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誰にも懐かない飛び級天才幼女が、俺にだけ甘えてくる理由  作者: 八神鏡@幼女書籍化&『霜月さんはモブが好き』5巻


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第八十三話 幼女たらし

「お姉ちゃん、とりあえず落ち着いてください。よしよし」


 さて、ひと悶着こそあったものの……ひめが背中をさすってあげて、ようやく聖さんが落ち着きを取り戻した。


「そ、そうだね。落ち着かないとね~……ふぅ」


「もう大丈夫かしら。そろそろ夕食を出しておくから、聖お嬢様が落ち着いたら食堂に来てね」


「はい。後でお姉ちゃんと陽平を連れていきますね」


 この場で一番落ち着いているのは、もしかしたらひめなのかもしれない。

 おかげで混乱していた場が急速にまとまった。


「ごめんね、ひめちゃん。私には厳しい芽衣ちゃんがよーへーにはデレデレしててびっくりしちゃった」


「たしかに芽衣さんは他人に心を開きませんが……陽平くんはとても魅力的な男の子なので、ああやってデレデレになるのも無理はありません」


「そんなことないと思うけど……」


 と、俺から口をはさんでは見たのだが、高すぎる評価はこの程度で下がることがないのは知っている。


「謙虚なところも陽平くんのいいところです」


 ひめが腕を組んで何やら得意げな顔で頷いていた。

 まるで『さすがわたしの認めた陽平くんです』と言わんばかりである。何を言っても高評価にされるのは、それはそれでむず痒い。まぁ、嬉しくないとも言えないけれど。


 ひめに褒められるのは単純に嬉しいので、つい頬が緩んだ。

 ……そんなやり取りを見たからだろうか。


「……よーへーはもしかして、幼い見た目の子をたらしこむのが得意なの? 大人しい顔して、本当は幼女たらしだったりする?」


 幼女たらしって……酷いいいようである。

 聖さんにあらぬ疑いをかけられていた。


「幼女たらし……言葉は悪いですが、言い得て妙です。たしかにわたしは陽平くんの虜です」


 自分で言わないで。

 まるで俺が悪いような言いようだった。


 でも別に変なことはしてない。ただお菓子をあげて仲良くなっただけ……って、いや。まぁ、お菓子を餌にしておびき寄せたとも見えてくるので、すぐに考えるのをやめた。


「そういえば、陽平くんって姪っ子さんもいるのですよね?」


「え? よーへーってお兄さんかお姉さんがいるの?」


「うん。十歳上の姉がいる」


「わたしとお姉ちゃんと同じ年の差みたいですよ」


「ふーん。そうなんだ~……つまり、まだ見ぬ幼女がいるってこと?」


「変な言い方しないで……まぁ、いるけど」


 ひめには前に雑談で話したのかな?

 いっぱいオシャベリしているので、たぶん身の上話はだいたいしていると思う。あと、この子は一度聞いたことは忘れない体質なので、色々と覚えているようだ。


「今はたしか……六歳かな?」


「わたしの二つ年下ですね」


「……あの子とひめって二つしか離れてないんだ」


 世間一般の六歳と言えば、子供の中の子供である。

 ひめとは系統が違っていて、元気で活発でちょっとナマイキでおませな六歳児だ。


 大人びているひめと比べると本当にただの子供である。あれで二つしか離れていないと言うから驚きだ


「やっぱり仲はいいのですか?」


「仲がいいと言えるのかは分からないけど……家に来た時はいつも遊んでるかな」


「や、やっぱり幼女たらしだっ」


「いやいや。遊び相手になってるだけだから」


 変な言い方はやめてほしい。

 とはいえ、振り返ってみると……たしかに、姪っ子で慣れているので幼い子とのコミュニケーションは得意なのかもしれない。


 ……も、もしかして、俺って本当に幼女たらしなのだろうか?

 なんというか……自分の変な才能に気付きそうになったので、そのことについてすぐに考えることをやめた。


 別に俺は普通である。

 決して、幼女をたらしこむのが上手いわけじゃない――!

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