



---


ある日、リベッカが生徒たちに課題を出した。それは「新しい魔道具の設計と試作」だった。テーマは自由だが、独創性と実用性の両方が求められるというものだ。


ミリアは考え込んだ末、これまで学んできたことに加え、自分の前世の知識を活かすことに決めた。


「この世界では、エネルギー効率を高める仕組みがまだ全然進んでない。じゃあ、マナの循環を利用した新しい動力機構を作ってみよう!」


彼女は紙とペンを手に取り、何度も設計図を書き直した。そして、試作のために錬金術工房で夜遅くまで作業を繰り返した。


「ここをもう少し調整して……よし、これで試してみよう!」


試作品が完成し、動かしてみると、それは見事に稼働した。ミリアが作り出したのは、簡単な「自動攪拌機」だった。これはマナを利用して動力を生み出し、液体を一定の速度で攪拌し続ける装置だった。


「これなら、調合作業がもっと効率的になるはず!」


発表会当日、ミリアの試作品は大きな注目を集めた。リベッカもそれを見て驚きを隠せなかった。


「……こんな装置、これまで見たことがない。マナの循環をここまで効率的に使うとは……すごいわ。」


他の生徒たちからも感嘆の声が上がり、ミリアの名前は学校内で一気に広まった。



---


その後、ミリアは授業だけでなく、講師たちから個別指導を受けるようになった。彼女の才能と努力を認めた学校は、さらなる高度な錬金術を学ばせるべく、多くの資料や実験設備を彼女に提供したのだ。


「ミリア、君の発明には夢があるね。」

ある講師がそう言うと、ミリアは微笑みながら答えた。

「夢だけじゃなくて、もっと便利で楽しいものを、この世界に広めたいんです!」


こうしてミリアは錬金術学校でさらに成長を遂げていく。そして、13歳を迎える頃には、彼女の発明はすでに周囲を驚かせるほどの成果を上げていた。


次なる目標は――錬金術と科学のさらなる融合による、新しい魔道具の開発。彼女の挑戦は、まだ始まったばかりだった。


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