表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誰にも懐かない飛び級天才幼女が、俺にだけ甘えてくる理由  作者: 八神鏡@幼女書籍化&『霜月さんはモブが好き』5巻


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/253

第八十二話 相変わらず甘すぎる評価

 俺と芽衣さんが仲良くしていることを、聖さんは腰を抜かすほどに驚いている。


「まさか幽霊!? 誰かに憑依されてるの……? ダメだよ芽衣ちゃん、正気に戻って!」


 普段はおっとりしているけど、緊急事態が起きると意外としっかりするタイプらしい。驚愕してはいるものの、声がいつもより力強くて頼もしい。

 ひめを守れるようにちゃんとすぐ隣にいるのも、聖さんらしくて好感が持てる。まぁ、発言がそもそもおかしいというのはさておき。


「聖お嬢様、私は正気だけど?」


「ううん、変だもん。だって芽衣ちゃんって人見知りでしょ? しかも男の人苦手だったよね? 配達員の人が来ても絶対に出ないくせにっ」


「そ、それは、その……陽平様の前であんまりみっともない情報を言わないで。単純に男の子に慣れてないだけよ」


「アラサーで乙女なのやめてよっ。かわいくてなでなでしたくなるでしょ!」


「こっちだって十代の小娘なんかに撫でられたくなんてないわ」


「じゃあよーへーに撫でられるのは?」


「な、なんでそんな話になるのよ。関係ないでしょう」


「当然嫌だよね? だって私と同じ十代の小僧だもんねっ」


「……陽平様ならまぁ、落ち着いてるし」


「え~!? やっぱり芽衣ちゃんじゃないっ。お前は誰だー!」


 と、芽衣さんと聖さんが言い争っているのをよそに、ひめがとことことこちらに歩み寄ってきた。


「陽平くん、あの……制服、着替えました」


 そう言って、彼女は自分の洋服をお披露目するように胸を張ってくれた。おかげでかわいいお召し物がよく見える。


 ひめは今、ピンク色のパジャマを着ていた。セットアップのルームウェア、と呼ばれるものだろうか……上は若干大きめのサイズのパーカーで、下もゆったりした長ズボンを着用している。


 制服のひめばかり見ているので、ラフな格好はとても新鮮だ。


「よく似合ってるよ。かわいいパジャマだね」


 ありのままの感想を伝えると、ひめは嬉しそうにほっぺたを押さえながらはにかんだ。


「えへへ。褒められちゃいました」


 ……やっぱりひめには緊張せず、伝えたいことを素直に言えるなぁ。

 芽衣さんにはなかなか言えなかった感想だが、ひめはやっぱり特別である。この子にはまったく緊張しないというか、むしろ一緒にいて心が落ち着くので不思議なものだった。


「陽平くんはピンク色が好きなのですか?」


「いや、特別にそういうわけじゃないかな? ひめには合ってると思ったけど」


「ふむふむ、なるほど。ちなみに何色がお好きなのでしょうか」


「好きな色かぁ……うーん、白と赤かな?」


 所有物の色は無難な黒系統が多いのだが、単純な好みでいうと白や赤が好きだ。

 なので、真っ白な髪の毛と深紅の瞳を持つひめはとても好きな色味だったりする。


「分かりました。次からその色のお洋服を着ますね」


 と、そうやってひめと戯れていたら、ここでついに二人の言い争いに巻き込まれることになった。


「ひめちゃんもおかしいと思わないのっ? 芽衣ちゃんが男の子にデレデレになるなんてありえないよ。これはニセモノだと思う!」


「で、デレデレなんてしてないわ。ただ、陽平様は話しやすいとは思っているけれど……ねぇ、そんなにおかしいのかしら。ひめお嬢様はどう思う?」


 会話の矛先がひめに向いた。

 その時になってようやく、ひめは二人に視線を向けた。相変わらずマイペースで、話しかけられるまで言い争いのことはまったく気にしていなかったのだろう。反応が少し遅かった。


「え? あ、そうですね……でも、陽平くんは素敵な人ですから、芽衣さんがデレデレするのは当然だと思います。別に不自然ではありませんが」


 ……いや、ひめ。それはちょっとどうだろう?

 素敵と言われるのは嬉しいけど、さすがに過大評価されている気がしてならなかった――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ