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誰にも懐かない飛び級天才幼女が、俺にだけ甘えてくる理由  作者: 八神鏡@幼女書籍化&『霜月さんはモブが好き』5巻


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第四十六話 聖ちゃんの逆鱗

「それでは、さようならです。陽平くん、また明日……バイバイ」


 ランドセルを背負ったひめが、俺に手を振って教室から出て行った。

 名残惜しいのか、途中何度もこちらを振り向いては目が合うと手を振っている。そのたびに俺も手を振り返していたのだが、やがてひめが見えなくなってしまった。


 ここ数日、結構な時間を一緒に過ごして、ひめがの子供らしい一面をよく見るようになったけど……彼女は愛らしい見た目に反して、他に類を見ない天才でもある。


 そのせいか、放課後になるといつも忙しそうだ。何かしらの予定が詰まっているのだろう。

 ……学校にいる間だけでも、子供らしく振舞えるくらいリラックスさせてあげられればいいなぁ。


 などと考えながら、俺も帰宅の準備を進める。

 ひめに遅れること数分。カバンを持って、帰宅しようとしする。


『ピンポンパンポーン♪』


 そんなタイミングで、教室上部に設置されているスピーカーから音声が鳴った。

 何かアナウンスか、あるいは教師に電話が入ったとか、そういう放送だろう……と、特に意識してはいなかったのだが。


『生徒の呼び出しを行います。二年一組の大空陽平君、すぐに生徒会室に来てください』


 ……え?

 今、俺の名前が呼ばれた気がする。


『繰り返します。二年一組の大空陽平君、すぐに生徒会室に来てください』


 確認のために今度は耳を澄まして聞いてみたら、間違いなく俺の名前が呼ばれていた。

 ど、どういうことなんだろう?


(生徒会室……生徒会?)


 俺とは無縁の組織である。

 でも無関係だったのは、つい最近までのことで。


「……あ」


 思い出した。

 そういえばつい最近仲良くなった彼女が、生徒会の副会長をしていたことを思い出したのである。


(――聖さんか!)


 星宮聖。ひめのお姉ちゃんであるあの人が、生徒会に所属しているのは有名だ。

 ……よくよく考えてみると、放送の声も聖さんのものだった気がする。スピーカーの質が悪くて音が割れていたので、すぐに気付くことができなかったけど。


 ともあれ、誰が俺に用事があるのかは分かったのでとりあえずほっとした。

 てっきり、誰かに怒られるのかと思って身構えていたのである。


 聖さんの呼び出しなら、特に悪いことは起こらないだろう――。





「――正座して。よーへー、君にちょっと話があります」


 生徒会室に入室して早々、俺は床に正座させられた。

 怒られないと思っていたのに、どうやら聖さんの機嫌がよろしくないようだ。


「……あの、他の人たちは?」


「今日は生徒会の予定がないから安心して。みんな来ないよ」


 広さにして、校長室くらいだろうか。

 十人も入ると狭苦しくなりそうな生徒会室だが、今は俺と聖さんの二人だけなので逆に広々としていた。


「じゃあなんで聖さんは生徒会室に?」


「……君に話があるって言ってるよね?」


「話なら、生徒会室じゃなくてもいいような」


「人前で話せる内容じゃないから呼び出したのっ」


 え? そんなことある?

 一体何を話すのだろうか。そして俺はいつ、聖さんの逆鱗に触れたのだろう。


 どうやら怒っているらしい彼女は、腕を組みながら俺の前で仁王立ちしている。

 ……この角度、ちょっと嫌だなぁ。ふとももとか、あと夏服の丈が短いのかちょっとおへそあたりがチラチラ見えるので、勘弁してほしかった。


「……目をそらすってことは、悪い自覚があるってことだよね?」


 しかし、聖さんは俺の目がそれたことを違う意味に捉えていた。

 違うんだけど……いや、違わないこともないのか?

 もうよく分からなくなってきたので、聖さんが怒っている理由をちゃんと聞こう。


「な、なんで怒ってるの?」


「――君がロリコンだからだよ?」


 ……って、そっちか!

 そういえば聖さんは、俺がロリコンだと勘違いしていたままだった――。

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