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誰にも懐かない飛び級天才幼女が、俺にだけ甘えてくる理由  作者: 八神鏡@幼女書籍化&『霜月さんはモブが好き』5巻


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第四十四話 ちっちゃい方が好き?

「ふーん? なるほどねぇ~……?」


 聖さんの目がジトっとしている。

 疑わしそうな眼差しを向けられてすごく居心地が悪かった。


 別に、ぷにぷに体型が好きなわけでもないんだけどなぁ。

 じゃあ、具体的にどういう体型がいいのか聞かれても困るんだけど……女性と付き合うことができるなんて今まで考えたことないので、そのあたりは自分でもよく分からない。


 なので、ぷにぷに体型を嫌いだとか無関心だと断じることができないのは、少し厄介かもしれない。こだわりとか嗜好ってこういう時に大切だと思う……強気に出られないのは、俺の悪い部分な気がした。


 まぁ、とりあえず聖さんの視線はかわしておこう。

 何も気づいていないふりをして、俺はひめの方に意識を向けた。


「陽平くんはぷにぷにがお好きなのですか」


「そうは言ってないんだけどね」


「はい。そういうことにしておきましょうか」


 ひめは全て分かっていると言いたげな顔で頷いているけど、たぶん勘違いしているよなぁ。

 ともあれ、なんだかんだ俺が嫌がっているのを察しているのか、これ以上の深堀はしないでくれるようだ。


「陽平くん、今日もお菓子をありがとうございます。おかげで幸せをたくさん経験できました」


 話題を変えてくれたひめの心配りに感謝である。

 ひとまず彼女の言葉に便乗して、聖さんの胡乱な視線を回避することに。


「いえいえ。ちなみに、ひめはどっちが好みだった?」


 チョコレートパイの実と、チョコのパイ。

 どちらも美味しいことは間違いないのだが、ひめの好みを知りたかった。


「…………うーむ」


 本当は聖さんにも好みを聞きたかったのだが、まだ何か言いたそうな顔をしていたので彼女は後回しにしておこう。


「好みですか……甲乙つけがたいですね。どちらも味は大好きですっ」


「うん。気持ちは分かるけど、強いて言うならどっちが好きか聞いてみたいなって。今後のお菓子選びの参考にもなるし」


「……陽平くんったら、やっぱり優しくて素敵な人ですねっ。そういうことなら、えっと……強いて言えば、チョコレートパイの実が好きかもしれないです」


 少しの思案の後、ひめは難しそうに悩みながらもちゃんと答えてくれた。


「味の優劣とかではなく、サイズ感の問題と言いますか……チョコのパイは、わたしには少し大きいかもしれません」


「なるほど。食べやすさ的な意味の評価も大切だよね」


 ひめの意見はすごく共感できた。

 俺も、この二つを比較するとそこで評価を分ける気がする。

 チョコレートパイの実とチョコのパイは、味や触感がいずれも違うと言うのに、どちらも高水準なので上下を決めにくい。


 だからこそ『食べやすさ』は重要視される項目だと思うのだ。


「あの……陽平くんはどちらが好みなのですか?」


「俺もチョコレートパイの実が好きだよ」


 一口サイズなので、間食にちょうどいいんだよなぁ。

 チョコのパイはおやつ時に食べると美味しいのだだが、勉強やゲームの合間に食べるとなると少し食べにくい。手や口の周りも汚すことがあるので、そのあたりを考慮するとチョコレートパイの実に軍配が上がるのだ。


 そうやって、ちゃんとした理由があったのに。


「つまり――ちっちゃい方が好きなんだね~?」


 聖さんが悪意のある捉え方をしていた。

 いやいや、その言い方はちょっとズルいよ。


「……えへへ♪ 陽平くんと同じでしたか。これはこれは、相性が抜群ですごく素敵ですねっ」


 一方、ひめは俺と同じ意見だった事実をかみしめるように喜んでいた。

 やっぱりひめは、素直でかわいいなぁ。


 そう、現実逃避をして聖さんの視線を無視した、そんなお昼時間――。

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