ミッション07;たるみがちな心身は日々のトレーニングで鍛錬せよ
なろうラジオ大賞6に参加させてもらってます。
お題「トレーニング」に挑戦。「弁当」も入ってますが。
お楽しみいただけると嬉しいです。
「うわ、スミマセン!」
手に持ったメモを見ながら戻ってきたら、事務所の入口で部長と出かけるハル先輩と目が合って動揺し、派手に飛びのいて道を譲る。視線は見送る方向へ固定されたまま身体はバランスを崩したのか、数秒後に勢いで主任のデスクにぶち当たり、落とした書類が散らばって部品がゴン、と音を立てる。
「す、すみません」
健太は慌てて書類をかき集め、部品を拾ってキズが無いかを確認し、主任に手渡した。
「・・大丈夫か?煮詰まってるなら話聞くぞ?」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
ため息交じりの主任に、軽く頭を下げてデスクに戻ろうとすると、
「健太、このメモお前のだろ?」
返された書類の束から差し出された一枚の紙を慌てて受け取り、大きく頭を下げて自席に座ると、必要以上の真剣さで開いたパソコン画面を睨みつけた。
集中、集中!今は仕事中だ、しっかりしろ俺!付き合い初めて半年経とうかというのに、進歩無さすぎだ。いや、この前少し進歩した・・・って、うわーーー!
じゃない、集中だっての!!
「おい、昼休憩だぞ」
肩を叩いたのは、赤城さんだ。
「弁当、持ってきてんだろ?たまには外で食わないか?」
誘われるままついて来たのは、車で数分の公園。う、この駐車場・・・。
もう自分がどんな顔してるのか分からない。促されるまま従い、勧められるまま木陰のベンチに座った。
叱られんのかな、まぁあんな勤務態度じゃ仕方ないけど。
「雨は降ってないけど、蒸し暑いな」
「そうですね」
生返事をしながら、もそもそと弁当を口に運ぶ。気まずいしかない。
「ハルちゃんと、上手くいってんのな」
うぐ。
「勘違いすんなよ?責めてるわけじゃない」
「でも俺・・・」
学生時代、コイバナとか浮かれんなよ、ってバカにしてた。優先順位考えろ、なんて冷めてたんだ。
「浮かれていい加減になるヤツじゃないって知ってる、人としての成長過程だ」
ましてや社会人、何やってんだ俺。思うのに体が制御できない。
「俺も正直、初恋遅かったから分からんでもない」
え?スマートで出来る男代名詞みたいな赤城さんが?
「そんな変な顔で見るか?」
「あの、なんか意外で」
「そうか?嫁さんにはダメ出しばっかされてるぞ」
それも意外だ。
「経験値は一気に上がらない」
あれ?
「日々精進、まぁ心身共にトレーニングだと思え」
そんなもん?
「そもそも面白半分で協力したんじゃねーから」
昼からはハル先輩と絡みが多く、負荷多めだった。
読んで下さって、ありがとうございました。
ちょっとペース落ち気味で、お題クリアに暗雲が・・・。
いや、諦めたらそこで試合終了ですよね。頑張ります。
イイネ、評価いただけると元気出ます。