表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/41

第15話:教育革命「マナ図書システム」の開発

ミリアが開発した「マナ通信装置」は王国全土に広まり、都市間の情報伝達が劇的に向上した。それにより、商業や行政の効率化が進み、国中の人々がその恩恵を受けるようになった。しかし、ミリアは新たな課題を感じていた。それは「教育」だった。


ある日、工房でリオとエマと共に手紙を整理していると、地方の村からの手紙が目に留まった。

「ミリア様、私たちの村には学校がありません。子どもたちに字の読み書きや計算を教えたいのですが、教える人も教材も不足しています。どうか、教育の機会を広める方法をお考えいただけないでしょうか。」


ミリアは手紙を読みながら眉をひそめた。

「教育の機会がない……それじゃあ、未来を担う子どもたちが十分に成長できないわ。」


エマが頷きながら言った。

「田舎の村では、学校を建てる余裕がない場所も多いものね。教師を派遣するのも限界があるし……どうしたらいいかしら。」


リオが考え込んで言った。

「確かに難しいな。でも、ミリア、お前の発明なら、何か方法があるんじゃないか?」


ミリアは机に肘をつき、少し考え込んでから顔を上げた。

「マナ通信装置を応用すれば、知識や教育の機会をもっと広げられるかもしれないわ!」


エマが目を輝かせて尋ねる。

「どういうこと?」


「例えば、王都の図書館や学校にある知識を、マナ通信を使って遠くの村でも読めるようにしたらどう?」


リオが驚いた声を上げた。

「本を遠くの村で読めるようにする? それってどうやるんだ?」


ミリアはペンを取り、紙にスケッチを描きながら説明した。

「本の内容をマナの波に変換して送信し、受信した場所でその内容を映像や文字として再現する装置を作ればいいのよ。」


エマが感心しながら言う。

「それができれば、どんなに離れた場所でも同じ本を読むことができるわね。教材も共有できるようになる。」


リオが笑いながら言った。

「さすがミリアだな。またとんでもない発明を考えつく。」


ミリアは微笑みながら頷いた。

「これを『マナ図書システム』と名付けるわ。このシステムがあれば、どんなに遠い場所にいても、知識にアクセスできるようになる。」



---


ミリアたちは早速、マナ図書システムの試作に取りかかった。まず、本の内容をマナ波に変換する「送信装置」と、それを受け取って文字や図を再現する「受信装置」の開発が必要だった。


最初の課題は、膨大な文字や図をどのようにマナ波に変換するかだった。エマが図面を見ながら言った。

「これ、本の内容を一文字一文字変換してたら、時間がかかりすぎるわね。もっと効率的に処理する方法を考えないと。」


ミリアは考え込みながら答えた。

「そうね……光石の特性を使えば、文字や図を一括で読み取ってデータ化する仕組みが作れるかもしれない。」


リオが手を挙げて言った。

「それなら、これまでのマナ通信の技術を応用できるだろう。光石で読み取った内容を圧縮して、マナ波として送信するんだ。」


「それだわ!」ミリアは勢いよく立ち上がった。「これで効率よく本の内容を送信できる装置が作れる!」



---


数週間後、ミリアたちは試作装置の初号機を完成させた。それは王都の図書館にある本を読み取り、工房に設置した受信機に送信する仕組みだった。


「じゃあ、試してみましょう。」ミリアは送信装置のレバーを引き、本の内容をマナ波に変換した。


工房の受信機には光石が取り付けられており、送られてきたマナ波を受信して内容を表示するようになっていた。数秒後、光石が青く輝き、本の一部が光の文字となって浮かび上がった。


リオが驚きの声を上げる。

「おお、見ろよ! 本当に文字が浮かんでる!」


エマも感動しながら言った。

「すごいわ! しかも、ちゃんと読みやすい! これなら遠くの村でも使える!」


ミリアは満足そうに頷いた。

「これで、知識を共有する仕組みが作れたわ。次はもっと多くの本を扱えるように改良していきましょう。」



---


改良を重ねたマナ図書システムは、さらに多くの本を扱えるようになり、文字だけでなく図や絵も再現できるようになった。そして数ヶ月後、ミリアたちは完成したシステムを王国政府に披露した。


王国の学問長官であるカトリーナが興味深げに装置を見つめる。

「これがマナ図書システム……本当にこれで知識を遠くの村まで送ることができるのですか?」


「はい!」ミリアは自信満々に答えた。「この装置を使えば、王都の図書館にある本をどんなに遠い村でも読むことができます。これで教育の機会を平等に広げることができるんです。」


その場で実演を行うと、送信装置から送られた本の内容が受信装置に表示され、カトリーナや他の官僚たちは驚きの声を上げた。

「素晴らしい! これなら教育の格差を埋めることができる!」

「子どもたちが知識に触れる機会が増えるのは、王国の未来にとって重要だ!」


カトリーナは深く頭を下げながら言った。

「ミリア殿、この発明は、王国の未来にとって欠かせないものです。すぐに全国の学校や村に導入できるよう手配を進めます。」


ミリアは微笑みながら答えた。

「ありがとうございます。これからも改良を続けて、より便利で使いやすいシステムにしていきます。」



---


工房に戻ったミリアは、遠くの村の子どもたちがマナ図書システムを使って勉強している姿を思い浮かべながら静かに呟いた。

「これで誰もが平等に学べる世界に一歩近づいたわ。次はもっとたくさんの人々を助けられる仕組みを作りたい。」


リオが笑いながら言った。

「お前の夢はどんどん大きくなるな。でも、その夢が実現するたびに、この世界が変わっていくのがすごいよ。」


エマも微笑みながら答えた。

「本当に、ミリアの発明がみんなの未来を作ってるのよ。次はどんな夢を見せてくれるの?」


ミリアは二人に感謝しながら力強く答えた。

「次も一緒に頑張りましょう! この世界をもっと素敵な場所にするために!」


こうして、ミリアの挑戦は教育の分野にも革命をもたらし、人々の未来を明るく照らし始めた――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ