第21話:次世代エネルギー「マナ融合炉」の試作
ミリアは日々進化する王国の姿を見ながら、新たな挑戦に目を向けていた。彼女の次なる目標は、より強力かつ安定したエネルギーを生み出す「マナ融合炉」の開発だった。これまでのマナ発電所は十分に機能していたものの、長期的な供給において課題が残されていた。
工房の会議室で、ミリアは設計図を広げ、仲間たちと議論を重ねていた。
「マナ融合炉は、二種類の異なるマナを融合させて膨大なエネルギーを生み出す仕組みよ。この技術が完成すれば、エネルギー不足の問題は完全に解決するわ。」
リオが眉をひそめながら質問する。
「でも、マナの融合って不安定じゃないのか? 下手すりゃ暴発する危険もあるだろ。」
エマも真剣な表情で頷く。
「そうよね。マナを安定させるための制御装置がないと、扱うのは相当難しいはず。」
ミリアは自信たっぷりに微笑みながら答えた。
「その通り。だからこそ、制御装置には私が開発したマナ調整フィルターを使うの。これでマナの流れを均一に保ちながら融合を進められるわ。」
「なるほどな。」
リオは設計図を覗き込みながら感心した表情を浮かべる。
「お前の頭の中には一体どれだけのアイデアが詰まってるんだか。」
エマがクスクス笑いながら口を挟む。
「ほんとよね。ミリアはいつも私たちが追いつけないところにいるんだから。」
「そんなことないわ。」
ミリアは苦笑しながら肩をすくめた。
「あなたたちがいるから、私もここまでやってこれたのよ。」
試作のため、ミリアたちは工房の一角に実験施設を設置した。巨大なガラス製のマナタンクと、制御装置を組み込んだ融合炉が工房内にそびえ立っている。
リオが装置の配線を調整しながら呟く。
「これ、本当に動くのか? 正直、規模がデカすぎてイメージが湧かないんだが。」
「大丈夫よ。」
ミリアは笑顔でリオに答える。
「設計図通りに組み立てれば、必ず動くわ。」
エマが確認用のデータ端末を手に取りながら言った。
「マナの融合率が重要ね。これが少しでもズレると……ちょっと怖いわ。」
「だからこそ、みんなの力が必要なの。」
ミリアは真剣な表情で二人を見つめる。
「一つのミスも許されない。でも、私たちならきっと成功できるはず。」
リオはニヤリと笑い、工具を手に取った。
「よし、分かった。じゃあ全力でいくぞ。お前の自信につられてやるしかないな。」
数週間の作業の末、ついに試作型マナ融合炉の完成が近づいた。最後の調整を終え、ミリアは仲間たちと共に装置のスイッチの前に立つ。
「ついにこの時が来たわね。」
ミリアは深呼吸しながら言った。
「スイッチを入れるわよ。みんな準備はいい?」
「準備万端だ。」
リオが親指を立てる。
「問題なし。いつでもどうぞ!」
エマも自信に満ちた笑みを浮かべる。
ミリアは静かにスイッチを押した。すると、融合炉の内部で二種類のマナが旋回しながら接触し、眩い光を放ち始めた。
「うわっ、眩しいな!」
リオが目を細めながら叫ぶ。
「マナの融合が始まったわ! これが成功すれば……!」エマが興奮した声を上げる。
融合炉の中央部に設置された制御装置が、マナの流れを安定化させていく。数分後、装置が一定のリズムでエネルギーを生み出し始めた。
「やったわ!」
ミリアは拳を握りしめながら喜びの声を上げた。
「これでマナ融合炉は完成したの!」
リオが笑いながら手を叩く。
「おいおい、本当に動くとは思わなかったぞ! お前、やっぱり天才だな!」
エマも拍手しながらミリアに言った。
「これ、もし実用化できたら……王国どころか、世界中が変わるわね!」
「ええ、でもまだ始まったばかりよ。」
ミリアは満足そうに融合炉を見つめながら言った。
「これをもっと改良して、王国全体に普及させなきゃ。」
その夜、ミリアたちは工房で小さな祝杯を挙げた。リオが笑いながらグラスを掲げる。
「これでまた一歩、未来に近づいたな。お前の頭の中がどうなってるか、俺にはさっぱり分からないけどよ。」
エマがからかうように言った。
「それでも、こうやって形にしてくれるのがミリアのすごいところよね。」
ミリアは微笑みながら二人を見つめた。
「ありがとう。みんなが支えてくれるから、私はここまでやってこれるのよ。」
三人は笑いながらグラスを交わし、次なる挑戦に思いを馳せた。マナ融合炉は、未来を切り開くための一つの鍵に過ぎない――ミリアたちの挑戦はまだまだ続くのだった。




